【Hotwire Music Business Column】明暗分かれる著名ミュージシャンの舞台ビジネス

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アレサ・フランクリンの1999年にリリースされた自伝『Aretha: From These Roots』を基にした舞台が行なわれることが発表された。

“クイーン・オブ・ソウル”と称される彼女の人生物語は、故郷のデトロイトで過ごした幼少期からはじまり、サム・クック、ダイナ・ワシントン、オーティス・レディング等のミュージシャン仲間たちとの友情、多くのステージを重ねてきた長い経歴の中で、アレサが共演してきた多彩なパフォーマーたちの出演もある模様。この計画はボブ・ディランのミュージカル『Times They Are A Changin』が、初演から1ヶ月もたたない内に打ち切りになった直後に明らかにされた。

ここ数年、ロックやポップス音楽からブロードウェイやラスベガスなどの舞台作品を作ることが大きなトレンドになっている。常に儲かるという訳でないが成功すれば大きな収益を生むことができるのだ。

最初の成功例は1940年代のR&B界の大スター、ルイス・ジョーダンの曲を基にした『Five Guys Named Moe』で、1990年代初めにアメリカで大成功を収めた。しかし1999年初演のアバの曲を基調にしたミュージカル『マンマ・ミーア』の大成功には到底およばない。『マンマ・ミーア』は各地で評判を呼び、今や世界中で公演され、現在大阪でも公演中だ。来年の5月19日からは福岡でも公演される。

アバの軽快な曲調と誰もが知っている大ヒット曲の数々、良くできた物語で老若男女を問わず好評で人気となっているのが要因だろう。もう1つの成功例はクイーンの『We Will Rock You』である。

一方で大きな失敗例もある。『Lennon』である。ジョン・レノンの経歴で大きな部分を占めるビートルズ在籍時代(最初の妻との間の息子ジュリアンのことも含め)を排除したために有名曲の数々が含まれておらず、“オノ・ヨーコ”色が濃厚だと批判が強かった。

ミュージカル関連では、ビリー・ジョエルとジョニー・キャッシュの音楽を基にした舞台の話など他にも数多く噂されている。最近ではラスベガスで発表された、ビートルズとシルク・ドゥ・ソレイユのコラボレーション『LOVE』がある。この『LOVE』は好調な滑り出しを見せており、先行きも明るいだろう。

『LOVE』やその他の舞台が、誰か特定の著名ミュージシャン本人の出演がないのに対し、ラスベガスではトップスターたちに長期公演をさせ、恒例化するのに熱心になっている。その最初の大きな契約がセリーヌ・ディオンとシーザーズ・パレス(ラスベガスで人気の豪華ホテル)間で結ばれたものだ。カナダ出身の大スターである彼女は出産後、落ち着きながらも仕事を続けたいと願っていたので、本人にとっても関係者にとってもこの公演は大成功に終わった。

エルトン・ジョンが向こう3年間、年間75回のコンサートをシーザーズ・パレスで行なう契約をし、バリー・マニロウはヒルトンと似たような契約を締結。まだ決定ではないが最近プリンスもラスベガスでの公演を追加し、公演期間の延長に合意した模様だ。


キース・カフーン(Hotwire
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