笑劇のビータリカ独占インタビュー(1)「すべては2001年、冗談のつもりで始まった」

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去る9月10日、かねてから輸入盤がロング・セラーを記録していたビータリカの笑劇の名盤『サージェント・ヘットフィールズ・モーターブレス・パブ・バンド』の国内盤発売が実現に至った。このバンドが「もしもメタリカがビートルズの曲を演奏したら?」という大胆な発想に基づくものであることはすでによく知られているはずだが、今回はなんと、この日本デビューを記念して(というわけでもないんだが)、このバンドのスペシャル・インタビューをお届けできることになった。

今回の取材に応じてくれたのは、ベーシストのクリフ・マクバートニー。その名前がクリフ・バートンとポール・マッカートニーの合体によるものであることは説明するまでもない。で、まずは手始めに基本的な「バンド結成の経緯」を尋ねてみたところ、彼からは以下のような、とてつもなく長い昔話のような返答が。こっちはただ単に「ビータリカはいつ頃、何を目的として始まったのでしょうか?」と質問しただけだっつーのに。

【クリフ・マクバートニーが語るビータリカ結成の経緯】

むかしむかし、はみ出し者のメタル野郎たちが、「もしも…」という古代からの疑問に答えを出そうという目的のためだけに集まりました。

たとえばその疑問は「もしもここにある8本のぬるいビールを飲んだらどうなるか?」であり、「もしもメタリカがビートルズの曲を『ガレージ・デイズ』(メタリカが1987年に出したEP『The $5.98E.P.: Garage Days Revisited』のこと)風にカヴァーしたらどうなるか?」であり、「ミルウォーキーで毎年行なわれているスプーフ・フェスト(毎年4月1日に行なわれる、パロディ・バンド限定のロック・フェス)での配布用に偽のCDを数十枚作って、14時間配り続けたらどうなるか?」などだったのです。

その後、それらの疑問は、「もしも地元の物理学の教授やインターネットDJたちがそのCDを手に入れてしまったらどうなるか?」、さらに「もしもその人物たちがmp3のラフ音源をウェブに載せちゃって、そのサイトと、そのプロジェクトに“ビータリカ”なんて名前を付けちゃって、そのプロジェクトの人気がウェブ上でウィルスみたいに広がったらどうなるか?」というものにまで発展していきました。

最後から2番目の疑問は、「ヒーローとは似ても似つかない、この落ちこぼれ集団がライヴ・パフォーマンスを行なうバンドとして始動して、アルバム『サージェント・ヘットフィールズ・モーターブレス・パブ・バンド』や、マキシ・シングル「オール・ユー・ニード・イズ・ブラッド(血こそすべて)」を引っ提げて世界中をツアーしたらどうなるか?」というものでした。そして最終的には「もしも俺が、これらすべてを暴露してしまったらどうなるか?」に辿り着いたのです。

で、まあ手短に答えるとすれば、要は「2001年に冗談のつもりで始まったプロジェクトを、人々が忘れないでくれた」ということなんだけども(笑)。

(以下、第2回につづく)

ちょっと先が思いやられるこのインタビュー。これから何度かに分けてお届けすることにしたい。ちなみにクリフの発言中にも出てくる『オール・ユー・ニード・イズ・ブラッド(血こそすべて)』の日本盤は、なんと表題曲の日本語ヴァージョンを追加収録したうえに、ボーナスDVDまで付いた特別仕様で10月8日にリリースされることになった。その発売日までに、クリフの言葉をすべてお届けできるかどうかは、はなはだ疑問だが。とりあえず、次回をお楽しみに。

増田勇一
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