サラ・ブライトマン、新作『冬のシンフォニー』を語る パート2

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10月29日、サラ・ブライトマンの最新アルバム『冬のシンフォニー』が日本先行発売された。

サラの透き通る声が、世界的にも有名なクリスマスソングの数々を歌う。スタンダード曲からポップス曲までその選曲は幅広く、サラの解釈や歌唱も、楽曲の持つオリジナリティを壊すことなく、目をつむると、クリスマスの静謐な空気に支配された風景が浮かぶ。そんな夢のような世界を持ったクリスマスアルバムだ。

イギリスで生まれ、ポップ・グループでの活躍を経て、ミュージカル『キャッツ』のオーディションに合格、ミュージカル女優としてのキャリアを積み、1986年の『オペラ座の怪人』で大成功をつかんだサラ・ブライトマン。その後のソロ歌手としての活躍を「クラシックとポピュラー音楽のクロスオーバー」と表現するのは簡単だが、その成功は歌い手としての実力と継続的な努力でもたらされたものである。

10月22日から、連続3回でお届けしているサラの最新インタビュー。今回は、選曲についてを主に語ってくれている。いろいろな音楽を通っていまのサラが形成されたことが良くわかるインタビューだ。

また、サラのメッセージ映像と『冬のシンフォニー』イメージ映像も到着。サラのこの世のものとは思えぬ美しい口から“BARKSをご覧の皆さん”という言葉が語られる感激のメッセージだ。

◆サラからのメッセージとイメージ映像

では、インタビュー第二回目をどうぞ。

   ◆   ◆   ◆

――クリスマス・ソングというのは確かに膨大な数があると思いますが、その中からどのように日本盤のボーナス・トラックを含む15曲に絞っていったのでしょうか。とてもヴァラエティに富んだ内容になっていると思いますが。

サラ・ブライトマン(以下、サラ):選曲は、いつものようにプロデューサーのフランク・ピーターソンと一緒に行ないました。選曲のポイントは、私の声質に合うことですが、クリスマス・ソングとひとくちに言っても、本当に様々なタイプの歌がありますよね。賛美歌、伝統歌、クラシック、スタンダード、ポップ・ソング…。私はこれらのなかから3つのテーマを持ちつつも、ジャンルを特定せず、神聖な響きの歌、陽気なパーティー・ソングなど、あらゆるタイプのクリスマス・ソングと、さらに新年を祝う気持ちを歌った曲も加えた構成にしたいと考えました。なぜなら、聴く人それぞれに好きなクリスマス・ソングがあり、想い出を持っていると思うので、それに応えられるアルバムにしたかったからです。最終的には「アヴェ・マリア」や「主よ、人の望みの喜びよ」といった神聖な響きの賛美歌、アップテンポの陽気な「アイ・ウィッシュ・イット・クッド・ビー・クリスマス・エヴリデイ」、ニール・ダイヤモンドのカヴァー「アイヴ・ビーン・ディス・ウェイ・ビフォア」など、幅広い選曲になりました。

――それらのなかで、サラ自身が特に歌いたいと希望した曲はありますか。

サラ:賛美歌の『きよしこの夜』と、EL&Pのカヴァー「アイ・ビリーヴ・イン・ファーザー・クリスマス」です。前者は、子供の頃から大好きな歌のひとつ。後者はクラシックの作曲家、セルゲイ・プロコフィエフの作品からメロディを引用して、EL&Pのグレッグ・レイクが書いた楽曲で、いつか歌いたいと思ってきた歌です。70年代に私は、EL&Pの音楽に夢中になりました。ラジオで初めてこの曲を聴いた時から、“グレッグとはまるで違う声質。この曲をどのように歌えばいいのかしら”とアプローチの方法さえわからないのに、なぜか絶対にこの曲を歌うのだと思い込んでいました。それが今回実現したというわけです。(続く)

(2008年秋 取材・文●服部のり子)

蛇足だが、BARKS編集部員Mは、サラが大のお気に入り。ヘヴィメタル好きにもかかわらず、「モーツァルトを常に聴いている」というクラシック・ファンでもあり、サラ・ブライトマンのアルバムはすべて持っている彼も、「今の音楽ファンは耳が肥えているので、力のあるシンガーとそうでないものとをすぐ聴き分ける能力がある。サラ・ブライトマンはもちろん実力があり、その上で聴きやすいのが特徴。すべてのアルバムで、ファンを裏切らない完成度の高いものを作ってきた」と評価しているという、ちょっと無駄話を最後に紹介しておこう。

◆iTunes Store サラ・ブライトマン(※iTunesが開きます)
◆サラ・ブライトマン・オフィシャルサイト
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