浜崎あゆみ、音楽の力を信じた全国ツアーが涙のファイナル

ポスト
全国ツアー<ayumi hamasaki ~POWER of MUSIC~ 2011 A>。そこには、普段の浜崎あゆみの公演のような、我々のド肝を抜く派手な演出や大掛かりなセットはなかったかもしれない。しかし、そこには浜崎あゆみを楽しみにするオーディエンスがいて、浜崎あゆみの歌声があった。そして“Pray for Japan”の想いがあった。

アンコールで披露された「a song is born」。チャリティープロジェクト<songnation>の第1弾シングルとして、2001年末に浜崎あゆみとKEIKOのデュエットで発表されたこの曲。浜崎あゆみは、<私にはこんな場所から / この歌を歌う事でしか / 伝えられないけど>と歌いながら号泣した。

震災直後、悲劇的な現実を前に、誰もが自分の無力さを知った。浜崎あゆみも、またそのひとりだったのかもしれない。しかしいつしか、「自分のできることをしよう」という意識を日本中が共有し、多種多様な形で支援の手が差し伸べられた。そしてそんな意識は、日本から世界へと波及した。

浜崎あゆみにとって自分のできること。それは歌うこと。4月からスタートさせるはずだったツアー(それはもちろん、3月の段階でリハーサルも行なっていただろうし、演出用の装置やセットもある程度はできあがっていたであろう)を中止し、1ヶ月という期間で企画から作りなおしてスタートさせた<ayumi hamasaki ~POWER of MUSIC~ 2011 A>。そこには、自身ができる歌で、愛と勇気を届けたいという浜崎あゆみと、そしてそんな浜崎あゆみのショウを届けることで、誰かの力になりたいというツアーに携わるすべての人の想いが込められていたに違いない。

<君がもしほんの少しでもいいから / 耳を傾けてくれればうれしいよ>

本ツアーでは、特に被災地支援ということは謳っていない。しかし各会場では、浜崎あゆみの歌声に耳を傾けたオーディエンスに、浜崎あゆみの想いが伝わり、そして、ひとりひとりが自分のできる範囲でアクションを起こした。たとえば、7月末までの間に会場に設置された募金箱には、開演前こそ、募金する入場者もまばらだったが、終演後には、行列ができるほどに募金が殺到したというエピソードもそのひとつだろう。

自分のできることとして、歌を通して愛と勇気、そして想いを伝えた浜崎あゆみと、そんなayuの歌に耳を傾けて、自分のできるアクションを起こしたオーディエンス。音楽を通じての、想いの連鎖。

“POWER of MUSIC”というツアータイトルは、ツアー全体を表すコンセプトであったとともに、浜崎あゆみと、彼女をとりまく多くの人たち、そしてオーディエンスをひとつに表す言葉だったのかもしれない。

そんなことが頭に浮かんでしまう、ファイナル公演だった。

最後に、浜崎あゆみと『ViVi』のコラボで制作されたチャリティーTシャツは、82092枚が販売され、このTシャツの全収益123,138,000円は、日本赤十字社を通じて寄付されたことが報告されている。

「今年のツアーは、3月11日の東日本大震災を受けて、当初予定していたものから演出内容や選曲などをすべて見直してまったく新たなライヴ「POWER of MUSIC」として創り上げてきました。あの日から刻々と変わっていく日本の状況とともに、様々な想いや出来事を決して忘れず、胸にしっかりと抱きながらライヴも進化し続けてきて、こうして最後まで音楽の力を信じてやり抜くことができて本当にうれしく思っています。今も日本中で頑張っている人たちに歌で愛と勇気を届けられるようこれからも歌い続けていきます。」── 浜崎あゆみ

text by ytsuji a.k.a 編集部(つ)
◆浜崎あゆみ オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報