ストーンズ50周年記念作品「マディ&ストーンズ」を徹底解析Vol.1

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マディ・ウォーターズ&ザ・ローリング・ストーンズ『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981』の日本先行発売がいよいよ7月4日に迫ってきた。1981年11月22日、20世紀ブルースの巨人マディのシカゴ公演に『刺青の男』ツアー中のストーンズが参加して行われたステージは、まさに歴史的なライヴ・コラボレーションだ。

◆ザ・ローリング・ストーンズ画像

「フーチー・クーチー・マン」「マニッシュ・ボーイ」などブルースの名曲でマディとストーンズが共演を繰り広げる本作だが、その背景やディテールなど、掘り下げるごとに味わいを増す、深い作品でもある。そこで、元レコードコレクターズ編集長の寺田正典氏と写真家で日本唯一のストーンズ・オフィシャル・フォトグラファーの有賀幹夫氏という、日本有数のストーンズ・マニア2人による、『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981』の解析を敢行した。

有賀氏の本作品への思いは、年季の入ったストーンズ・ファンならではのものだろう。

▲有賀幹夫
「1970年代からのストーンズ・ファンとしては、何故ストーンズはマディとの共演作品はないんだろう?と悔しい思いをしてきたんです。1962年の結成当時から、ストーンズはマディからの影響と敬意を公言してきたのに、アルバムで共演することがなかった。マディはレヴォン・ヘルムと一緒に『ウッドストック・アルバム』(1975年)を作ったり、『ラスト・ワルツ』(1976年のライヴ、1978年発売)で共演したり、1970年代後半のアルバムをジョニー・ウィンターがプロデュースしたり、70年代にロック側からの再評価の気運が高まっていった。それなのに、肝心のストーンズと一緒の作品がなかったんです。それが30年の時を経て遂に実現したというのは、本当に感慨深いです」

しかも、ただの共演ではない。「ストーンズは自分のステージにジョン・リー・フッカー、ボ・ディドリー、バディ・ガイなどを招いてきたけれど、このライヴでは自ら相手の陣地に乗り込んでいく。ある意味、武者修行なんです。そのスリルと緊張感がたまらない」

それにしてもこのライヴ共演は、どのような背景で実現したのだろうか。寺田氏は、こう分析する。

「マディのライヴにストーンズが飛び入りしたというような、まったくのハプニングではない。事前にセッティングされたことは確かでしょう。あらかじめ機材は会場に用意されていて、キースが1981年ツアーの後半でよく弾いていた焦げ茶色のテレキャスターや、メサ・ブギーのアンプも置かれている」

「あくまで仮説ですが…」と前置きしながら、寺田氏は続ける。

▲寺田正典
「ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』には大勢のゲストが参加していて、その中にストーンズのロニー・ウッドもいた。この時、マディは『マニッシュ・ボーイ』を歌っているのが、ストーンズが同じ曲を『ラヴ・ユー・ライヴ』でやるきっかけになった可能性もあります。さらにストーンズの1978年アメリカ・ツアー中に、マディとのステージ共演が実現しています。ただし、この時は録音や動画撮影がされておらず、写真しか残されていない。手応えを感じたストーンズ側が『次回シカゴでやる時、もう一度マディとやって、今度はちゃんとした形で記録しておこう』という思惑があったのかも知れません」

さらに有賀氏は指摘する。

「少なくともカメラが4台は用意されているし、そうとう本格的ですね。しかも、身動きのとれない小会場でうまく撮っていて、実に巧い。皆プロフェッショナルですよ」

だが、それほど気合いの入ったライヴにも関わらず、この映像は約30年、未発表のままだった。オフィシャルな形では、ストーンズの25周年ドキュメンタリー『25x5』(未DVD化)やマーティン・スコセッシの“ザ・ブルース・ムーヴィー・プロジェクト中の一作『レッド、ホワイト&ブルース』に一部が収録されたのみで、完全な形でリリースされるのは、今回が初めてなのだ。

寺田氏はこう考察する。

「1981年といえば、ブルース人気が低調だった頃。当時出しても、大ヒットは望めなかった。さらに1983年にマディが亡くなったこともあるし、ミックとキースの不仲が表面化し始めた時期で、こういうリリースに関しての話し合いが進めにくかった時期だったこともあるでしょう」

「スタジアムやアリーナとは、まったく別のストーンズがいる。この泥臭く生々しい演奏は、『ラヴ・ユー・ライヴ』に収録されている『エル・モカンボ・クラブ』でのクラブ・ギグに近いもの」と、寺田氏は語る。「それでいて、1981年ツアーのストーンズのフレーズやステージ・アクションが次々と飛び出す。ファンにはたまらない作品でしょう」というライヴについて、パート2ではより詳細に語っていただこう。

尚、現在2000セット完全限定のDVD+2枚組CD+3枚組LPボックスに予約集中している状況だ。初回分で完売確実のためファンは早めに押さえたい。2CDと3LPに収録されている音源は日本盤のみ完全収録だ。海外盤はDVDに1CDと2LPの仕様となる。

マディ・ウォーターズ&ザ・ローリング・ストーンズ
『ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981』
2012年7月4日 日本先行発売
2,000セット数量限定生産デラックスBOX[DVD+2CD+3LP] VQBD10107 13,500円(税込)
初回限定盤[DVD+2CD] VQBD10105 4,980円(税込)
[DVD] VQBD10106 3,980円(税込)

[DVD]
1.スウィート・リトル・エンジェル
2.フリップ・フロップ・アンド・フライ
3.イントロダクション
4.ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー
5.カントリー・ボーイ
6.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー
7.フーチー・クーチー・マン
8.ロング・ディスタンス・コール
9.マニッシュ・ボーイ
10.ゴット・マイ・モジョ・ワーキン
11.ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー
12.ワン・アイド・ウーマン
13.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー(インストゥルメンタル)
14.クラウズ・イン・マイ・ハート
15.シャンペン・アンド・リーファー
16.インストゥルメンタル 1
【ボーナス】
・ユア・ゴナ・ミス・ミー・ホエン・アイム・ゴーン
・ブラック・リムジン - ザ・ローリング・ストーンズ
(1981年12月18日のハンプトン公演から)

[CD1]
1.ユア・ゴナ・ミス・ミー・ホエン・アイム・ゴーン *
2.スウィート・リトル・エンジェル *
3.フリップ・フロップ・アンド・フライ *
4.イントロダクション
5.ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー
6.カントリー・ボーイ *
7.アイム・ア・キング・ビー **
8.トラブル・ノー・モア **
9.カウンティ・ジェイル **
10.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー
11.フーチー・クーチー・マン

[CD2]
1.ロング・ディスタンス・コール
2.マニッシュ・ボーイ
3.ゴット・マイ・モジョ・ワーキン
4.ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー
5.ワン・アイド・ウーマン
6.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー (インストゥルメンタル) *
7.クラウズ・イン・マイ・ハート
8.シャンペン・アンド・リーファー
9.インストゥルメンタル 1 *
10.インストゥルメンタル 2 **

[LP]
[Disc 1: Side 1]
1.ユア・ゴナ・ミス・ミー・ホエン・アイム・ゴーン *
2.スウィート・リトル・エンジェル *
3.フリップ・フロップ・アンド・フライ *
4.イントロダクション
5.ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー
[Disc 1: Side 2]
1.カントリー・ボーイ *
2.アイム・ア・キング・ビー **
3.トラブル・ノー・モア **
[Disc 2: Side 3]
1.カウンティ・ジェイル **
2.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー
3.フーチー・クーチー・マン
[Disc 2: Side 4]
1.ロング・ディスタンス・コール
2.マニッシュ・ボーイ
3.ゴット・マイ・モジョ・ワーキン
[Disc 3: Side 5]
01.ネクスト・タイム・ユー・シー・ミー
02.ワン・アイド・ウーマン
[Disc 3: Side 6]
1.ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー (インストゥルメンタル) *
2.クラウズ・イン・マイ・ハート
3.シャンペン・アンド・リーファー
4.インストゥルメンタル 1 *
5.インストゥルメンタル 2 **
*日本盤限定CD/LPのみ収録
**DVD未収録

【DVD仕様】
日本語字幕付 / 日本語解説付
映像:本編 約96分、ボーナス 約9分 / 4:3
音声:ドルビー・デジタル ステレオ、ドルビー・デジタル 5.1chサラウンド、DTSサラウンド・サウンド

◆曲別参加ミュージシャン一覧
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