<フジロック2012>の楽しみ方

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毎年、多様なジャンルから100組以上の優れたバンドが出演するフジロックは素晴らしいイベントだ。3日間で全バンドを網羅することは不可能だが、筆者個人は毎年なるべく多くのバンドを観るように努めている。あらかじめラインアップを予習し、自分が観たいバンドを1つでも多く、ステージ間の移動も効率的にできるようにスケジュールを組み立てている。

お客さんの中にはフードコート付近を拠点にして、時々レッド・マーキーやグリーンステージのパフォーマンスに足を運ぶという人もいるだろう。しかし、足が泥まみれになろうが何だろうが、ステージからステージを渡り歩くのがフジロックの楽しみ方の一つだろう。すでに地位を確立した有名なバンドだけでなく、もっと注目を浴びるのに値するバンドのブッキングもしっかりと行なっている主催者のスマッシュを称賛したい。今年のフジロックで最高に有意義な時間を過ごしたい!と思っている音楽ファンの皆さんに、メインステージ以外に出演するおすすめのアーティストを紹介しよう。

●Dirty Dozen Brass Band(ダーティー・ダズン・ブラス・バンド)
ホーン・セクションが素晴らしいニューオーリンズ出身の偉大なファンク・バンド。ニューオーリンズ・ミュージックが大好きな筆者はよく彼らのCDを聴くが、その真髄はライブでしか体感できない。同じくニューオーリンズ出身で今年のフジに出演するGalactic(ギャラクティック)とDumpstaphunk(ダンプスタファンク)もおすすめだ。

●Elvin Bishop(エルヴィン・ビショップ)
ブルース、R&B、カントリー、ロックの要素に自身の哲学とユーモアーを取り入れた独自のパーティー・ミュージックを展開。日本では主にラジオ・ヒット曲「フールド・アラウンド・アンド・フェル・イン・ラヴ」(スーパーフライがカバー)で知られるが、それ以上に奥が深いアーティストだ。素晴らしいギタリストであり、バターフィールド・ブルース・バンドのオリジナル・メンバーとして活動。オールマン・ブラザーズも所属していたカプリコーン・レーベルの花形スターだった。「パーティー・ティル・ザ・カウズ・ゴー・ホーム」は、パーティー好きなことで知られる彼のトレードマーク・ソングだ。

●Ernest Ranglin(アーネスト・ラングリン)
ジャマイカ出身のギタリストで最近80歳の誕生日を迎えたばかり。ボブ・マーリー、ジミー・クリフ、リー・ぺリー、スライ&ロビー、スカタライツといったレゲエ界の重鎮らと共演してきた経歴を持つ。グルーヴィーな音楽で踊りたい人は是非チェックしてほしいバンド。

●Explosions in the Sky(エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ)
テキサス州出身のポスト・ロック・バンド。ゆったりとした、時には不協和音的で浮遊感の漂うサウンドが特徴。モグワイ、ソニック・ユース、トータス、MONO(アメリカでは同じレーベル、テンポラリー・レジデンスに所属)が好きな人は要チェックのバンドだ。

●Kooks(クークス)
インディーズのブリット・ポップ・バンド。筆者の一番お気に入りはサード・アルバム『ジャンク・オブ・ザ・ハート』で、タイトル・トラックはラジオで頻繁にエアプレイされてきた。バンド名はデヴィッド・ボウイの曲から引用したそうだ。アークティック・モンキーズやストロークスと比較されることが多いことも彼らの実力を証明している。

●Mop of Head(モップ・オブ・ヘッド)
日本のインディーズ・バンドで、インストゥルメンタル・ダンス・ロックを展開。タワーレコードの“踊るロック”キャンペーンの冊子表紙を飾っている。プロディジーやケミストと引き合いに出されることのあるバンドは、すでに海外にかなりのファン層を築いており、ドイツのデジタリズムやイギリスのティースと共演したことも。BBC Radio 1のジャイルズ・ピーターソンもバンドのファンのひとりだ。やんちゃなメンバーが繰り広げるパワー炸裂のライブに心して挑もう。

●Onda Vaga(オンダ・バガ)
アルゼンチン出身のバンドで、結成当初はギタリストとトランペット・プレイヤーのみの編成だったが、現在はフルバンドとして活動している。筆者はスペイン語の歌詞を全部は理解できないが、非常に素晴らしいエネルギーに溢れたバンドで、老若男女から音楽知識人に至るまでのあらゆる層が楽しめる音楽だ。彼らの魅力的な音楽を聴いた人は踊り出さずにはいられなくなるだろう。

●麗蘭(レイラン)
筆者が最も好きな日本のバンドであるRCサクセションのギタリスト仲井戸麗市とストリート・スライダーズのギタリスト/ボーカルの土屋公平こと蘭丸のユニット。まだライブを観たことがないが、きっと最高のギター・ロックを聴かせてくれるだろう。

●Third Coast Kings(サード・コースト・キングス)
偉大なタワー・オブ・パワーをどことなく彷彿させるアメリカ出身の8ピース・ファンク・ソウル・バンド。

●渋さ知らズオーケストラ
ジャズ、ロック、ダンス・ミュージックなどあらゆる音楽を取り入れたクレイジーなサウンドを展開する大所帯バンド。素晴らしいミュージシャン陣に、ダンサーチームとゲスト・ミュージシャンが参加するステージは圧巻だ。カッコよさと娯楽性を兼ね備えたユニークなバンドだが、メンバーの人数が多く大きいステージが必要なため、頻繁にはライブを行なっていない。今年のフジロックでの彼らの常軌を逸したパフォーマンスをお見逃しなく。

キース・カフーン(Hotwire)

◆【連載】キース・カフーンの「Cahoon's Comment」チャンネル
◆BARKS洋楽チャンネル
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