4foglio【インタビュー】マーケティングによる曲作り、その理由と答えとは

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“声で遊ぶコミュニティ”として話題のSNS「koebu」で注目を集める4人組、4foglio(クワドリフォリオ)。声と楽曲のクオリティだけを武器に活動し、メンバーの顔はもとより詳細なプロフィールも明らかにされておらず、楽曲の波及に反して4foglioという存在自体は謎を増すばかり。そこでBARKSでは、4foglioの謎を解き明かすべくロングインタビューを敢行、全3回にわたりお届けする。第2回目は、「マーケティング」という彼らの楽曲制作の手法に焦点を当て、一風変わったこの作業について、そして予想外の発見も話してもらった。

◆第1回:“声で勝負”する4foglio、顔出ししない理由は「ブサイクなんで(笑)」!?

――そもそも、マーケティングという手法を取り入れるにあたっては、どんなきっかけがあったんですか?

ユウ(Vo):本当の意味でリスナーの目線に立つ曲作りってどういうことだろう? と考えた時に、「じゃあ実際に聞いてみたら?」というスタッフの意見からスタートしてるんです。洋服でも家電でも何でも、作る時には当たり前のようにマーケティングをしっかりやるのに、音楽は「アーティストでなければいけない」「ゼロから生み出さなければいけない」という流れがあると思うんですよ。僕もそうだったから、最初はちょっと抵抗があったんですけど、でもやってみたら面白いし、いろんな刺激を受けることが多かったんですよね。

――実際の進め方は?

ユウ:かなり細かいアンケート資料をいただくんですよ。あとは雑誌、ネットとかでも調べて、使えそうな言葉をメモしたり、そこからストーリーを考えていきます。ストーリーができてしまえば、あとは最初にメモしておいた言葉や頭の中にある言葉をひとつひとつ入れていく。難しいことも多いですけどね。人はそれぞれ経験やバックボーンが違うので、同じような答えでも同じ意味じゃないことがあるので。それをどうまとめるのか? が、難しいといえば難しい。

――読み取る能力も必要だと。

ユウ:それがだんだん自分の中でわかってきて、「こういうふうにやればいいんだな」と。自分では思いつかない視点も、マーケティングだからこそ書けるし、それができるようになってくるとだんだん面白くなってきたんですよね。

――その手法を使って最初に作ったのが「またね。。。 feat.little」(1stデジタルシングル/2012年5月16日発売)ですか。

ユウ:そうです。あと1曲未発表の曲と、ほかにも数曲同時に作っていたんですが、それを作りながら少しずつ自分の中で見えてきたものがあったんですね。最初は抵抗があったけど、ふたを開けてみればやっていることは今までと一緒で、ただ最初の切り口の発想が違うだけなんだなと。

――たとえば「またね。。。」は、どんなふうに作っていったんですか。

ユウ:別れの曲を作ることは決まっていて、いろんな人の別れた理由を集めてみたんですけど、けっこうみんな、意外とあいまいな理由で別れたりしてるんだなと思ったんですよ。これを作っていたのは4月くらいで、ちょうどいろんなことが変わる季節で、「新しい環境になじめない」と答える人がけっこういたんですね。それで「恋愛をないがしろにしてしまって、申し訳ないから別れます」とか。たとえば高校から大学に行くタイミングで別れるとか、好き・嫌いの話ではなくて、自分が置かれた環境がそうさせてるみたいな答えがけっこうあって。それを読んで、そこからストーリーをふくらませていったんです。

――ふむふむ。ナルホド。

ユウ:それが二番の歌詞で「いつも笑ってふざけあっていたボクら、ねぇいまどうしてただ黙って時を止められずにいるの?」という、ここに集約されてるんですね。二人ともどうすることもできないという。「これ、どっちがフッたんですか?」って聞かれたりするんですけど、「いや、どっちもそうなんです」みたいな(笑)。聴く人によって、自分の恋愛に置き換えた時に、フッた側の気持ちになってもらってもいいし、フラれた人はそう取ってもらってもいいし、どちらにも取れるようなところを残しておきたいなと。ここはまさに、マーケティングの資料から生まれた言葉ですね。ちなみにその次の「Oh!サマーKING!!」を作る時には、スタッフがこういうアンケートを作ってくれたんですけど…(と、分厚い資料を取り出す)。

――おお、かなり細かいんですね。「彼氏はいますか」「つきあって何年ですか」「習い事はしてますか」「毎年新しい水着を購入しますか」「合コンは」「休みの日には何を」「ストレス解消法は」「癒されていると感じる時は」…これすごいですね、「おつきあいしてない人と体の関係を持ったことがありますか」(笑)。こんな質問、答えてくれるんですか。

ユウ:(笑)意外とみんな、ちゃんと書いてくれるんですよ。

ハル(G):もちろん匿名ですけど。

――毎回、何人ぐらいに聞くんですか。

ユウ:スタッフにやってもらってるんですけど、直接会うだけでも100人以上は聞くらしいです。「Oh!サマーKING!!」に関しては、夏の恋愛には開放的な部分が強いので、そこをうまく引き出せたらいいなと思って書いていきました。ひとつこだわったのは、夏といえば海というイメージがありますけど、街の中で起きていることを書けたらいいなと思ったんですよ。「街の中で起きている夏の恋愛事情」、しかも「ちょっと大人の恋愛」を描けたらいいなと思ってました。みんな仕事ばっかりで、現実的に海に行ったりとかはできないだろうから、現実の夏を意識して書きましたね。

――この歌詞、韻踏みまくりですね。「サマー」「王様」「いかさま」「おひとりさま」「おつかれさま」…。

ユウ:遊びながら書きましたね。これは本当に韻だけをずらーっと書いて、あとから組み合わせてみました。ネットで調べると、けっこう出てくるんですよ。「ヨン様」とか、いちおうメモっといたんですけど(笑)。

――あははは。全然関係ない!(笑)

ユウ:何かに使えるかな?と思って(笑)。

――曲調は明るいディスコ・ソウルっぽい、ポップに振り切った感じです。

ハル:この曲は完全にニューヨークっぽくしようと思って、あんまり考えずに作りましたね。そんなに時間はかからなかったです。

ユウ:「またね。。。」はガット・ギターでしっとり弾いてるんですけど、「Oh!サマーKING!!」はエレキがメインですね。

ハル:アコギが一瞬だけ入るけど、あとはエレキで。

ユウ:女の子のコーラスが「No music,No summer」と繰り返すところ、あれが新鮮で良かった。海に行きたい、恋をしたい、でも現実は仕事が忙しくてできない、そういう人に聴いてもらって、恋したつもりになっていただければ。もしくは「来週あたり合コンにでも行ってみようかな」とか、そういうきっかけにしてもらえれば。それぐらい軽い感じで聴いてもらったらいいなと思ってます。恋愛を歌っている曲って、サウンドが重くなると曲自体が重くなるので、できるだけ軽やかにしてみました。そういう意味では現代っぽく、良くも悪くもさらっと聴き流せる部分があったほうがいいと思うので。

――「4foglioは恋愛ソングを歌っていく」ということは決めてるんですか。

ユウ:そうですね。最初のコンセプトとして、だいたい20代の女性をターゲットにしているので、まずはそういう歌をたくさん書いていこうと。ゆくゆくは違うテーマもやりたいですけど、春から始まって季節が一周するまでは、恋愛を書いていこうと思ってます。

――やっぱり一大関心事なんですね、20代女性にとっての恋愛は。

ユウ:そうですね。それもマーケティングの成果というか、そういう意味でもマーケティングは面白かったです。ふだん見れないところが見れて、「本当にそうなんだ」と思ったり。

――たとえば?

ユウ:意外と、軽い人は軽いんだなとか(笑)。あとやっぱり、みんな将来をすごく気にしてますね。そこは男とは違う気がする。20代前半で将来を見据えた恋愛を考えるなんて、少なくとも僕には考えられない(笑)。自分の夢しか考えてないんで。それを資料としてリアルに知れて、「ナルホドな」というのはありました。

取材・文●宮本英夫


2ndデジタルシングル
「Oh!サマーKING!!」
8月8日配信開始
レコチョク http://recochoku.com/4foglio/
iTunes http://itunes.apple.com/jp/album/id547885564

3rdデジタルシングル
「シンデレラ」
9月12日配信開始

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