【ライブレポート】KNOCK OUT MONKEY、がっちりとスクラムを組んだ彼らに隙はなし

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溢れんばかりの躍動感に加えて、普遍的でありながらも新鮮な4人のトーンが浮き彫りとなったミニアルバム『0 → Future』を掲げ、KNOCK OUT MONKEYの全国ツアーがスタートした。


◆KNOCK OUT MONKEY画像


<KNOCK OUT MONKEY『0 → Future』Release Tour>と題されたこの全国ツアーは、全12都市全16公演が発表されているが、このうち渋谷club asia、心斎橋CLUB DROP、名古屋ell. FITS ALL、渋谷eggman、神戸チキンジョージでの公演は自主企画イベント<KNOCK OUT MONKEY presents “Mind ≒ Nature”>として開催される。さらには、ツアー中に数々のイベントやFear,and Loathing in Las Vegasリリースツアーのゲスト出演も決定。12月15日の神戸チキンジョージまでの足掛け4ヶ月間は、ファン同様、メンバーにとっても待望のライヴ三昧な日々、となるようだ。

その幕開けとなった9月21日の渋谷club asia。ステージ上に掲げられたKNOCK OUTMONKEYのバックドロップを背に、BUZZ THE BEARS、RIZING 2 END、But by Fallといった朋友3バンドがリリースツアーを祝う熱演を繰り広げる。シーンを盛り上げたいという気概が織りなすサウンドにフロアも熱を帯びていく。

客席のオーディエンスや舞台袖に陣取ったゲストバンドたちが見守るステージに、この日の主役、KNOCK OUT MONKEYの4人が登場すると大歓声が沸き上がった。中二階のPAブースが振動するほどの反応に、このツアーへの期待感の大きさがうかがいしれる。これからツアーに参加される方々のためにも、セットリストの詳細に触れることはしないが、『0 → Future』収録曲を中心に進められたツアー初日は、序盤からダイブやモッシュが巻き起こる盛り上がりをみせた。

「ここに来たアナタ、1人1人が楽しめばそれで結構。一番前でも一番後ろでも端っこでもどこでも構いません。好き勝手やりたいように、遊んで帰りましょう!」

と、手にしていたギターを置いたヴォーカル&ギターのw-shunは、一層ダイナミックなパフォーマンスをみせる。そしてその激しいステージングの中で、とりわけ際立っていたのが楽曲の完成度の高さだった。『0 → Future』リリース後、あいだに<JOIN ALIVE 2012>や<SUMMER SONIC 2012>などの大型フェスやイベント出演を挟んでいるだけに楽曲のライヴアレンジは練り込まれているのだが、それ以前にバンド本来のドライヴ感とブ厚いサウンドが凄まじい。いわゆるラウドロックの激しさを核にしたうえで、じっくり聴かせる部分を併せ持ち、そして実は非常にキャッチー。この絶妙なバランスが彼らの楽曲をスリリングで、より懐の深いものにしているようだ。

もちろん個々のプレイヤーとしての実力もライヴの見どころ。全身をムチのようにしならせるナオミチのパワフルなドラムプレイは、シンプルなドラムセットからは想像できないほど色とりどりのリズムを叩き出す。そこにロックのダイナミズムを加える亜太のベースは、重低音を絞り出すようなフィンガーピッキングやパーカッシヴなスラップを駆使してグルーヴを加速させていた。その風貌に似つかわしい豪快なギターを奏でるdEnkAだが、彩るトーンは繊細。楽曲の求めるサウンドをあらゆる手段で表現するためにセットした数々のエフェクターから、力強い音の流れを生み出している。w-shunはその流れに巧みに乗った歌心のあるギターをプレイ、その一方でフロアのすべてを一気に飲み込む存在感に満ちたヴォーカルを響かせる。

ステージ後半のMCでは「ツアーが始まったばっかりで今日一日はちょっとプレッシャーが」と笑顔で語ったw-shunだが、その緊張感はライヴならではのテンションの高さに昇華していたように感じた。また攻撃的なナンバーのみならず、ミディアムチューンからダンスチューンまで、彼らの豊かな音楽的バックボーンを反映した多彩な楽曲たちは会場の空気感まで表現するように、実にライヴの場で生き生きとしていたのだ。

前述したように、この夏の巨大フェス出演を経た彼らのサウンドは、一回りも二回りも成長している。時間が限られたフェスでは演奏されなかった楽曲が初披露されることもこのツアーの見どころであり、それら楽曲がステージをよりドラマティックなものにしていた。そうして集約された4人のパワーと想いが真っ直ぐにぶつかってきたこの夜を皮切りに、<KNOCK OUT MONKEY『0 → Future』Release Tour>がスタートした。

最後に、終演直後の楽屋から届いた楽器隊メンバーのメッセージを紹介しよう。

「僕らのライヴはアスリート的な部分にも比重を置いているので、音源とはまた違って、見てなんぼなんです。ぜひ体感してほしい」──亜太

「バラエティに富んだ『0 → Future』の喜怒哀楽を、音源よりももっと広くもっと深く、1ステージで表現したいですね」──dEnkA

「全国各地のお客さんと思いっ切り遊んで、ツアーが終わる頃には一歩上のステージに行っていたいです」──ナオミチ

ライヴで活きる楽曲を得た4人のサウンドは、広がってまた新たな一面を覗かせている。がっちりとスクラムを組んだ彼らに、まるで隙はなし。今後のステージがますます楽しみとなるツアー初日だった。
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