【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.6「名曲「ワット・クッド・ハヴ・ビーン・ラヴ~愛と呼べたもの」誕生の背景と、エアロスミスにおけるバラードの重要性」

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現在、世界各国で大ヒット中の『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』の7曲目には、「ワット・クッド・ハヴ・ビーン・ラヴ~愛と呼べたもの」と題された美しいバラードが収録されている。アルバムに少しばかり先がけて、「レジェンダリー・チャイルド」「ラヴァー・アロット」に続く第3弾先行シングルとして発表されていたこの楽曲は、スティーヴン・タイラーとマーティ・フレデリクセン、そしてラス・アーウィンの共作によるもの。この共作者たち2人の名前について、改めての説明を必要としないファンも少なくないはずだが、トム・ハミルトンはこの楽曲に関することのみならず、彼らのポジション、さらには“エアロスミスにとってのバラードの重要性”についてまで一気に語ってくれた。今回はこの楽曲のビデオ・クリップ撮影時の写真と共に、彼の発言をお届けすることにしよう。

「エアロスミスの熱狂的なファンの間では、マーティに関しての評価や意見が分かれているようなフシがある。僕らは彼のことを、“アルバムを完成させるうえでの手助けをしてくれる男”として認識しているんだ。マーティは元々、このバンドのツアー・キーボーディストを務めているラス・アーウィンとコラボレーションをしていたんだ。今となっては、常に僕らのステージで鍵盤を弾いているラスについても、ファンの大半は認知しているはずだと思う。彼は素晴らしいミュージシャンだよ。そしてこの曲については、そもそも彼とマーティが一緒に曲作りをしていたところから始まっているんだ。そこにスティーヴンがやって来て、3人で作業に取り組み始めて……そこで生まれたのがこの曲だったというわけさ。綺麗なバラードだよね。エアロスミスのアルバムには、かならずバラードがいくつか収録されている。今回で言えば、僕が作詞/作曲を手掛けたあの曲も含めてね(笑)」

当選ながら彼が言う“あの曲”というのはアルバムの4曲目に収録されている「テル・ミー」のことを指す。そしてトムは、このバンドにおけるバラードの存在理由について、次のように語っている。

「ある意味、僕らがここまで生き延びてこられたのはバラードのおかげともいえるんじゃないかな。当然ながらそれは僕ら自身がプレイしたいものであると同時に、このバンドのキャリアを持続させてくれるものでもあるんだ。よくこういった取材の際に、“40年にもわたって長続きさせることができている理由は?”と訊かれることがあるんだけど、言ってみれば僕らは“生き残るすべ”とでもいうべきものをいくつか見つけてきたんだよ」

つまり、そのひとつがバラードだということである。

「仮にエアロスミスが長ったらしい曲ばかり演奏するようなバンドだったら、誰もアルバムを買ってはくれないと思う。そうじゃないもの、すなわちこういったバラードとかがあるからこそ、僕らは世界中をまわってロックすることができるんだ。それにね、実際、ステージに上がってバラードを演奏したときのオーディエンスの反応を見ていると、いかにそういった曲たちがみんなに愛されているかが伝わってくるんだよ。たとえば『パーマネント・ヴァケイション』(1987年)からの「エンジェル」を演奏しているときにも同じことが起こる。エアロスミスのファンであることを自認する人たちが好きなのは、ファストでラウドな曲ばかりじゃなく、実に多様なんだってことを、僕らは長年の経験のなかで学びとってきたといえるね」

その「エンジェル」については、当時、全米チャート3位を記録。その時点までにおけるエアロスミス最大のヒット・シングルとなったものの、外部ソングライターであるデズモンド・チャイルドの関与があまりにも大きな同楽曲をステージ上で演奏することについて、彼らは一時、ある種の抵抗を口にしていたこともある。とはいえ、しばらく演奏せずにいたあとには「むしろ新鮮に感じる」とも、「いいバラードには目がないし、それを演奏しない手はない」とも。実際、ここであれこれと具体例を挙げるまでもなく、エアロスミスの歴史は常にさまざまなバラードの名曲に彩られてきたともいえる。そしてそのリストに、この2012年生まれの「ワット・クッド・ハヴ・ビーン・ラヴ~愛と呼べたもの」のタイトルが書き加えられることになったというわけだ。

さて、次回はスティーヴンとジョー・ペリー、ブラッド・ウィットフォードの共作によるキラー・チューン、「ストリート・ジーザス」について語ってもらうことにする。どんな発言が飛び出すことになるか、お楽しみに!

取材/文:増田勇一

◆エアロスミス特設チャンネル「 【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実」
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