【インタビュー】AKIHIDE(BREAKERZ)、ソロアルバム『Amber』は自分色100%「今日までの音楽人生の集大成になった」

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BREAKERZが、メンバーそれぞれのソロプロジェクト始動を発表したのが2013年2月のこと。その第一弾、ギタリストAKIHIDEの1stソロアルバムが6月5日にリリースされる。タイトルは『Amber』。自身による全作詞作曲はもとより、全曲ボーカル&ギターを務めたことに加えて、アルバムのアートワークに至るまでAKIHIDE色を100%発揮した意欲作の完成だ。計11曲を収録したこの作品は、今まで抱いていたAKIHIDE像とはまた似て非なるもののようにさえ思えるほど、幻想的でいて現実的な仕上がり。AKIHIDEのロック感本来が持つ本質はそのままに、感情の起伏をなぞるサウンドは、静と動の両極を描く人生そのもの。決めごとのない自由な中でありのままの自分を表現した彼の、その計り知れない発想の源を解き明かすインタビューをお届けしたい。

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■自分自身への発見がたくさんあるレコーディングになりました
■僕は自分の伝えたい想いを物語として構成するのが好きなんです

──BREAKERZのメンバーそれぞれがソロプロジェクトを始動することが発表されました。その口火を切るのがAKIHIDEさんの作品ということになりますが、ソロ作品を制作するにあたって、どのようなものにしようと構想しましたか?

AKIHIDE:まず、1年ちょっと前にBREAKERZのメンバー間で話し合ったんです。バンドとしてひとつの節目を迎えたので、それぞれが新たな活動をすることでBREAKERZがさらに広げられるんじゃないかと。それがソロプロジェクト始動の経緯です。そこで、初めて具体的に自分のソロ活動をどうしていこうかと考えたときに、自分の色や自分のすべてを注ぎ込んだものを作るしかない。そうじゃないとお客さんには喜んでもらえないと思ったので、とにかく、楽曲、歌、ギター、アートワーク、すべてに関わって、自分色100%のものを提示したいなと。

──サウンド面の印象はすごくドラマチックでした。ダイナミックなものから繊細なものまで、バンド感を主軸に貫かれていると。その一方で、「黒猫のTango」はタイトル通り、タンゴのリズムを採り入れたりと、アプローチは実にさまざまで。

AKIHIDE:収録した楽曲は、そもそも今回のソロアルバムのために作ったものだけではないんですよ。自分がこれまでに作ってきた全楽曲からチョイスした作品になってるので、ある意味、今日までの音楽人生の集大成になっています。作った当時に感じていた音や詞、想いがその時その時にあるので、けっこうカラフルな楽曲群になったなと思います。

──ということは、AKIHIDEさんが辿ってきたルーツや音楽志向なども垣間見える感じですね?

AKIHIDE:そうですね。その時にハマっていたものが反映されていたり、それを今のフィルターを通して、リアレンジしたので。“自分でもあの頃はこう思ってたんだな”と感じてそのまま活かすところもあれば、逆に“ここは変えないと、現代では伝わらないな”と手を加えたり、自分自身への発見がたくさんあるレコーディングになりましたね。

──ちなみに、いちばん古い曲は?

AKIHIDE:「星の王子さま」(通常盤ボーナストラック収録)ですね。これは7~8年ぐらい前に作った楽曲で、他のアルバム収録曲といちばん雰囲気が違うんです。だからボーナストラックに収録しました。ただ古いものと最近作った曲を聴き比べて思うのは、自分ってあんまり変わってないなということ(笑)。核にあるものは変わってなくて、それをどう料理していくかっていう方法論が変わっていったんだなと感じました。それは歌詞で伝えるメッセージも同じなんですけど。

──では、「星の王子さま」と対照的だと思う曲は?

AKIHIDE:普通はひとつの作品で似たようなタイトルは使わないと思うんですけど、同じく“星の”がタイトルに付く「星の狂想曲」ですね。今回のアルバムでは全体的に僕が好きな“静と動”みたいな対比があって、もの悲しさの中に潜むポジティブなエネルギーみたいなものを込めているんですけど、それがすごくわかりやすいカタチで凝縮されてるのがこの「星の狂想曲」かな。片やアコースティックの「星の王子さま」、片や激しさと静寂が共存してる「星の狂想曲」っていう意味では、相対する曲なのかなと思いますね。

──確かに「星の狂想曲」のサウンドは“静と動”の対比が非常にわかりやすい。

AKIHIDE:そういうメリハリのある楽曲が好きなんですよ。歌詞もそうなんですけど、いわゆる一筋縄じゃいかない感じというか。世の中のすべてのものも同様だと思うんですけど、良いことと悪いことが一緒に存在しているように、サウンド面でもふたつの相反するものが共存することで、よりレイヤーが深くなるというか、面白味が増すと思っているんです。

──歌詞からはいろんなストーリーが想像ができます。

AKIHIDE:「星の狂想曲」だけでなく、僕は自分の伝えたい想いを物語として構成するのが好きなんです。このアルバム全体の作詞もアートワークも基本的に、伝えたいことをいろいろな方法で料理した結果、その物語が童話的になったり、新しいストーリーを生み出すことになったと思います。

──なるほど。

AKIHIDE:「星の狂想曲」は自分の回りで根本になる話があって。自分が“流す涙”側だったときもあるし、逆に女性側の立場もわかるので、そういう部分をたとえて書きました。1番だけ聴くとシンプルでキレイな恋愛ソングだと思うんですけど、2番に入ると不実な恋の話に切り替わる。だから“静と動”や“光と闇”、“キレイなものと汚いもの”みたいな対比を歌詞の面でも凝縮しています。聴いていただいた方には、そこにリンクするものを感じ取ってもらえるかもしれないし、深読みするきっかけにもなる。不実な愛でもそこにはきっと愛し合った証だったり、確かに輝くものがあったと思う。ただ、その事実に悲しむ誰かもいる。一筋縄ではいかないというか、良い悪いとは簡単には言えないこと。それはまるで人生そのもので、そういうことを認め合いたいなと。

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