ロックの神様が定めた、ポール・マッカートニーとジミ・ヘンドリックスの運命

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11年振りのジャパン・ツアーで素晴らしいパフォーマンスを見せたポール・マッカートニーだが、全公演で「ジミ・ヘンドリックスに捧ぐ」と言って演奏している特別な演目がある。ポールは、自身の「レット・ミー・ロール・イット」という楽曲の最後に、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの「フォクシー・レディ」をつなげてメドレー演奏をしていた。

◆ジミ・ヘンドリックス画像

27歳で亡くなりながらも今も伝説として語り継がれるジミヘンを、同年代の生ける伝説のポールが追悼するその理由と背景は、以下のとおりだ。

ファンの間では有名な話だが、ポールとジミは、マイルス・デイビスらと共に空前絶後のスーパーバンドを組む寸前にあった。ジミが亡くなる1年前の1969年に、アラン・ダグラスをプロデューサーに、ジミとマイルス、そして当時のマイルスのバンドでドラマーを務めていたトニー・ウィリアムスの三人がレコード制作を計画しており、その企画の中でポールにベーシストとしてバンドに加わるよう、正式な依頼が出されていたのだ。結局ポールがスコットランドで休暇中であったため、バンド実現には至らなかったものの、その電報はプラハのハード・ロック・カフェによって落札され、展示されている。

ロックの神様によるボタンの掛け違いによっては、二人はバンド・メイトになっていたかもしれない。ポールとジミの間柄の深さを示す事象として、ジミがギターに火をつけて伝説となったモントレー・フェスティバルの件も象徴的だ。11月20日に発売されたジミの最新DVD『ヒア・マイ・トレインAカミン』の中で、ポールはこのように証言している。ポールはジミの大ファンだった。

「ママス&パパスのジョンに「モントレーに、ビートルズも参加しないか?」と誘われたんだ。そのとき僕たちは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラヴ・バンド』から『マジカル・ミステリー・ツアー』プロジェクトでずっとスタジオに缶詰だった時期だったから、出演できなかった。「でも、凄いヤツがいる」とジミを紹介したら、最初は「ジミって誰?」と戸惑っていたんだけど、「そいつは凄いの?」と聞くから「勿論さ」と答えたよ。そしたらジミの出演が決まったんだ」──ポール・マッカートニー

ポールの後押しでモントレーへの出演が決まり、あの伝説的パフォーマンスが生まれたというわけだ。そしてそれが、ジミが最終日大トリを務めた歴史上最も重要な音楽イベントであるウッドストック・フェスティバルへとつながっていく。DVD『ヒア・マイ・トレインAカミン』ではポールを始めとしてスティーヴ・ウィンウッド、エディー・クレイマー、リンダ・キースといった重要人物がジミについて語っている他、多数の未発表ライブ映像を収められた本編120分、ボーナス映像70分の映像商品だ。

また、モントルーとウッドストックという二つの歴史的事象をつなぐ重要な架け橋であるマイアミ・ポップ・フェスティバルでのライヴCD『マイアミ・ポップ・フェスティバル/ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス』が、11月6日に全世界同時で発売となった。このCDに収録されている、「フォクシー・レディ」のライヴ映像をぜひご覧頂きたい。

27歳で亡くなってしまった天才と71歳になった今も世界を熱狂させる盟友。ロンドンで交錯した同年代の二人は、ロックの神様が定める運命の中で今も深く絡み合ったままだ。



Ken DavidoffAuthentic Hendrix LLC

DVD ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『ヒア・マイ・トレインAカミン』
2013年11月20日発売 SIBP-235 税込¥4,935

CD ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『マイアミ・ポップ・フェスティバル』
2013年11月6日発売 SICP-3909 税込¥2,520

◆ジミ・ヘンドリックス・オフィシャルサイト
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