ローランドがNAMM発表の新製品を国内で披露、シンセ、ギター、ドラム関連製品が多数登場、太鼓の達人とのコラボや「ねごと」のライブも

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ローランドは2月4日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで新製品発表会を開催、1月にアメリカ・アナハイムで開催された「2014 NAMM Show」で発表された新製品を披露した。ステージ・ピアノ、シンセサイザー、ドラム関連製品、BOSSギター・エフェクターなど多彩な製品がデモンストレーションを交えて紹介、これら新製品を使用した「ねごと」のライブも行われた。

■サウンド、鍵盤タッチ、操作性を向上したステージ・ピアノ「RD-800」

発表会は1月発売のステージ・ピアノ「RD-800」からスタート。サウンド、鍵盤、操作性といったRDシリーズならではのよさをさらに強化したモデルだ。

アコースティックピアノでは「V-Piano Grand」のノウハウを生かしたサウンドを収録。要望の多かったというアップライト・ピアノ音色も新規搭載。エレクトリック・ピアノは素材レベルから音色を一新、打鍵/離鍵時のハンマーのメカニカルノイズなども忠実に再現する。60年代、70年代、80年代それぞれを代表するモデルを再現した音色も用意。専用設計のアンプシミュレーターによりエレピならではの歪みをも表現するのがポイントだ。

新機能では演奏する音色をつまみ1つでカンタンにリアルタイムで調整できる「トーン・カラー」機能に注目。たとえば、アコースィック・ピアノ音色ではバンドアンサンブルで埋もれにくい存在感のあるモノラルサウンドと、ピアノ・ソロに最適な広がりのあるステレオサウンドをシームレスに調整可能。また、鍵盤は最新のPHA-4コンサート鍵盤を採用、微妙なニュアンスやコントロールを忠実に再現する。


▲「RD-800」はつまみやスライダーを数多く装備し、シンプルな操作性を実現(写真左)。西脇辰弥さんが演奏を披露。歪みを加えたエレピ・サウンドや、ソロからバンド演奏まで幅広く使えるピアノ・サウンドなどを聴かせた(写真右)。

■ゼロから音楽を生み出すワークステーション「FA-06」「FA-08」

「FA-06」「FA-08」は、既報のとおり現代の音楽スタイルに必要な要素を見直して再構築した新しいワークステーション。発売は2月下旬予定。

「INTEGRA-7」直系の強力なサウンドエンジン、DAWの連携、単体機に匹敵する強力なサンプラー、イメージを素早く形にするシーケンサーを有機的に統合、音楽制作とライブに最適なモデルとなっている。音色ダウンロードサイトから拡張音色を追加できるのも大きな魅力。DAWとの連携ではLogic、SONARなどのコントロールが可能なほか、オーディオインターフェース機能も装備。シーケンサーで作った複数のトラックを1度の操作でWAVに書き出せるマルチ・トラック・エクスポート搭載も目新しい。

デモ演奏ではSuperNATURA音源によるストリングスやオルガンをはじめ、鍵盤ではむずかしい奏法も再現するアコースティックギターサウンドなどを披露。内蔵シーケンサーでシンセパッド、リード、ベース、ドラム、ソロと各パートをノンストップでレコーディング、曲を仕上げていく過程も実演された。


▲直感的に操作できるつまみやパッドを備えた「FA-06」(写真左)。DAWのコントローラーとして使えるほか、強力な連携機能を用意(写真右)。


▲デモ演奏ではリアルタイム・レコーディングの実演や手をかざしてエフェクトや音色などをコントロールD-BEAMを使ったプレイも(写真左)。88鍵モデルの「FA-08」がラインナップされるのも大きなトピック(写真右)。

■サウンドと使いやすさをブラッシュアップしたマルチ・エフェクター「ME-80」

ギター関連では、発売されたばかりのマルチ・エフェクターMEシリーズのフラッグシップ・モデル「ME-80」が登場。直感的なユーザーインターフェースと即戦力サウンドを持つライブ仕様モデルだ。

セッティングを直感的に操作できる30個のノブを装備。新開発の8個のペダル・スイッチは、コンパクト・エフェクター感覚での操作と、エフェクト・パッチを瞬時に切り替える2つのモードが選択可能な実戦向け。コントロール・ペダルではリアルタイムにパラメーター操作が可能だ。そして、COSM技術による最新のアンプ・サウンド、実戦向きのエフェクトとしてヴィンテージから最新エフェクトまでを搭載。名機「OD-1」「DS-1」から最新の「TERA ECHO」「OVERTONE」まであらゆるジャンルに対応できるほか、モジュレーション系エフェクトの2台同時使用、ディレイの3台使用が可能になった点、RCシリーズでおなじみのフレーズ・ループの搭載も見逃せない。さらにスペシャル・サイトTONE CENTRALを用意。マーティ・フリードマンやGUS Gなど世界中のプロ・ミュージシャンが制作したエフェクト・パッチがダウンロード可能。憧れの名曲の音色もカンタンかつ無償でゲットできる。


▲つまみとペダル・スイッチで使いやすさバツグンの「ME-80」はパソコンとともにスタンバイ(写真左)。デモ演奏は中野豊さん。ペダルで複数のエフェクトを同時に切り替えつつ、TERA ECHOとOVERTONEの組み合わせによる幻想的なサウンドやBOGNER社UBERSHALLのアンプ・モデリング、PREAMP METALのヘビー・サウンドなどを聴かせた(写真右)。


▲多彩なアンプ・モデル、エフェクトを用意、エフェクトセッティングの柔軟性の高さも魅力(写真左)。有名アーティストらが手がけたトーンがダウンロードできるのは初心者ならずともうれしいところ(写真右)。

■歪み系コンパクトのスペシャル・エディション・モデル「OD-1X」「DS-1X」

コンパクト・エフェクツではスペシャル・エディション・モデル2機種、「OD-1X」「DS-1X」が登場(発売は3月予定)。BOSSが35年以上培ってきたオーバードライブとディストーション設計のノウハウと新技術を注ぎ込み、最高の歪みを目指したモデルで、「OD-1」「DS-1」の単なるリイシュー・モデルにとどまらない、「新たに生まれ変わったBOSSの自信作」「その自信を表す意味合いで型番にナンバー1をつけた」と紹介された。つまみやパネルにはクローム・パーツを使用。ヴィンテージ・スタイルのシルバー・スクリュー(銀ネジ)などデザインにもBOSSのこだわりを表現している。つまみはLOW/HIGHを含む4つを用意。コンパクト・ペダルならではのシンプルな操作でありながら、圧倒的な音作りが可能。

「OD-1X」は、太く芯がありながらもレンジが広く、クリアなオーバードライブ・サウンドが特徴。音質、音の解像度は従来のオーバードライブとは一線を画す次世代の歪み。どの帯域でも演奏者のニュアンスを反映した自然なコンプレッション感を得られる抜群の弾き応えとなっている。

「DS-1X」は、タイトな低域とパンチのある中高域を両立した強力なディストーション・サウンドが得られるモデル。指板上のどのポジションでも演奏者のプレイに合わせて理想的な歪みを提供。深い歪みで弾いた時でも和音1音1音の分離感は圧倒的、ハイゲインと超低ノイズの両立も見どころだ。

superflyやJUJUのサポートギタリストとして活躍する草刈浩司さんからはビデオメッセージが到着。「いい意味で想像を裏切られた」「ドライブとディストーションというつまみの中に美味しいポイントが沢山あったな、というイメージ」「クランチでも激しく歪ませてもどちらでも気持ちいいサウンドが出せる歪み系エフェクターはすごく珍しい」とコメント。これまで体験したことのないレンジの広さも試してほしいとも。


▲おなじみのスタイルに4つのクロームのつまみが光る「OD-1X」と「DS-1X」(写真左)。ビデオメッセージで登場の「OD-1X」がお気に入りという草刈さんはオススメのセッティングも紹介(写真右)。

■アコースティック・ドラムとエレクトロニックを融合する「TM-2」&「KT-10」

ドラム関連ではトリガー・モジュール「TM-2」(3月発売予定)が登場。まずは昨今ライブで増加中のアコースティック・ドラムとエレクトロニック・ドラムを組み合わせた“ハイブリッド”なカタチでの演奏スタイルを紹介。ハイブリッドにすることで、ドラムそのもの音にパーカッションや電子的なサウンドを重ねる、アタックを補強したりピッチ感をはっきりさせる、持ち運びが大変なパーカッションやエフェクティブなサウンドを追加することが可能。さらにバッキングソングを鳴らしながらパフォーマンスするなど、演奏表現を大きく広げることができる。“ハイブリッド・ドラム”はこれからのスタンダードになっていくドラム・セットのカタチであるとも。それをカンタンに実現できるのがこのトリガー・モジュール「TM-2」だ。

「TM-2」にアコースティック・ドラム・トリガーやパッドを接続することで手軽にハイブリッド・ドラムを構成することが可能。操作もカンタンで電子楽器に不慣れなドラマーでもOK。SDカードスロット搭載で内蔵音色だけでなく、自分が出したい音を追加可能。バッキングソングの再生もできるので、PCやMTRなども不要、ドラマーはスティックを持ったままで操作できる。さらにMIDI入出力も備えるので、V-Drum音源の拡張音源としても使用できる。

新コンセプトのキック・トリガー・ペダル「KT-10」(6月発売予定)もあわせて披露。ペダル、ビーター、パッドを一体化したモデルで、独自のリバースアクション機構の採用により自然な演奏フィールを実現。さらに自分好みのセッティングができるようビーターやスプリングの調整機構や、コンパクトさ、静かさも魅力だ。これらドラム関連新製品の紹介ビデオの最後に流れたナレーション「ドラムがギターやキーボードのように音色を変えられる楽器になるハイブリッド・ドラム」というフレーズにぐっとくるドラマーも多いにはず。


▲コンパクトな「TM-2」は単3乾電池×4でも動作(写真左)。写真中央はセッティング例。スネアにはドラム・トリガー「RT-10S」とバー・パッド「BT-1」がセットされている。写真右は「RT-10S」の拡大。


▲キック・トリガー・ペダル「KT-10」。一体化構造でアタック音を軽減する一方、リバース・アクション機構によりキック・ペダルとしてのフィーリングを損なわない設計。


▲アコースティック・ドラム+「TM-2」を中心に「KT-10」やバー・パッド「BT-1」などを組み合わせたセットで演奏を披露したのは熊谷徳明さん。ハイブリッドならではの多彩なサウンドが繰り出す圧倒的なパフォーマンス!。

■国民的ゲーム「太鼓の達人」がiPad+V-Drumsでプレイ可能に

発表会当日にプレス・リリースが出された「太鼓の達人」とのコラボも紹介。バンダイナムコゲームスiOS版「太鼓の達人プラス」がV-Drumsに対応決定、現在開発が進められている(春配信予定)。Camera Connection KitとMIDIインターフェースでV-Drumsを接続。タムやシンバルを外部コントローラーとして使用可能になる。どのパッド、シンバルを「ドン」「カッ」に割り当てるかを設定できるようにしたいとのこと。


▲デモ機はiPadとMIDIインターフェース「UM-ONE mk2」で接続された「V-Drums Lite HD-3」。プレゼンテーション後のデモ機は人だかりができるほどの人気。


▲楽器店で注目を集めること間違いなしの「太鼓の達人」。これまで楽器店では見られなかった層にアピールしそう。

■デジタル・ピアノ「DP90Se」「DP90e」「LX-15e」「HP-i50e」

デジタル・ピアノの新製品も多数ラインナップ。スタイリッシュなデザインが魅力の「DP90Se」「DP90e」(2月22日発売)、最高級のピアノクオリティを凝縮した「LX-15e」(4月下旬発売)、大型液晶パネル搭載、デジタル・ピアノならではの楽しさが好評のデジスコア「HP-i50e」(4月下旬発売)の4機種が、ピアノの表現力に磨きをかけて新登場。ローランドが誇るSuperNATURALピアノ音源にあらたにダイナミック・オーバートーンを搭載。強音時特有の倍音変化を再現し、よりきらびやかで伸びのあるフォルテシシモの演奏が可能になっている。

「LX-15e」「HP-i50e」ではアンプの改良により音量感もアップ。ピアノ独特の立体的な音場感を作り出すサウンド・システム「アコースティック・プロジェクション」も強化している。新鍵盤「プログレッシブ・ハンマー・アクション4鍵盤」は打鍵検出の精度を100倍上に高めた高精細センサーを搭載、同時に静粛性も高めている。


▲「DP90e」(写真左)、「LX-15e」(写真中)などデジタル・ピアノも新ラインナップで登場。新鍵盤PHA-4が採用されている(写真右)。

一連の新製品の紹介後、会場は暗転。スクリーンには「AIRA」の文字が浮かび上がる。「AIRA」は、1月にroland.comでティーザー・サイトが公開された、今後発表されるであろう謎の新製品だ。しかし、NAMMに続き今回も具体的な発表はなし。イメージ映像が上映されるにとどまった。

■「ねごと」が新製品を使ってライブを披露

ラストは「ねごと」の4人が登場、これまで紹介された新製品を使ったライブパフォーマンスを披露。演奏に先立ち、メンバーが新製品を使用した感想を述べた。


蒼山幸子(Vo、Key)「私は歌いながら鍵盤を弾いているんですけども、ローランドの『JUNO-D』はデビュー時からずっとライブで使わせていただいています。最近では音源の方の『SonicCell』というのも使って、並行してやらしていただいてるんですけど、今日は『FA-06』という新しいキーボードを使わせていただいています。けっこう、曲でAメロはこの音色で、Bメロはこの音色でと歌いながら切り替えるので、その操作がしやすいな、と思ったのと、あと今回のFAは2音色を重ねたり、音をカスタマイズしたりが簡単にできるので、自分の好きな音を自由に作れてとてもいいキーボードだなと思いました。そこも後で聴いていただけたらな、と思います」


沙田瑞紀(Gt)「今回新商品が出ているということで、私はBOSSさんの『OD-1X』と『DS-1X』、あとマルチ・エフェクターの『ME-80』を使わせていただきます。これを使うにあたっていろいろ試させていただいたんですけれども、あのー、まずコードを弾いたときのニュアンスというか、コード感がすごく見えやすいなあ、というのがまず気に入ったところです。あとは2個同時に踏んだり、エフェクトをけっこう足したりしても音がつぶれないというか、こもらないのがいいなあと思いながらやらせていただきましたので、そういうところを見てもらえればうれしいです。」

澤村小夜子(Dr)「今日はトリガー・モジュール『TM-2』を使ってやりたいと思ってます。コントロール用トリガーをスネアとキックに付けてるんですけど、生音に(TM-2の)中に入ってる音、好きな音を重ねてより音圧を出したりとか。あと、ねごとは宇宙感のある曲が多いので、その宇宙感を出すためにエレクトロな音色を入れてみたりとかしてます。そしてですねえ、なんだっけ、あっ、操作がすごいしやすいです。あのー、パソコンオンチな人でもすぐこう、ぱぱっとできるようになるので、ぜひぜひ試してみてほしいと思います。で、今日いろいろこう、遊んでまわってたんですけど、一番楽しかったのはあちらに(客席後方を指さす)、あっ、くもって見えないんですけど、『太鼓の達人』がありまして。エレキドラムと連鎖してて、ドラムと『太鼓の達人』をいっしょにやるっていうすごいおもしろいものになってます。あとで私も遊びに行くので、みなさんもぜひ遊んでみてください。」

藤咲佑(Bs)「私はですね、今回、エフェクターのオーバードライブを使わせていただいてるんですけども、特にエフェクターでは私、歪み系をよく使うので、今回このオーバードライブを使って、あのー、すごくつまみがいろいろ調節できて、低音から高音まで細かく設定できるので使いやすいなあと思いつつも……。メンバー3人は新商品を使っているんですが、実は私だけないと(笑)……いうことで、あの、次回また新商品が出たときには私も新しい機材が試せたらいいなあ、と思っています。」


続いて、新譜についてもコメント。

藤咲佑(Bs)「あとですね、新商品発表会ということで、私達も3月12日にセカンドミニアルバムが発売、予定をしています。それで今回、あのー、まあ、BOSSさん、ローランドさんの機材を使わせていただいているんですけども、あの、タイトルがなんと『"Z"OOM』(ズーム)ということで(笑)。若干申し訳ないなって気持ちで今日いるんですけども……。はい。今日は楽しく新商品を使わしてもらって、ねごとのことも知ってもらえたらなあと思うので、よろしくお願いします。」

と笑わせた後、『カロン』『ループ』の2曲を演奏。コメントどおり新製品の魅力をバッチリ実演してみせ、発表会をしめくくった。


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