津軽三味線奏者の上妻宏光が、3月22日、東京・渋谷公会堂で主催・プロデュースするイベント<日本流伝心祭 クサビ―楔― 其ノ参―国境を超え、進化する日本の表現者たち―>を開いた。上妻宏光の三味線と異ジャンルが、ぶつかり合うことが魅力の同イベント。ステージでは1月に発売したアルバム『GEN-源-』で共演した歌手の小野リサと、収録曲「ビリンバウ」を披露したほか、津軽民謡の三大節のひとつ「津軽じょんがら節」を勇ましく演奏し、集まった観客を魅了した。

◆上妻宏光画像

会場に風を巻き起こすような勢いがある三味線の合奏で幕を開けた3度目の同舞台。冒頭は上妻宏光が、「津軽じょんがら節」をベースに制作した「BEAMS」などオリジナル曲で観客を楽しませた。中盤にはダンス集団DAZZLEが、森の中で狐の嫁入り行列を目にした人間の男が、狐に取り込まれてしまう劇「狐劇」を熱演。三味線を弾く上妻宏光の周りを、狐の面を付けた男たちが取り囲むなどし、独特の世界観が広がっていた。

歌舞伎役者の中村獅童は、真っ白な獅子毛を付け、上妻宏光の三味線、田中傳次郎の太鼓に合わせて、頭を振る毛振りで圧倒。曲の終盤にかつらが外れるハプニングがあったが中村獅童は「演出です」と語り観客を笑わせた。

「男同士のぶつかり合いを感じて」と始まったのは、トランペット奏者の日野皓正、大太鼓奏者・林英哲との共演。大太鼓を果敢に打つ林英哲、伸びやかに音を響かせる日野のトランペット、上妻宏光の三味線の速弾きは圧巻で、燃えるような熱いセッションを終えると、3人は互いの健闘を称えるように握手を交わしていた。

上妻宏光は「三味線を通じて、いろいろな人とつながることができました。三味線をやり続けていて良かった。これからも日本というものを自分なりに表現していきたい」と意欲を見せていた。

取材・文:西村綾乃