【倉木麻衣×BARKS連載対談】第二回(2000年~2001年)「R&Bテイストからロック系に変えた時に不安も。ナーバスになっていた時期もありました」

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■ヘアメイクはほとんど自分でやってました
■そのほうが自分自身が自然体でいられるということもあって

烏丸:今までお話をうかがった中で、暗い高校生だったとか、不安を感じていたとか、そういう発言もありましたけど、聞いている限りでは、ものすごくエネルギッシュな人だなと思いますよ。事務所から見るとどうですか?

西室:エネルギッシュだと思いますよ。

倉木:そうですか(笑)。暗くなかったですか? 高校時代は。

西室:全然暗くなかったですよ。

烏丸:本人だけが気づいていないんだよね。

倉木:周りがすごく明るすぎたんでしょうかね。自分だけが取り残された感じがして……。

西室:でも高校時代からファッションが好きだったり、ヘアスタイルも自分で可愛くやってくるし、すごくバイタリティのある子だなと思ってましたよ。

▲“Mai-Kヘア” in ボストン
倉木:ファッションは、そうですね。高校時代の髪型は、“Mai-Kヘア”って呼んでるんですけど、ポニーテールのように髪を上で縛ってふくらませるヘアスタイルを、自分のトレードマークとしてやっていたんですね。

西室:それも、自分で考案してきましたから。

倉木:これを私のトレードマークにしようと思って、やっていたんですけど。ある時期から、自分の中でいろんなスタイルを見せたいと思うようになって、ファンの間で“Mai-Kヘア”が定着している中で、髪を下ろしてみたり、違う髪型にする中で、賛否両論いろいろあったりしたんですけど。新しいことにチャレンジするのは、楽しいことでもあるけれど、影響が大きいんだなということを実感しましたね。髪の毛を下ろすということは、それぐらい影響力があるものなんだなって、そこで初めて感じました。

烏丸:自分を客観視するのって、難しいことですもんね。

▲8thシングル「Stand Up」(2001.04.18発表)
倉木:楽曲も、R&Bテイストの曲から、「Stand Up」(2001.04.18発表 8thシングル)というロック系のサウンドに変えてみた時にも、“果たして受け入れてもらえるのか?”という不安もありました。当時はそういうことで、ナーバスになっていた時期もありましたね。

烏丸:15年間あると、いろいろなことがあったと思いますけど、こうしてデビュー当初のお話をうかがっていると、自分の自意識や美学、譲れないものとか、作られた人形ではない自分自身の存在があって、そこで何をしたいか?というものを強く感じるわけですよ。ただ、それがしっかりしているのはすごくいいことなんですけど、しっかりしすぎていると、事務所の人にとってはめんどくさいアーティストになるじゃないですか。自分のポリシーがしっかりしているがゆえに対立してしまうとか。でもそういうトラブルも感じないんですよね、倉木さんは。そこらへんの、硬いところと柔らかいところのバランスは、事務所から見るとどういうアーティストなんですか。

▲3rdシングル「Secret of my heart」(2000.4.26発表)
倉木:タイアップとか、たとえば『名探偵コナン』の楽曲(2000.4.26発表 3rdシングル「Secret of my heart」以降、幾度となく同アニメテーマ曲を担当)とか、『SEABREEZE』のCMの楽曲とかをやらせてもらう時に、それに沿ったイメージの楽曲を集めるという部分でやっていったりしますよね。私のこだわりというよりは、タイアップがあって、こういうイメージで1曲作ってくださいと言われて、楽曲を集めて、そこに詞をつけてという作業を、10代の頃はやっていたので。自分のこだわりというよりは、コラボレーションというんですかね。

烏丸:そこはすごく素直な、屈託のないところだと思うんですよ。

西室:でも、こだわりのあるところはありますよ。さっきの髪型の話じゃないですけど、「撮影するから○時に来て」と言ったら、当時は別に髪型の決まりなんてなかったんですけど、本人がもうあの髪型で来てたんですよ。だから「最初から結んでいたら、下ろして撮れないよ」と言ったら、「いえ、これで撮影します」と。

倉木:すごい強気で言ってたんですね(笑)。

西室:本人の中で、その髪型で撮ることに決めていたんですね。それがすごくいい写真で、「ちゃんと自分のことをわかってるんだな」と思いましたし。だから、どのへんだったか、ある時期まではヘアメイクを一切使ってないんです。

倉木:自分でやることがほとんどなので。

烏丸:マジですか? 倉木麻衣にヘアメイクがついていなかったというのは、大問題ですよ(笑)。

倉木:大学を卒業する頃までは、ほとんど自分でやってました。そのほうが自分自身が自然体でいられるということもあって。

西室:今思えば、普通はヘアメイクをつけますよねって(笑)。そういうことも含めて、曲や歌詞の世界観に対する、彼女なりのこだわりはちゃんとありますし、歌に関してもそうだと思います。でも「こういうふうにしたほうがいいんじゃない?」という意見もちゃんと聞くことができる。

倉木:一緒に作っていくという感じなので。何て言うんだろう……部活というか(笑)。音楽活動がサークル活動みたいな感じもあったんです、特に学生の頃は。みんなで話し合って、一緒に作って行くという感じでやっていたので。

烏丸:それは、ある意味で理想的な形ですよね。主体性を持って、協調性も持って、スタッフと一緒に同じ方向を向いてひとつのものを作って行こうという話でしょう。

倉木:そうですね。

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