【インタビュー】摩天楼オペラ「“劇的ロック”っていうキーワードで新しいことに挑戦していきます」

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■「メインキャストは考える」はシンプルな中にもギャップがあって
■軽快なのに冷たいみたいな雰囲気も“ザ・彩雨”という印象なんです


――確かに。彩雨さん作曲のカップリングも「メインキャストは考える」と、なかなか想像力を掻き立てるタイトルですが、この“メインキャスト”とは何を指しているんでしょう?

苑:リスナーそれぞれです。誰にとっても、人生では自分が主人公じゃないですか。「隣に座る太陽」の話にも繋がりますけど、僕たちは完成された世界で生まれてきて、いろんなことを考えながら生きていって。でも、その考えてることって果たして本当に自分から生まれているものなんだろうか? 出来上がった世界の一部として何かに導かれているものなんじゃないか?と考えていたら、リアルな人生も芝居と一緒だなぁと思えてきたんです。そもそも誰もが人として生まれてきて、100年くらいで寿命を全うしていくこと自体、奇跡的なシステムですからね。これは誰かが作ったものの中で芝居をしているんじゃないか……っていう、そこから「メインキャストは考える」というタイトルを持ってきたんです。

――それが最後には“あなた”個人へのラブソングになっていますよね。

苑:はい。最終的には世界の理なんてどうでもよくて、ただ“あなた”への想いを大事にしようと。そういう流れになっているので、自分も感情だけで歌いました。最初に曲を聴いたとき、冷たくて物悲しい中にも力強さや情熱を感じたので、そこに作られた世界の冷たさと自分の感情/情熱に当てはめて書いていったんです。

彩雨:要するにマクロとミクロですよね。世界をテーマにスケールの大きなことを言っておきながらピンポイントなところに集約する、そういうマクロとミクロの共存って昔から好きなんです。僕、違う人生で違う人たちとバンドをやっていたとしても、たぶんこの曲は作ったと思うんですよ。でも、その曲に「メインキャストは考える」なんていうタイトルと、こんな歌詞を付ける人と一緒にバンドをやるのは、きっと何回生まれ変わっても今だけに違いないんで、そこは摩天楼オペラをやってて良かったなと思えた瞬間でしたね。

――つまりは摩天楼オペラらしさだとか、「隣に座る太陽」のカップリングということを意識して作った曲ではない?

彩雨:そもそも1年以上前に持ってきた曲ですからね。僕のいろんなものが詰まった僕らしい曲というか、単純に自分がミドルテンポで作るとしたら……というところから生まれた曲です。

燿:コード進行の流れだったりループしていく感じが、すごく彩雨っぽいんですよ。シンプルな中にもリズムだったりのギャップがあって、軽快なのに冷たいみたいな雰囲気も“ザ・彩雨”みたいな印象でしたね。

悠:もう、どこを取っても彩雨の曲! 僕の中では彩雨が最初に摩天楼オペラに持ってきた「蜃気楼」、それから「月の砂」に続く“ザ・彩雨”な曲ですね。だからサビのキックのパターンも、その2曲と同じにしました。それが一番合うんですよ。

――ある意味、それが“ザ・彩雨”の様式美だと。

Anzi:ただ、彩雨の曲はデモ段階でガチッとパターンが作り込まれていて、それをなぞるのが常だったんですけど、今回はAメロのちょっとしたテンション感のコードとか、ザクザク刻んでるBメロとか、彩雨の曲の中では一番現場で作った感があります。もともとギターソロが入る予定で空けてあった間奏部分も、僕から「シンセでどうだ?」と提案して、彩雨くんに弾いてもらいました。いつものパターンとは違うほうがリスナーも面白いだろうし、それも今だからこその新しいアプローチですね。

彩雨:今までのキーボードソロは割と激しい曲にリード系で入れてたんで、こういうミドルテンポの場合は鍵盤楽器的なもののほうが似合うんじゃないかと、あまり使ってこなかったエレピを弾きました。それにデモを作る段階で曲の頭はエレピにしようと決めていたので、エレピをフィーチャーするという意味でも良いかなと。単純に「DRACULA」(前作シングル「Orb」カップリング)のキーボードソロでエレピを歪ませた音を使って以来、ちょっとマイブームになっているんですよね。

――曲が歌のリフレインで終わるのも余韻を残しますね。

彩雨:そうですね。昔だったら繰り返しでフェイドアウトしていく中で、いろんな楽器が後から加わったりもしていたところ、この曲の場合はそういうことはせずに淡々と終わりたかったんです。ま、ライブでやるときは何か別の終わり方を考えますけど。

――9月から全国ツアーも始まりますからね。そこで掲げられるのが9月3日リリースのアルバム『AVALON』となるわけですが、タイトルにもなっている“アヴァロン”とは?

苑:アーサー王伝説の舞台で、アーサー王が安らぎを求めて辿り着き、そこで最期を迎えたとされる場所ですね。ある意味、桃源郷だとか天国に通じるニュアンスもあって、前回ツアーのMCでも話していた通り「天国の在る場所」という曲も収録されています。

Anzi:前作『喝采と激情のグロリア』(2013年3月発売)がコンセプト作だったんで、当初はそこまでコンセプトじみたものにするつもりはなかったんですけど、曲を作っていくうちに、自然にテーマ性が一貫したものになっていったというか。ウチのバンドスタイル的に、どうしてもソッチに寄ってしまうんです。ただ、もちろん前作は余裕で超えてますね。僕の作った曲も何曲か入っていて、まぁ、劇的な曲がありますよ! なんだこの展開は!?って、きっとビックリしてもらえるんじゃないかな。

悠:僕的には前作『喝采と激情のグロリア』と、前々作の『Justice』(2012年3月発売)を足して2で掛けた感じがする。その2作って僕の中では割と真逆なのに、どっちの要素も入っているんですよね。それも今での経験が、ちゃんと活かされた結果だと思う。

苑:ああ、わかる。今回の「隣に座る太陽」を聴いてもらえれば、必然的にアルバム『AVALON』への期待は高まると思うんですよ。でも、その遥か上を行くアルバムになっているんで、十分に期待して待っていてください。

取材・文●清水素子


「隣に座る太陽」
7/23発売
KIZM-293~4 ¥1,204 + 税
<CD>
1.隣に座る太陽
2.メインキャストは考える
<DVD>
「隣に座る太陽」MUSIC VIDEO

<摩天楼オペラ 2014年秋ツアー>
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