【対談】逹瑯(MUCC) × 松岡充(MICHAEL)、異種格闘技対談-Ring 番外編「「Believe」歌いますからね」

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■自分が感動したときのようなライヴを届けてあげたいなって思うから
■誠意をもって闘いますよ、MUCCと。逹瑯くんの「Believe」も楽しみにしてる──松岡充

逹瑯:ミュージカルって、歌って躍るんですよね?

松岡:そう。歌って躍って喋って。とにかく声帯使いっぱなしだからね。キツイよ。

逹瑯:1公演の時間ってどれくらいなんですか?

松岡:2時間くらいかな。長いもので2時間半くらいかな。役によるけど、この前のは30曲中19曲歌ってたかな。

逹瑯:すげぇ。もう普通にワンマンですね。

松岡:そうなんだよね。いろんな感情を喋り方で表現していって、そこから歌に繋げていくの。おもしろいよ。

逹瑯:ん~(未知の世界を目の当たりにし、感動の表情)。イヤモニですか?

松岡:いや。全部オープンエアー。返しのモニターがステージの袖にあるくらい。もちろん、フロアモニターはなし。自分の地声を聞いてやるしかない。俺たちロックボーカリストって、専門用語で言うと基本“ベルト”って呼ばれる発声の仕方してるのね。ようは、アタックが大事。ビートが大事。何故かっていうと、ビートを奏でる楽器陣に負けないように、生身で闘わなければいけないボーカリストは必死なんですよ。アタック音を出すには声帯をギュッギュッってその都度締めなくちゃいけない。これが声帯を1番痛めるんだよね。ミュージカルで歌うときは、体そのものを楽器にする。自分がスピーカーになるというか。バンドで歌うときは、全部喉でアタック音を出すようにしてるから、そことは正反対というかね。

逹瑯:生演奏ですか?

松岡:そう。生演奏。

逹瑯:めっちゃ難しそう。だって、基本マイクは通さないってことですよね? ってことは、静かな曲で音量を下げて歌うんじゃなく、静かに聴こえる歌にしなくちゃいけないってことですよね。基本の音量は一定で、ダイナミックなところもミニマムなところも、声の音量を下げるんじゃなく、そういう歌の幅で歌わなくちゃいけないってことですよね?

松岡:そう。さすがボーカリストだね、逹瑯くん。そこをわかってるシンガーってそんなに居ないと思うからね。そこが今の話だけでわかるって、さすがだよ。まったくそのとおり。そういうことだよ。

逹瑯:小さい声で歌っちゃったら聴こえないってことですもんね。

松岡:そういうこと。1本のミュージカルやると500ページくらいの楽譜を貰うんだよ。それには、全部の楽器の譜面が書いてあって。一番最初にミュージカルをやった時は自分がどのパートを歌うのかすらわからなかったからね。でも、みんな初見でパッと歌い出すし、弾き始めるからね。音楽的に言ったらすごく高度なことなんだよね。俺らバンドやってるときって、1週間前にもらうくらいでしょ。それもコード譜くらいをね。

逹瑯:はいはいはい。

松岡:初見で8割り出来なければ、もう帰っていいよっていう世界で、すごくシビアだよ。

逹瑯:(唖然)。すごいですね……。

松岡:そう。ホントにすごいよ。今度一緒に観に行こうよ! ミュージカル。

逹瑯:え!?(ビックリする)ミュ、ミュージカルですか!? 俺が!?

松岡:うん。楽しいよ。

逹瑯:え、あ、はい。でも、たしかに、俺ディズニーとかも好きだし、ディズニーって基本ミュージカル的な構成だったりするじゃないですか。だから、好きは好きなんですよ。でも、観に行ったことはなくて。

松岡:絶対、やってみたらハマるよ。

逹瑯:え!?(さらにビックリする)俺がミュージカル!? え!? 俺がですか(驚愕)!?

──あはははは(爆笑)。見たい!

松岡:見たいよね(笑)。ホント、いろんなミュージカルがあるし、いろんな役があるから! ホント、絶対にボーカリストにとってはすごくいい経験になると思うよ。

逹瑯:みゅ、ミュージカル……俺が……(困惑)。観に行くんじゃなくて、演じるってことですよね? 俺が? ミュージカル!?

──あははは。やっぱ見たくないかも(笑)。

逹瑯:だよね(笑)。

松岡:いやいやいや、何ごとも経験だよ。絶対にそこに共通点を見つけることが出来ると思うよ。やりたくなったら言って。

逹瑯:え!? あ、え!? あ、あ、はい(動揺)。

松岡:知らない世界に自分を置いてみるのも勉強の1つだよ。ここまでのバンド経験があったら、普通の役者さんとかとは違う絶対的な個性を出せると思うけど、やっぱりそこは自分自身をスポンジにして、吸収することに務めたほうがいいというかね。せっかくインプット出来る場所なんだから、そこでは思いっきり吸収していったほうがいいからね。

逹瑯:いやぁ~。俺、吸収する前に、そんなに知らない人ばっかのとこに投げ出されたら、本来の人見知りが全開になっちゃって大変だと思いますよ(笑)。

──あははは。そうかも(笑)。想像つくなぁ(笑)。

松岡:逹瑯くん、人見知りなの!?

逹瑯:めちゃめちゃ人見知りですよ!

──逹瑯もこの業界長くなってきたので、最近人見知ってる逹瑯を見たことがないから、そろそろそういう環境に放り込んでやりたい気もしますが(笑)。

逹瑯:やだ(不安そうな顔)。

松岡:あははは。今、ちょっと見えたね、そんな顔が(笑)。いや、でもね、ホントに今言ってたのって一理あるよ。10年以上ずっと同じシーンでバンドをやってきて、もうだいたいのことをやり尽くして、周りも知った顔が増えてきて、だんだん刺激がなくなっていくし、飽和状態に陥ると思うのね。それが活動休止だったり、解散になったりっていうきっかけになると思うんだけど、それって悪いことじゃないと思うのね。だって、僕らは生きてるから。そんな中で、まったく新しいところに挑戦するって、必要なことだと思うんだよ。だから、やるときは言ってよ(笑)。

逹瑯:え!? いやぁ~、求められないんじゃないかなぁ……(苦笑)。昔からミュージカルと小説は興味があって、何度か観に行こうかなぁとか、読んでみようかなぁって試みるんですけど、やっぱなんか踏込めなくて。なのに、自分がやるって……いやぁ、想像したことなかったです(動揺)。

松岡:おもしろいよ。俺だって、絶対ない!って思ってたもん。でも、ホント、すごく繋がるモノがあるからね。衣装もライティングも演出も、すごく勉強になるよ。

逹瑯:でしょうね。松岡さんのやってるミュージカル見てみたいなぁ。今、話してくれてたような最近やってた舞台ってどんなのだったんですか?

松岡:この間までやってたのは『CATCH ME IF YOU CAN』っていう舞台で、レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスがやってた映画をミュージカルにしたもので、ディカプリオの役をやってた。演じててもすごくおもしろかったよ。ずっと出ずっぱりで声帯も辛かったけど、すごくやってて楽しかったしね。でも、最後は8ビートなロックを1曲歌って大絶叫で歌って終わるっていう。

逹瑯:なんかすげぇ迫力だったんだろうなぁ。次の『私のホストちゃん』ってのは?

松岡:今ではないかもしれないけど深夜にドラマをやってて、現実のホストクラブを実写で撮ってる感じのストーリーなんだよ。

逹瑯:ホスト役ですか?

松岡:うん、もちろん。伝説のホスト役(笑)。

逹瑯:すげぇ! なんかピッタリ!

──逹瑯はその役は出来ないねぇ~(笑)。

逹瑯:出来ないねぇ~(笑)。

松岡:いや、逹瑯くん出来るよ! いや、売れっ子だと思うよ、逹瑯くんみたいなタイプ!

逹瑯:いやいやいやいや、全然想像つかない(笑)。

松岡:世の中的にホストクラブにお金を使ってる女子って、寂しい子みたいな印象だと思うけど、そうじゃなくて、ホストと彼女たちの絆ってすごく強いモノがあったりするんだよね。もちろん、その絆が本物の恋愛に結びつくなんてことは誰も思ってないんだけど、限られた夢の時間を味わせてあげるっていう意味では、ホストってすごくプロフェッショナルな仕事だと思うからね。

逹瑯:たしかに、バンドもエンターテイメントですからね。

松岡:そうそう。身を削って自分達のリアルな姿を見せていくっていうのこそがエンターテイメントであると僕も思うからね。嘘じゃダメ。そこにリアルがなければ、ファンだって時間も割かないし、お金も払わないし、心も委ねてくれないからね。ファンが僕たちについてきてくれるのは、そこにちゃんとリアルを感じてくれているからだと思うからね。

逹瑯:たしかに。俺、常に心がけてることでもあるんですけど、人と向き合うときに、まずは自分のこと話すんですよ。そうすることで、相手も自分を曝け出してくれる。そこから始めるんですよね。

松岡:うん。まずは向き合うことだよね。でも、今の逹瑯くんの言葉を聞いただけでMUCCのステージが見えてきたよ。本気で向き合うMUCCにMICHAELも本気で向き合わせて頂きます!

逹瑯:いや、本当にこちらこそ、本当によろしくお願いします!

松岡:僕たちも本気で客席と向き合っていきたいと思います。目の前のお客さんはもちろん、客席で見てたあの頃の自分に届けるような、そんな想いでね。キラキラした目で大好きなバンドのライヴを観てたあの頃の自分と、ファンの子たちの想いってすごく重なるからね。自分が感動したときのようなライヴを届けてあげたいなって思うから。誠意をもって闘いますよ、MUCCと。とはいえ、思いっきりライヴを楽しもうとも思っているので。逹瑯くんの「Believe」も楽しみにしてるよ!

逹瑯:いや。いやいや。やっぱり、キラキラした目でSOPHIAを見ていた自分に気持ちを重ねたら、そんなところでとても「Believe」なんて歌えません!みたいな(笑)。どっちかって言ったら、坊主頭の俺に向って、悲痛な声で“やめて~!”って叫んだSOPHIAファンに共感しますからね、俺は!

松岡:あはははは(爆笑)! でも、さっき言ってたよね、逹瑯くん。ライヴはその場でしかおきないミラクルが起こるって。そんなミラクルを起こせたら良いなって思います。

逹瑯:それ、俺が1番楽しみなんですけど!

松岡:26日は、オーディエンスのみんなと一緒に楽しもうね!

逹瑯:よろしくお願いします!ってことで、松岡さん!

松岡:ん? 何?

逹瑯:(買って来たケーキを持ってきてもらう)お誕生日おめでとうございます! 8月12日がお誕生日だったってお聞きしたので!

松岡:うわっ! マジ!? 嬉しい! ありがとう逹瑯くん! すっごい嬉しいんだけど!っていうか、俺、ショートケーキが1番好きなんだよね! でも、SATOちくんも同じ日なんでしょ? MUCCファンの子たちがツイートしてくれてて知ったんだよ! でも、今日ケーキ貰えると思わなかった! すっごい嬉しい。ありがとうね! このお返しはいつか! まずはライヴ、お互いに最高のステージにしようね!

逹瑯:はい! 楽しみにしてます!

   ◆   ◆   ◆

■ from 松岡充 to 逹瑯
「本当に楽しかったです。まずはMUCCの皆に改めて、誘ってくれて本当にありがとうと伝えたいですね。でも、ライヴ中のMCでも言ったけど、“本当にSOPHIA好きで聴いてくれてたのかな?”って思ったのは事実で(笑)。ん? どこだどこだ!? SOPHIAの要素はどこだ!?って必死に探しながらライヴを観させてもらいました(笑)。けど、MUCCは本当に素敵なバンドだなって。こうやって、日本のロックバンドが、まだまだいろんな人達といろんな空間が創れるんだってことを証明してくれたというか。そんなのりしろを感じさせてくれるきっかけになったと思います。きっといろんな美学を持ったバンドや、ルーツを持ったバンドと対バンしてきたと思うんですが、MUCC自身も直にそんなバンドの数々と戦えたことがすごく力になったと思うし、日本の音楽シーンにいろんな可能性を感じさせるモノとなったと思います。楽じゃなかったと思うんですよ、ここまでいろんな人達と一緒に対バンするってことは。でも、わざわざ険しい道を選んだMUCCは、最高にカッコいいバンドだと思います。MUCCが残した功績は、後々にまでロック史上に残っていくんじゃないかなと思います。本当にありがとう。そして、代々木、頑張って下さい」

■ from 逹瑯 to 松岡充
「「Believe」最高だった! 念願叶いました! 本気で、客席から“やめて~”っていう声がまた聞こえてきたらどうしよう……って思ってたんですけど(笑)、ファンのみなさんに気を遣って頂いて、そういう声は聞こえてこなかったので、最高に楽しむことが出来ました! ありがとうございました。しかし、MICHAEL素晴しいライヴでしたね。オープニングとか圧倒されました。「Amazing Grace」を唄った松岡さんの声量に、“さすが、ミュージカルやってる人だわぁ~(感動)”って思いました。やはり俺にはミュージカルは無理です! MCの持って行き方とか、ライヴの流れとか、俺たちが観てたときと変わってないなって気がしてすごく嬉しかった。ステージを、ちゃんとステージとして使うところとか、パワフルだなって思いました。やっぱりすべてに関してさすがです。本当に見習うべき所がたくさんあるなって感じさせられました。すごくいい刺激になりました。ありがとうございました」

■ from YUKKE(特別出演) to 松岡充
「セッションまでしてもらって、最高でした! でも、あまりの嬉さに舞い上がって、間違いまくっちゃいました(反省)。あんなに間違いまくったの初めてです……。緊張と嬉しさで、フレーズが飛びまくっちゃって……頭の中真っ白でした……。でも、許して下さい(謝罪)。嬉しかったんです(喜)! 最後に、思わず松岡さんにギュッってしちゃいました(照)。でも、あのときも松岡さんすごく優しくて、俺がいろいろと舞い上がって失敗したから落ち込んで抱きついたんだと思ったみたいで、俺にしか聞こえない声で、“大丈夫か?”って言ってくれたんです! すっごい優しい人だなって思いました(感動)。本当に今回はありがとうございました!」

取材・文◎武市尚子 撮影◎緒車寿一


■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode 6.「ARMAGEDDON」>毎公演異なるアーティストとの2マンTour
2014年8月06日(水) Zepp Nagoya VS [Alexandros]
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月09日(土) 新木場Studio Coast VS 氣志團
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月17日(日) 京都KBS HALL VS GRANRODEO
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月19日(火) Zepp Namba VS BUCK-TICK
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月20日(水) Zepp Namba VS シド
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月22日(金) 川崎CLUB CITTA' VS D'ERLANGER
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月24日(日) 大阪城野外音楽堂 VS ゴールデンボンバー
OPEN 16:00 START 17:00
2014年8月26日(火) Zepp DiverCity VS MICHAEL
OPEN 17:30 START 18:30
2014年8月28日(木) 恵比寿LIQUIDROOM VS geek sleep sheep
OPEN 17:30 START 18:30

■<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争- Final Episode「THE END」>
2014年9月23日(火・祝) 国立代々木競技場第一体育館
前売券¥5,569(税込) 当日券¥6,500(税込)
※全席指定、3歳以上のお子様はチケットが必要です。
チケット一般発売日:2014年8月2日(土)

◆<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争->BARKS内特集ページ
◆<SIX NINE WARS -ぼくらの七ヶ月間戦争->特設サイト
◆チケット詳細&購入ページ
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◆SOPHIA オフィシャルサイト
◆7zoo7 オフィシャルサイト

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