【インタビュー】VALSHE、2作同時リリースに「大人/こどもの視点の違いを」

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■どんな絵空事であろうとも自分が全く共感できないことは書かないし
■ある意味でファンタジーの中だからこそ存分に書けることもある

──ここ最近はファンに直接語りかける内容だったり、ご自身の心情をストレートに伝える歌詞を書かれてきました。今回のようにコンセプチュアルな作品を手がける楽しさはどんなところにありますか?

VALSHE:リアルな何かを言葉に代えて歌うことも好きですが、こういう想像力を必要とする作品は自分の気持ちをベースにいろんな可能性を積み重ねたり、実生活では起こり得ないことが描けるので、より描けるキャンバスの幅が広がる楽しさがありますね。創造できる楽しみを実感しながら作った作品なので、手に取ってくださる人も童心に返るじゃないですが、“創造/想像する”楽しさを今一度感じていただけたら嬉しいです。

──特典CDでの、ストーリの朗読で意識したことはどんなことでしたか?

VALSHE:アニメのアフレコなどの場合だとキャラクターを通しての言葉になるので、そこに抑揚や個性が必要です。ただ、朗読となるとそういったものが過剰にならないよう、努めてストレートナレーションを心がけました。実はナレーションにも興味があったのでその勉強もしていたんですが、まさか音楽のCDでそれが活かせると思いませんでしたね(笑)。

▲『storyteller II~the Age Limits~』
──多才過ぎます。さて、『storyteller II~the Age Limits~』についてですが、これは4年前に制作された作品の続編にあたるそうですね?

VALSHE:はい。2009年9月23日にVALSHEは『storyteller』でデビューしました。そこでは7編の物語を読み聞かせるというコンセプトのもと、バラバラな内容の短編小説を彩るようにジャンルに捕われない楽曲を並べました。その作品を作り上げた直後くらいから、いつかまたこういった作品を作りたいと思っていたんです。ただいつ出すかまではタイミングは決めていなかったんですよ。そして、2014年9月24日にデビュー4周年を迎え、5年目に入るタイミングでリリースするのがふさわしいんじゃないかと考えていて。というのも、3年、4年とキャリアを積み重ねるうちに、歌詞やサウンドで“VALSHEっぽいね”と言っていただけるものが徐々に出来上がってきたと感じています。そういう手応えがあるからこそ、今のVALSHEとは全く違う、ジャンルも何も関係ないことを存分に取組める『storyteller II』を作りたいと思ったんです。実は以前“待受画像”をプレゼント配信した際には『storyteller II』と書かれたものを手にしていたので、一部のファンの方たちは「いつか出るんじゃないか」と勘ぐってくれていました(笑)。

──いろんな仕掛けが随所に散りばめられているのも、VALSHEさんならではですね。

VALSHE:そう言ってもらえると、あれこれ考える甲斐があります。2013年から『storyteller II』の構想は動き出していたので、後から「TRIP×TRICK」が乗っかったという感じなんですよ。とはいえ、出すタイミングが決まっただけで、ミニアルバムを作り始めたのも「TRANSFORM / marvelous road 」以後くらいだったりするんですが(笑)。

──かなり集中力が必要だったのでは?

VALSHE:お陰さまで、「もう書けない」「全然言葉が浮かばない」とはならないんですよね。むしろ、やりたいこと、書きたいことが後から後から沸いてくるから、それをサウンドプロデューサーや身近な製作陣に話すと「じゃあこういうのはどう?」ってどんどん話が膨らむんです。実体験だけでなく、想像や空想の世界に振り切れるからある意味表現できる幅は無限なのも、アイデアが尽きない理由かもしれませんね。

──『storyteller II』の歌詞の世界観はどのようなイメージで書かれたのですか?

VALSHE:物語のプロローグにあたる1曲目「HIDE&LEAK」で、“嘘なのか、本当なのか、そんな野暮なことを聴いてどうする?”といった、この作品を象徴するような歌詞を書いているんですね。アルバム中のVALSHEは、ストーリーテラーとして物語を読み聞かせるだけなので、そこで語られることは嘘かもしれないし本当かもしれない。虚実がぐちゃぐちゃに入り交じっています。「HIDE&LEAK」以降の楽曲に関しては、それぞれテーマを設けているのですが、詳しくは“秘密”です(笑)。今回、CDを手に取って聴いてくださる人がそれをよく見てくださり、曲をじっくりと聴いていただければ何が隠されているか分かると思うし、テーマが何なのかも自ずと明らかになると思います。ただ言えるのは、たとえどんな絵空事であろうとも自分が全く共感できないことは書かないし、ある意味でファンタジーの中だからこそ存分に書けることもあるんじゃないかと思います。

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