【インタビュー】今の華原朋美だからこそ表現できる歌。「人に必要とされる、求められる華原朋美になること」

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◆やっぱりつらかった。若い頃にいい思いをたくさんしちゃったから余計にですね。
きっと不器用なんだと思うんです


――ではここからは、歌詞にまつわる質問をしていきたいと思います。「HOWEVER」の“暗闇を駆け抜ける勇気をくれたのはあなたでした”という歌詞から。華原さんが暗闇を抜け出す、そのための勇気をくれたものとは?

華原:2013年に『FNS歌謡祭』に出演した日ですね。あの日に私のすべてが変わったんです。あの瞬間に暗闇を抜け出すことができたんです。そして、もちろんファンの方たちですね。世の中、意外と冷たいですから、歌手だって芸人さんだって、すぐ消えしまう世の中じゃないですか。それでも私を「応援しているよ」、「待っているよ」と言ってくれる方がいらっしゃったので。その方たちも“あなた”ですね。あと、身近にいる家族もそう。家族には相当迷惑をかけましたから。今も忙しくなればなるほど嬉しいけど心配になるっていうんですよね。でも、大丈夫です(微笑)。

――次に「三日月」の“強くなるからねって”という歌詞から。華原さんが今のように「大丈夫です」と言えるほど強くなれたのは?

華原:忙しいからですよ。正直な話、時間に余裕があるといろんなこと考えたりするじゃないですか。だから、「人に必要とされる、求められる華原朋美になること」が、ある意味私は自分の目標だったんです。人に必要とされるとうれしいじゃないですか? 私は今までは「私が必要としてるのよ」、「あなたのことが必要だから、お願いだから行かないで」という状態が長く続いたものですから。その逆の立場になるのが夢だったんです。

――そのために、華原さんがやったことは?

華原:自分自身に対してやってはいけないことは絶対にやっちゃいけないという区切りをつけて生活したり……。当たり前の日常のなかで、今まで自分に対して、ルール違反みたいなことをやってきた訳ですよ。

――そうなんですか? それはなぜでしょう。

華原:やっぱりつらかった。若い頃にいい思いをたくさんしちゃったから余計にですね。いい思いをしながらも自分を見失わない生き方ができればよかったんですが、私はそれができなかった。きっと不器用なんだと思うんです。だから、今はまず、自分が流されないように、当たり前の日常をちゃんと人として生きることをしてるんです。当時の自分からすると真面目過ぎて怖いぐらいですよ(笑)。だから、ギリギリのところで生きているのはまさに今なんじゃないかと思います。

◆認めるとそれが“生きていく力”になる。
正直、“なんて簡単なことなんだ”と思っちゃいましたけどね(微笑)


――昔よりも?

華原:はい。前はまず線がなかったですから。

――いいことも、やっちゃいけないこともボーダーレスだった?

華原:そうです(笑)。でも、今はやっていいこととそうじゃないことを自分で見極めたりできるようになってきて、きちんと線をひけるようになりましたから。そこを越えないようにしようという気持ちが生まれたってことです。でも、その線はまだ作っている最中ですけど。

――けれども、このようにして人間はいつからでも生き方を変えられるということですかね。

華原 それを私が楽な気持ちで言うには、まだまだ時間がかかると思います。まだ少し怖さもありますけどね。

――では、次に「BELIEVE」の“一人じゃない”。華原さんはドン底のとき、ひとりじゃないと思えました?

華原 ひとりぼっちだなと思った時期がたくさんありました。でも、そのときはそう思うしかないんですよね。ひとりぼっちというのを受け入れる“勇気”が大事なんだと私は思うんですよ。私も受け入れる勇気がなかった時期は、周りの人にご迷惑をかけたりしました。自分がひとりだと認められない。認めるまで何年かかったかわからないぐらい。でも、それを認めてしまったら早いんです。いろんなことが。認めてしまったら、生きていくしかない。認めないと“そんなこと認めるもんか”とか“もう私はこのまま終わってしまいたい”だとか、生きていくことにピリオドを打ちたくなるんですよね。でも、認めるとそれが“生きていく力”になる。正直、“なんて簡単なことなんだ”と思っちゃいましたけどね(微笑)。でも、そこまでにたどり着くのが長かった(苦笑)。だけど、そこを早めるのはいいことではないと思うんです。「早く認めなよ」とか、周りから言われて決めることでもない。認めるというのは自分が納得することだから。だから、自分が認められるようになるまで、自分だけの時間を過ごすのは、辛いけど、実は大事なことなんですよね。

■今の私にはポジティブ要素以外何もないんですよ。
けれども、それは、スタッフの皆さんやファンの皆さんが作ってくれたもの


――なるほど。そこでひとりぼっちを受け入れる勇気ができて、「生きていくんだ」と思えたら「いい日 旅立ち」で歌う歌詞みたいに“日本のどこかに私を待ってる人がいる”と思えるようになるんですかね。

華原:なります。私もそういう人に巡り会えますようにと願いを込めてこの歌は歌っていますから(微笑)。

――そこからアルバムのラスト「見上げてごらん夜の星を」では、さっきまで「難破船」でドン底を彷徨っていた人が“ささやかな幸せを祈ってる”と最後には母の子守唄のような温かみのある歌声で聴き手をポジティブに包んでいく。今作アルバムには華原さんが歩んできた人生がちゃんと刻まれているんですよね。

華原:そんな風に妄想していただいてありがとうございます(笑)。でも、もうね、今の私にはポジティブ要素以外何もないんですよ。けれども、それは、スタッフの皆さんやファンの皆さんが作ってくれたもの。私はみなさんが作ってくれたその場所で自分が思った気持ちで歌っているだけなので「見上げてごらん夜の星を」は、私がみなさんのことを祈っているのではなく、みなさんと一緒に祈っている。そう思って聴いてもらえたらありがたいです。

インタビュー&文◎東條祥恵




Cover Album
『MEMORIES 2 –Kahara All Time Covers-』
2014年10月1日発売
[初回盤]CD+DVD
UPCH-9956 ¥3,800 (税抜)
DVD収録内容:TOMOMI KAHARA INTERVIEW 2014“MEMORIES”
[通常盤]CD
UPCH-1995 ¥3,000 (税抜)
収録楽曲
1.HOWEVER
作詞:TAKURO 作曲:TAKURO
2.難破船
作詞:加藤登紀子 作曲:加藤登紀子
3.雪の華
作詞:SATOMI 作曲:松本良喜
4.三日月
作詞:絢香 作曲:西尾芳彦/絢香
5.ビリーヴ
作詞:EIGO/SWEEP 作曲:EIGO/SWEEP
6.ROSIER
作詞:LUNA SEA 作曲:LUNA SEA
7.かたち あるもの
作詞:柴咲コウ/山本成美 作曲:小松清人
8.いい日 旅立ち作詞:谷村新司 作曲:谷村新司
9.サイレント・イヴ
作詞:辛島美登里 作曲:辛島美登里
10.見上げてごらん夜の星を
作詞:永 六輔 作曲:いずみたく

<TOMOMI KAHARA CONCERT TOUR 2014~MEMORIES~>
10月12日(日) 福岡県 北九州ソレイユホール
10月13日(月) 大分県 日田市民文化会館・パトリア日田 大ホール
10月19日(日) 愛知県 アイプラザ豊橋 講堂

◆華原朋美 オフィシャルサイト
◆華原朋美 Twitter
◆『MEMORIES 2 –Kahara All Time Covers-』特設サイト
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