女性だけのハードロックバンドとして、80年代のバンドブーム、その後のガールズ・バンドブームを牽引してきたSHOW-YA。90年代に入って一度は解散したが2005年に再結成、そして2014年、デビューから30周年を迎えた。それを記念し、初のカヴァー・アルバム『Glamorous Show~Japanese Legendary Rock Covers』が10月22日に発売される。すべて日本のロックバンドの曲、それも男性ヴォーカルの曲にこだわったというこのアルバムには、SHOW-YAが生まれ変わらせた新旧の名曲が詰め込まれている。それぞれの曲に込めた想いを、寺田恵子が語ってくれた。

◆SHOW-YA~拡大画像~

■男の人の声実際に歌ってみたらすごくレンジが広くて
■これ歌えんのかな?って思った曲もありました


――スゴいアルバムができましたね。寺田さんは、“オレ”という歌詞が一番似合う女性歌手ではないかと(笑)。

寺田恵子(以下、寺田):なんか、自分の中でなんの違和感もなく(笑)。SHOW-YAの最初の3枚くらいは自分で歌詞を書いてたんですが、それは全部主語が男だったんですよ、“オレ”とか“ボク”とか。もう男前のヴォーカリストですから(笑)。

――こういうアルバムになった経緯は?

寺田:30周年の記念企画でアルバムを作ることになって、オリジナルでもよかったんだけど、今回はカヴァー・アルバムを作ろうというのがまず決まって。で、SHOW-YAでやるなら洋楽とか女声アーティストの曲、というのが普通だろうけど、いやいやまずは男の歌からだろうって(笑)。好きな曲とか、思い入れのある曲をカヴァーするのは割と簡単だろうけど、SHOW-YAとしてどうかって考えてみたんですね。SHOW-YAは女性だけのバンドなんで、昔は女はロックできないとかデビューもできないとか、色々言われてたこともあった。そういうことに対する想いも込めて、ここは男のバンドの曲をやってみようと。

――邦楽だけにしたのはどうしてですか?

寺田:洋楽のカヴァーも出してみたい気持ちはあるけど、やっぱり日本人だし、日本語で歌おうってことで。それで邦楽で男、それもバンド、っていうシバリで。

――選曲は苦労しました?

寺田:まあ苦労したかな。影響を受けたものから選ぼうとすると、自分たちより上の世代の人たちになるでしょ? それに、男のバンドで影響を受けたものっていうと、メンバーそれぞれがバラバラだし、洋楽しか影響受けてない人もいるから。だったらゆかりのあるアーティストとか、下の世代で好きな曲、カッコいいと思うアーティストから選ぼうということで。ただ、権利の問題もあって、カヴァーできないアーティストもいて、そこは残念でしたね。

――取り上げられているのは有名なバンドばかりですけど、このバンドでこの曲を選んだのが不思議だな、と思うものもありますね。

寺田:たとえばどれ?

――たとえばEARTHSHAKERなら「RADIO MAGIC」とか来そうだし、寺田さんの声なら「FUGITIVE」が合いそうだし。LOUDNESSなら「In The Mirror」とか。

寺田:「In The Mirror」は候補に挙がってた。普通に考えたら日本語の「In The Mirror」のほうがいいかもしれないけど、西寺実のときに「CRAZY NIGHT」とか「MORE」とかやってたんで、そのほうがゆかりのある曲だからね。シェイカーの中では「MORE」ってすごく人気のある曲でしょ。コアなファンが喜ぶ曲を入れたいという気持ちもあったから。

――オリジナルを知っているファンに喜んでもらうというのもあるけど、昔を知らない若いファンにも聴いてもらいたいという気持ちも?

寺田:うん、ありますね。いい曲は歌ったり演奏したりし続けていくべきだと思う。カヴァーすることで若い人が聴いたり、それで興味を持ってコピーしたりして、次の世代にどんどん伝わっていけばいいと思いますね。その意味でもバランスのとれたアルバムに仕上がったと思います。

――カヴァーをやるときは、オリジナルとは気持ちが違うと思いますが、どんな考え方でやったんですか?

寺田:一番気をつけたのは、そのアーティストが作った楽曲のいい形を崩さないようにしたい。でもそのままやったら自分たちらしさがなくなってしまうので、そのバランスに気を遣いましたね。自分は女だから、男の人の声をどんなに頑張ってコピーしても無理。いかにそのアーティストのメロディを汚さないようにしつつ、自分ができる表現をするか、という。そういう苦労は演奏のほうもまったく同じで、“このリフは外せないよね”とか話し合っていました。ファンが絶対喜ぶフレーズってあるから。

――歌にしても演奏にしても、オリジナルを完全に再現してるところと崩してるところ、そのバランスも絶妙ですよね。

寺田:オリジナルの楽曲にこだわりを持ってる人達っていると思うんですよね。だからスタッフと相談しながら、この人のどこは崩しちゃいけないの?って訊いたり、“ライヴではこう歌う”とか教えてもらったり。あと動画サイトでライヴ映像をチェックしたり。

――相当勉強したんですね。

寺田:したよ、死ぬほどした!(笑)。

――原曲に対するリスペクトがなければ良いものにならないですものね。

寺田:それがいいからヒットして、みんなが知ってる曲になったわけだから。その部分は自分もリスペクトしてやらないと、という気持ちは強かったですね。だからといってモノマネをやるわけにはいかないけど。

――自分のものにしてやろうという意識で歌っていないのも伝わってきました。

寺田:そうですね。自分のものにしようと思ったら、たぶんアレンジからすべて変えなきゃいけない。でもやっぱり、自分が歌うと自分の歌になっちゃうんだなっていうのはありましたね。

――レコーディングで苦労したところは?

寺田:トータルでいうと、自分たちのよさをどこで出すかっていうところかな。個人的には、男の人のレンジの広さにかなり苦戦しました。男の人って低い方はいっぱい出るし、ロック系とかメタル系のシンガーはスゴい高い声も出てるんで。実際に歌ってみたらすごくレンジが広くて、これ歌えんのかな?って思った曲もあったし。

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