【インタビュー】Salley、アイリッシュな響きとダンサブルなビートにせつない恋物語が強く胸を打つ「冬が来る」

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■恋人たちのイベントを想像しながら書いてみようとチャレンジした曲です
■自分の性格としてさらっとしちゃうから、もっとコテコテ感を加えて


▲「冬が来る」初回限定盤
▲「冬が来る」通常盤

──じゃあカップリングの「冬が咲く」に行きますか。ダブルAサイドシングルかと思うくらい、もはやカップリングを超えた曲だと思うんですけど。これは?

うらら:たぶん曲自体は、「冬が来る」より前にあったと思うんですけど、歌詞は全部書き直しました。初めは普通に恋の歌で、メルヘンちっくな歌詞を書いていたんですけど、それを冬の曲にする時に、“コテコテのラブソングってSalleyにはあんまりないよね”という話から、冬だったらクリスマスもあるし、恋人たちのイベントを想像しながら書いてみようとチャレンジした曲です。補作の方(jam)に入ってもらって、ここはこうするともっとコテコテになるよって、コテコテ感を加えてもらって。自分の性格として、どうしてもさらっとしちゃうんですよ、恋とか愛とかいうテーマを書く時に。だからもっとコテコテな…コテコテっていう言葉がちょっとアレですけど。

──うららさん、関西人だから(笑)。でもわかります。

うらら:もっと女子の一番女子っぽいところを出した、重いと言ってもいいぐらいの歌を書けたらいいなと思って、妄想デートしながら書きました。“私はすごく女の子らしい子で、冬に、表参道で、歩きながら…”って(笑)。冬の曲って難しいんですよ、もう全部出ちゃってるから。“クリスマス”とか、“雪”とか、“寒いから手をつなぐ”とか。“何かほかに冬を想像できるものはないかな?”っていろいろ探して、「柊(ひいらぎ)」という言葉がやっと出た。そこが一番苦しんだところです(笑)。

──そもそも「冬が咲く」という言い方も、変わってますよね。

うらら:サビの頭にキャッチーな言葉を持ってくるのが、最近の自分のテーマなので。それで“はじまりの冬が咲く”という言い方は面白いかな?と。「冬が来る」も、二番の歌詞を書き換える時に、「頭に“冬が来る”と言う言葉を入れるためにどうしたらいいか?」って、すごく考えました。そういうところは今、勉強中です。

──「冬が咲く」はほんとに素晴らしいメロディのバラード。いい曲です上口さん。

上口:イントロのリフはすでにあって、それが冬っぽいねというところから、アレンジを作っていったんですけど。実は歌詞を、うららとjamさんとで書くという話になった時に、“大丈夫かな?”とちょっと思っていたんですよ。いざ歌ってみると、こういう感じは今までのSalleyにはなかったなと思って、さっき言っていたコテコテ感が、いい形で音として出てるなと。ほかの作業をしながら流してる時でも、パッと耳が言葉に行く。だから、“二番Aメロの歌詞のところにハモリを入れようか?”ってディレクターに相談された時に、でもそこの歌詞が、うららが目の前にいて自分と向き合って歌ってくれている感じがしたので、“そこはハモリを入れないほうが想像しやすくないですか?”と。

──ああ、リスナーの立場で。

上口:そういうことも、今まではあんまりなかったなと思って。今まではいい意味で、お互いの歌詞と曲をくっつけて、たとえば歌詞のイメージを突き放すようなアレンジだったりするのがいいなとか思っていたのが、それとはまったく違うアプローチがこの曲ではできたなと思っています。

──どちらも寄り添うというか。

上口:言葉に音が引き寄せられるというか。うららとjamさんが一緒にやることで生まれた、言葉の力がすごくある曲だなと思います。アコースティック・ギターで弾く時も、いつも以上にお客さんにちゃんと歌詞を聴かせなきゃいけないと思って、ストロークを考えたりとか。

うらら:ハモリを録ったのに、最終判断でやっぱりいらないって。全然知らなかったんですよ、入れなかった理由を。“あ、そうなんだ”って、こういう場で初めて知ったという。

──確かに二番Aメロのところは、うららさんの声一本で歌いかけてほしいです。あと、後半のサビ繰り返しのところ、“抱きしめて 抱きしめて”のところ。あそこが特にキュンキュンしますよ。

うらら:そこが、自分では出せなかったフレーズだったんですよ。“抱きしめて”のところが。ほかはだいたい自分の言葉なんですけど、自分じゃこんなことは言えないなーと思って、そこは一ボーカリストとしてどう表現できるか?という気持ちで歌っていました。自分で書いたと思うと、うわーって恥ずかしくなるから(笑)。

──あはは。なるほど。

うらら:今までの歌い方と比べても、話している感覚に近いというか。さっき言った二番のAメロだと、マイクのところに人がいるような気持ちで、言葉をちゃんと伝えようと思っていました。自分が歌って気持ちいいだけじゃなくて、聴こえるように意識して歌ったので、それが良かったのかなと思います。

──「冬が来る」と「冬が咲く」、最高の冬シングルだと思います。しかも通常盤のほうにはもう1曲、ワム!の「LAST CHRISTMAS」のカバーも入っていて、もう丸ごと冬づくし。

うらら:カバーをやること自体はディレクターが言い出したんですけど、もともとラジオに出た時に人の曲を歌ったり、たまにしていたので。クリスマスソングをやってみようということで、5曲ぐらい候補を出して、スタジオでやってみたんですけど、実は私の中には「LAST CHRISTMAS」はなくて。

上口:俺もなかった。

うらら:ほかの曲になる予定だったんですけど、やってみたら“これいいんじゃない?”と。「ホワイト・クリスマス」「ママがサンタにキスをした」「ディス・クリスマス」とか、いろいろやってみたんですけど、結局「LAST CHRISTMAS」が一番良かった。

──とてもシンプルな、ギターと歌のきれいなアレンジです。

上口:ワム!の曲を聴いて音を取っていったら、四つしかコードが出てこなくて、コード進行がずっと一緒。アレンジすればいい曲だけど、ギターだけだとすごく淋しくなるなと思いながら、うららとディレクターと3人でスタジオに入って、いろいろ試してみたら、原曲の感じもありつつ、Salleyの感じも出せたなというアレンジができたので。ディレクターがコーラスを入れるのが好きな人で、そこはお任せして、お互いにやりたいことをやったら、“あ、こんな感じになったんだ”と。

──歌も、すごく気持ちよさそうに歌っています。

うらら:キーをわざと高めにして、声のかわいい成分を出したんですけど。でも私、よく考えたら「LAST CHRISTMAS」のサビしか知らなくて、ほかのところの英語が全然頭に入ってなくて(笑)。けっこう必死で覚えました。でも歌っていて気持ちいいし、いい感じで聴こえるし、自分の歌のスタイルには合っていると思います。

──うららさんの声って、冬が似合うんですかね。透明感や浮遊感が、寒い情景に合っているような。

うらら:そうですね。「あー夏休み」な感じではないと思う(笑)。昔はパワフルな声にあこがれて、“なんで自分はこんな貧相な声なんだろう”とか思っていたけど、こうして冬の曲になると、すごくマッチするので。

──2014年のリリースはこれで終わりですか。

うらら:そうですね。今、必死で制作をしています。来年に向けて。

──では最後に、過ぎ行く2014年にひとことを。どんな年でした?

うらら:ワンマンライブがすごく大きかったです。デビュー2年目に入って、気持ちを新たに、ただがむしゃらに走って行くのはここで一旦やめて、ここからはもうちょっと頭を使って…というと嫌らしい言い方になりますけど、もっと細かいところまで考えながら一歩一歩しっかり歩いていきたいなという思いに変わったので。前みたいに、“よくわかんないけど猛ダッシュ!”みたいな感じではなくて、ちゃんと自分たちで目標を持って、話し合って、進んで行けたらいいなという感じです。

上口:すごくありがたいなというか、“この人がいるからこういうことができるんだ”と感じることがすごく多くて。お客さんにしろ、スタッフにしろ。音源やライブでそういう気持ちを伝えていきたいと思うことが、今年はいっぱいあった気がします。感謝の気持ちがすごく大きいですね、いろんな人に対して。

──では2015年に向けての抱負を。

上口:思いっきりやりたいなと思います。自分のやりたいことだけじゃなくて、スタッフと意見を重ね合わせたりとか、その中でできたものを思いっきりアウトプットしていきたい。それを感じて、また思いっきり曲を作りたいなと思います。

取材・文●宮本英夫


「冬が来る」

「冬が来る」
2014.11.12発売
【初回限定盤】VIZL-710 \1,728(税込)
01.冬が来る
02.冬が咲く
03.カラフル(Live at LIQUIDROOM on April 26, 2014)
04.赤い靴(Live at LIQUIDROOM on April 26, 2014)
05.冬が来る(instrumental)
DVD特典「冬が来る」MV

【通常盤】VICL-36952 \1,080(税込)
01.冬が来る
02.冬が咲く
03.LAST CHRISTMAS
04.冬が来る (instrumental)

ライブ・イベント情報

<アコースティックミニライブ+ジャケットサイン会>
11月15日 13:00 TOWER RECORDS名古屋PARCO(西館1Fイベントスペース)
11月16日 12:00 TOWER RECORDS新宿
11月16日 19:00 TOWER RECORDS梅田NU茶屋町

<『saku saku』presents冬のプレミアムライブ2014~Tokyo Night~>
http://www.diskgarage.com/feature/sakusaku1412/
日程:12月20日(土)
会場:EX THEATER ROPPONGI
出演者:DEPAPEPE / 吉田山田 / NIKIIE / Salley
進行:カンカン(※ポンモップ・声の出演) / トミタ栞 / あゆみくりかまき

<FM yokohama主催 聖なる夜の贈り物 2014 in 赤レンガ 君にまた会えるなら>
http://holynight.jp
日程:12月18日(木)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fho-ru
出演:Salley / 植田真梨恵 and more


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