【インタビュー】空想委員会、僕と清少納言は気が合うというところから始まった『空想片恋枕草子』
■高校生の時は、女性のほうが大人だからね。完全に。
■俺の将来はヤバイという思いと教室の感じとか思い出しますね
▲『空想片恋枕草子』初回限定盤 |
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三浦:これは高校時代の三浦くんです。
──この歌詞もリアルでいいですよね。放課後、進路について語り合うシーンとか。彼女ははっきりと進路を決めているのに、自分はまだぼんやりしてるとか。僕も体験したことがあるような気がしてきて。
三浦:あるある、ですかね。
佐々木:あるあるだし、ちょっと嫌な記憶もある気がする。俺も三浦くんタイプだったから、女性がちゃんと将来を見据えているのに、俺は何も考えてないという。気まずかったもん、そういうシチュエーションになった時は。「ああ、すごいな」と思う側だったから。
三浦:高校生の時は、女性のほうが大人だからね。完全に。そこで恥ずかしさを感じるという。このまま行ったら俺の将来は本当にヤバイという思いと、放課後の西日が差す教室の感じとか、思い出しますね。
佐々木:俺はすごい孤独感を感じたな。だからこの曲はせつないです。
岡田:俺の高校時代は…こういう経験はないかな。唯一覚えてるのは、放課後にせっかくふたりきりで勉強を教えてもらってる時に、俺のあまりのできなさにすげぇ怒られたという思い出がある(笑)。
三浦:何その、マンツーマン指導(笑)。
岡田:女の子のほうがすごい勉強もできた子なんですけど、僕があまりにもできなくて。その差を見た覚えはあります。
三浦:それはね、幸せなほうですよ。
──その子と同窓会で会ったりしないんですか。
三浦:まだ会ってないですね。高校の同窓会は一回誘いが来て、青森でやるというので断ったら、それから一回も連絡が来ない(笑)。
佐々木:幹事は「三浦くんは東京にいるから来ない」と思ってるね。一生誘いは来ないと思う(笑)。
──今呼びかけましょうよ。BARKSを通して。
三浦:あはは。三浦、次は参加します!って(笑)。スケジュールをなんとかしてもらって。
スタッフ:じゃあCDを50枚持っていってください(笑)。
──プロモーションだ(笑)。嫌な同窓会だなー(笑)。
三浦:本当に二度と呼ばれないですね(笑)。でも中学高校の同級生は、僕が音楽をやっていることをたぶん知らない人も多いので。同窓会に行って「実は…」と言ったらビックリされると思う。
佐々木:あの三浦くんが?みたいな。
三浦:一番かけ離れていたから、音楽というものとは。なのでたぶん、今だったら、この子に会ったら、「ああいうことあったね」って…いや、言えないかな。
──音の話も付け加えておきますか。「秋暮れタイムカプセル」について。
佐々木:この曲は三浦くんの作るメロディの中でも、特に俺の好きなタイプのメロディなんです。ちょっとせつない感じの。だから秋というよりも、せつないメロディをちゃんと前に出したいと思って、作っていきました。結果的に、イントロが午後3時ぐらいで、終わるのが5時前くらいという、夕暮れ感が出たと思います。
岡田:そんなに変わったフレーズも弾いてないですし、音色も変わってない。それが逆に、夏から秋になる時のせつなさ、脱力感、抜けた感じが、ベースのフレーズとうまくつながったのかなと。秋を狙ったというよりも、自然と秋っぽくなった曲ですね。
──じゃあ最後の1曲で、冬の曲を。その名も「マフラー少女」。
三浦:これは唯一昔からあった曲です。作ったのは、大学を卒業するちょい前ぐらいなので。『枕草子』でCDを作る企画が出てきた時に、最初にこの「マフラー少女」が冬にハマるなと思ったところから始まっているんです。
岡田:本当に初めて一緒にやった曲だよね。
三浦:それを再録して、いい感じになりました。
──これは大学時代の思い出で…。
三浦:そうです。唯一この時は、彼女がいました。ほかの3曲の時にはいないですけど。
佐々木:だろうね(笑)。
三浦:「マフラー少女」は、その時の彼女のことを書いています。卒業と同時に離れちゃうだろうなという思いがあって…懐かしいですね。
──ああ、それで別れを予感させるような、せつない描写が多いのか。三浦さん、ソングライターの業を背負っていませんか(笑)。自分たちの行く末さえも歌にせずにはいられないという。
三浦:そうですね(笑)。たぶんその時は幸せなはずなのに、「これから離れてしまう」という歌を作れるという。
──ある意味素晴らしい才能ですけども。
三浦:彼女のマフラーの柄まで思い出しますね。バーバリーでした。定番の。
──サウンド的には?
佐々木:もともとは、このメンバーになって最初に出した自主盤に入っている曲なんですね。再録するとなった時に、最初に出した時の雰囲気は絶対崩したくなかったので、これがたぶん音作りで一番時間がかかったよね?
三浦:たぶん。
佐々木:変に音が良くなりすぎても、この歌詞の雰囲気と、冬の感じが出せないから。結果的にうまく録れたなという感じです。
岡田:この曲は、サウンドから感じる冬の痛い感じの寒さとか、息を吐いた時に白くなる感じとか、ものすごく映像が浮かぶ曲だと思うので。そういうところを楽しんでもらいたい曲ですね。音から冷たさを感じる曲なので、そこを聴いてもらいたいです。
佐々木:実際、マフラーして聴いてほしいよね。自転車こぎながら。
──という4曲を集めた、『空想片恋枕草子』。これまでの曲よりも実話度がかなり高めで、しかもピュアな片恋ばかり。これは男女、年齢問わず、キュンとくる人続出だと思いますよ。
三浦:できるだけ多くの人に、あなたの1年間に寄り添うようなCDになってほしいと思います。
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