2015年3月3日、日本武道館にて<Berryz工房ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!>が行なわれ、会場に詰めかけた1万人、全国および台湾、香港でのライブビューイング、そしてスカパー!の生中継を視聴した多くのファンに見守られながら、Berryz工房は11年のアイドル活動に区切りをつけた。

◆<Berryz工房ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!>画像、ラストソング「Love together!」コンサート動画(ハロ!ステより)

日本武道館に立てられたお城のステージセット。オープニングアクトが終わり、セットギリギリのところまでぐるりと埋まった客席では、7色それぞれの光を手にしたファンからの「Berryz行くべ!」の大コールが巻き起こる。

ちょうどその頃、ステージ裏では11年続いた“いつもの儀式”が行なわれようとしていた。Berryz工房メンバー、そしてスタッフが集まって行なわれる「Berryz工房」「行くべぇ~!」の気合入れ(ちなみに、今回のコンサートの“Berryz工房行くべぇ~!”は、ここから採られており、「どうしてもこのタイトルにしたかった。」と、夏焼 雅は自身がアシスタントMCを務めていたラジオ日本『爆夜』で語っていた)。しかし、ここにきて事態は想定外な方向に向かう。気合入れの場にはつんく♂プロデューサーの姿も。手術後、まだ喉の調子が万全ではないつんく♂は、この日のためにメンバーへの想いを手紙に綴っていた。これをスタッフが代読し、その愛情の深さにあらためて触れてメンバーは号泣。(泣いてしまってメイクが崩れたりすると、これを直したりと女の子はいろいろあるため)結果、23分遅れての開演となった。公演中のMCで「開演前にバタバタしすぎて……」と雅ちゃんが言っていたのは、そういう事情もあったのである。

18時23分、開演。セットの中央より、須藤茉麻からひとりずつ登場し、颯爽とポージング。そして、熊井友理奈と嗣永桃子を左右に従えて、夏焼 雅をセンターに全員がそろった瞬間。圧倒的な存在感は、もうそれだけで思わず息を飲んでしまうほど。これぞBerryz工房。まさしくBerryz工房。

1曲目を飾ったのは、2005年にリリースされ、彼女たちの代表曲のひとつとなった「スッペシャル ジェネレ~ション」。ファンにとっては瞬発力が要求される楽曲であるが、そこはBerryz工房を愛し続けた精鋭たち。イントロのコンマ何秒で、冒頭、ステージ上のスクリーンに表示される「スッ」「ペ」に反応し、武道館は拳を突き上げながら熱量を暴発させていく。

「スッペシャル ジェネレ~ション」のもうひとつの名物といえば、Bメロでの嗣永桃子と熊井友理奈。身長が公称176cmの熊井が高く掲げた右手と、身長がコンパクトサイズなももちの左手がぴったりと重な……らず、熊井の手首の当たりにタッチする光景だろう(ももちが頑張ってつま先立ちになってプルプルしながら強引に手を重ねようとすることもある)。ところが、この日のステージでは、熊井の気まぐれか何かのアクシデントか、はたまたラストコンサートだからなのか、ももちの手と熊井の手がぴったり重なる“ハプニング”。何より驚いていたのは、他でもないももち自身であった。

セット上段に移動しての「ROCKエロティック」。パワフルな菅谷梨沙子のボーカルから始まるこの曲で、ある不安が払拭されることになる。有明コロシアムで行なわれた<Berryz工房祭り>など、この数日、喉が不調気味だった菅谷。しかし記念すべきこの日のコンサートでは彼女の歌声も復活。普段と変わらない歌声を披露した(少なくとも我々にはそう聞こえていた)。

Berryz工房が11周年のパーティーを開いている様子をモチーフにした自己紹介VTRが流れた後(雅ちゃんがももちにケーキを食べさせてあげるシーン付き)、花柄の衣装にチェンジして「愛のスキスキ指数 上昇中」。レッドカーペットが敷かれた花道を通って、センターステージへと移動するメンバーたち。客席から近い距離にやってきた雅ちゃんの、長いまつげの先で弾けるウィンクが、今夜もまた魔法をかけていく。

さらに「付き合ってるのに片思い」「勇気をください!」と、Berryz工房の、アイドルらしい面をフィーチャーした楽曲が並ぶ(アイドルグループなので、アイドルらしいのは当たり前なのだが……)。可愛らしさ、かっこよさ、パワフルさ、セクシーさ、コミカルさ、そして美しさ。思えば、<Berryz工房ラストコンサート>は、Berryz工房が長きにわたる活動を通して我々に見せてくれた、いろんな姿を詰め込んだセットリストだった、ともいえる。

最初のMCで、ももちから「miya、どうですか?」と、話を振られた雅ちゃん。「はーい。楽しーい!」と、無邪気な子供のような笑顔で叫ぶ。そして、「いやー、もう今日がラストですよ、Berryz工房にとって。やっぱり私たちも大切な思い出を作りたいし、みんなにも素敵な時間を過ごしてほしいなって思います。一緒に楽しんでいこうね!」と呼びかけると、1万人も大歓声で応える。

久しぶりのライブ歌唱となったことから、イントロでどよめきすら起こった「21時までのシンデレラ」。そしてこの曲中では、音に合わせて淡いブルーのドレスに早替え。次の瞬間、お城のバルコニーを彷彿とさせるセット上段には、7人のシンデレラが現れたのだった(映像演出では、背の高い緑のシンデレラや、角……ももち結びのシンデレラのシルエットも)。

ベルの音色に合わせて、ライトアップされたお城の上には星がきらめく。観客のペンライトも色とりどりの星となり、この空間にそっと夜の帳が降りてくる。星に守られるように、メンバー同士は手を取り合ってハート形を作る。そう、Berryz工房の活動停止前ラストシングルから「ロマンスを語って」。歌詞に綴られた“神秘の夜”を視覚化したような景色の中で、未来を信じ、過去を愛し、笑顔の力を備えた7人が楽しそうに踊る。とりわけ、髪の毛をアップにした菅谷梨沙子の姿は、まさしくシンデレラ。一方、客席の遠くを見つめ、微笑みを湛えながら歌う雅ちゃんの華やかさは、どこの国のプリンセスが日本武道館のステージに迷い込んできたのか思ってしまうほど。そして、センターでこのふたりが並んで歌うシーンの美しさは、近年のハロー!プロジェクトの公演の中でも、1、2位を争うほどの光景だった。

菅谷梨沙子が、Berryz工房の楽曲の中でもベスト5に入る好きな曲としてブログで挙げつつ、10周年記念の武道館公演ではソロでも披露した「秘密のウ・タ・ヒ・メ」、そしてセットの階段を効果的に使って伸びやかに歌い上げる「まっすぐな私」。「将来後悔したくない だから今 必死なの」という歌う菅谷の瞳から、ふいに涙がこぼれ落ちる。上手側の階段から下手側へ移動する際に、そんなBerryz工房の末っ子をなぐさめるように、そっと手を引く雅ちゃん。

「私たちBerryz工房の歴史、そして、みなさんとの思い出は、この曲から始まりました。」とキャプテン・清水佐紀が告げる。Berryz工房のデビュー曲「あなたなしでは生きてゆけない」へ。再びセンターステージに移動してロングドレスで優雅に歌い踊るさまは、まるで舞踏会。ライトに照らされて金色に輝く髪は、ステップを踏むたびに音と戯れる。

デビュー曲から時空を一気に駆け抜けて「普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?」に。今のアイドルシーンの状況とはまったく異なる、“誰もがなれるわけではないアイドルという特別な存在”として、青春も土日も全部仕事に捧げて11年。「アイドル10年やっちまったんだよ」と歌う彼女たちが、今回の活動停止によって、同年代の普通の女の子と同じような日常を少しでも味わう機会ができたら……と願わずにはいられない(“アイドル継続”のももちは、当分、先の話になりそうだが)。

Berryz工房のデビュー時からの日々を記録した映像が流され、水を注ぎ入れるように、日本武道館は懐かしさで満たされていく。画面の向こう側で、花束を渡されて卒業した旧メンバー・石村舞波も、この日、自身の映像を客席で眺めている。そしてキャプテン・清水が中野サンプラザにて無期限の活動停止を発表した映像が終わると、一気に寂しさと切なさが入り混じった空気がこの八角形の空間に立ち込める。……が、Berryz工房は、やってしまった。いや“やりやがった!”というほうが正しい。セットから顔をのぞかせたのは、7匹のサル。湿っぽいムードを完全にぶち壊す「行け 行け モンキーダンス」を、このライブに持ってきてしまったのだ。しかもしっかりサルの着ぐるみで。マイクにはバナナまでつけて。


そしてこの熱狂は「cha cha SING」で最高潮へと達する。それにしても“ラストコンサート”と銘打った公演で、1万人を巻き込みながら飛んで跳ねて、ステージ上で歌い踊る7匹のサル。Berryz工房、クレイジーである。

「やー、盛り上がってますね!」「サルがやってきたね!」「久々だよ。」とステージに残った清水、菅谷、そして雅ちゃん。「……これあり?」なんてつぶやいていたが、「cha cha SING」でバナナをマイクから外してまで盛り上がっていたのは、他でもない雅ちゃんであり、「まさかラストライブで、サルの格好するとは思わなかったね。」なんて話をしているが、セットリストや衣装を決めたのは彼女たち自身である。