【ライブレポート】東方神起、10周年ツアーが涙のファイナル。「本当に幸せでした。必ず戻ってきます。」

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そんなお祭り騒ぎの雰囲気をガラリと変える「Love in the Ice」。目を閉じて想いをぶつけるように熱唱するチャンミンのほうに体を向けて、その様子を目に焼き付けるように歌い上げるユンホ。集まった5万5000人のファンは、そんなふたりの姿をじっと見つめ、やがて、まるでドームの屋根が激しい雨に叩かれたかのような大きな拍手に包まれた。

バックバンドとダンサー紹介映像を経て、真っ白いシーツ姿に着替えたユンホとチャンミンがステージに飛び出してきて「MAXIMUM」。和傘を用いた振り付けも取り入られ、存分に魅せるステージに会場からも大きな声援が送られる。そして今にも昇ろうとする燃える太陽が大型スクリーンに映し出される。本編最後の曲は、火柱も上がっての「Rising Sun」。この曲が収録されたシングルがリリースされた2006年、東方神起は歌詞にあるように、<遠いがかすかに見える光>を追いかけている途中だった。

そして2015年、その光は東京ドームを埋める5万5000個の光へ。いや、本ツアーとライブビューイング合わせて80万人以上が作り出す強い光になったのである。

「東方神起」コールに後押しされて、アンコールはバリバリのアッパーチューン「B.U.T(BE-AU-TY)」からスタート。そして「アンコールもらって出てきたんですけど、あと数曲しか残ってないですね。」とチャンミンがつぶやけば、ユンホは「寂しいですけど、みなさんいかがでしたか? 本当に懐かしい曲も歌っているんですけど、みなさんはどの曲が好きだったですか?」と、呼びかける。5万5000人が一斉に自分の思い思いの楽曲のタイトルを叫ぶため、「声を合わせて。」と明らかに無理な要求を出しつつも、ユンホは「東方神起の曲は名曲がいっぱいあるから、いつか全部歌います。」と、観客に約束。そしてバックステージの映像など今までなかった演出に触れて、「今回のライブが、東方神起にとって意味のあるライブだから、あそこにいる(舞台演出を手がけたTRFの)SAMさんもたくさん悩んでたし。みんながひとつになって。……よかったですか?」と、口にする。

次の曲は、2月25日にリリースされた最新シングル曲「サクラミチ」。「4月は卒業もあるし、新学期もあるし、就職など、あらたな出会いがあればお別れもある時期だと思うんですけど。もちろんこの(東方神起の)ふたりも含めて、いろんな不安を抱えていくと思うんですけど、いろんな方々が、それぞれの状況に思い当てて聞いてほしい曲です。」と、ユンホが語れば、チャンミンは、「あえていえば、このふたりの今の時期にもふさわしい、そういう曲じゃないかなって思うんです。ふたりの物語だと思って、歌えると思います。」とポツリ。30歳までに兵役の義務がある韓国。発言がそれにまつわることを示しているのは明白だった。

そしてふたりは、様々な思いを胸に抱いて「サクラミチ」を披露する。声を重ねて、じっと前を見据えるチャンミンと、うつむき気味で切々と歌い上げるユンホ。続く「With Love」では、ふたりへのサプライズとして、ファン、そしてこれまで東方神起のライブを支えてきたスタッフたちの写真とメッセージがスクリーンに映し出される。さらに客席に目をやると、そこには「TOHOSHINKI 10YEARS」の文字。感極まったチャンミンは、まつ毛を濡らし、目を赤くして歌う。一方のユンホは、涙を堪えるようにギュッと目をつぶって歌唱する。やがて起こる大合唱は、ユンホからの「もっと大きな声で!」の求めに、さらに大きなものとなる。そして、「みんな、本当にありがとーー!!!」と、もう目を開けてはいられないユンホは絶叫し、マイクは彼の嗚咽を拾う。スクリーンに映し出される「With Love」の文字の下で、顔を手で覆って号泣するユンホに近づくチャンミン。そしてチャンミンはそっとユンホの肩を抱いたのだった。

「実は昨日もちょっと泣いてたんで、今日は絶対泣かないって約束したんですけど、僕は、泣きたい瞬間があってもずっとずっと我慢してたんですよ。で、一番幸せなときだけ泣きますって、言ったんですけど、みなさんのおかげで今日は本当にしあわせでした。そして、これをいつ言うか悩んでたんですけど、実は、東方神起の単独ライブ、ツアーは……しばらく会えないと思うんですけど、ほんとに、今まで応援してくださった方、ありがたいし、すぐこのふたりで戻ってきて、みなさんの前で会うから。だから、元気よく、待ってください。僕が『ただいま』って言ったら、みんなで『お帰り』って必ず言ってください。」── ユンホ

「あの、スタッフの仕業で……。そうですね。ライブをやっていると、音響的にシステム的に、話をしてて、僕が文句ばっかり言ったり、ちょっと怒ったりもしてたんですけど、そういうスタッフの方も、笑いながら写真をとってくださっていたのを見て、なんか、俺、本当に情けないなぁと思って。いつも、移動とかしてると無表情の方々が泣いてる姿を見てると、悔しいけど涙が出て。また、あらためて、スタッフの方、ほんとに、わがまま、勝手なことを言いまくって、本当に今まで申し訳なかったと思います。しばらくはですね、東方神起の単独ライブとしては会えないんですけど、また元気で、戻ってくる場所が、ここ東京ドームかもしれないし、違う場所かもしれないんですけど。いや、未来のことは誰も知らないので。また会える場所が、できればここ東京ドームで、みなさんと再会できたら嬉しいなと。そして、あまり子供の頃に夢自体はなかった少年に、夢を作ってくれたSMのイ・スマン先生もそうだし、SMエンターテインメント、そしてエイベックス、そして何よりもスタッフの方はもちろん、ここにいらっしゃってる韓国のカシオペアの方々もそうだし、日本のビギストの方々も。夢を作ってくださって感謝しておりますし、みなさんに出会ったのは、僕の人生の中で大切な、大切なプレゼントだと思います。本当に幸せでした。必ず戻ってきます。」── チャンミン

深く一礼をし、ステージを去る東方神起。観客の涙まじりの大歓声を背に受け、ユンホは唇を噛み締め、拳を高く掲げて、ステージの奥へと消えていった。

エンドロールが始まる。こうして、東方神起の10周年を記念したツアーは幕を下ろした……かのように見えたのだが、そのエンドロールに、突然、ノイズが走る。さらに「これで終わりだと思った?」の文字。そして、再び東方神起が、今度はグラウンドに降りてきて「ウィーアー!」。ユンホも「ラッスンゴレライ」言いまくりの「We are T」のコールしまくりの大盛り上がり。さらに曲は「Somebody to Love」へとつながる。涙ではなく、笑顔で、力強く目一杯手を回し、ユンホからは回し蹴り3連発も。「ありがとー!」と再度絶叫して天を仰いだユンホと、裸になって全力で客席に応えたチャンミン。

「みんな、We are T! また会おうよ。」

そう残してステージから消えたふたりの背中には、いつまでも続く「東方神起!」コールが聞こえていたことだろう。

終わることないコールの中、もう一度エンドロールが流れる。ところが、今度は5万5000人の「東方神起!」コールが東京ドームに奇跡を起こす。まさかのエンドロール2度目の中断で、事前配布されたセットリストにも載っていない、トリプルアンコールが実現したのだ。

「最後にですね、もう1曲。ほんとに最後だから! できれば“時間を止めて”もうちょっといたいなぁ、と。」というチャンミンの曲紹介で、10周年記念ツアーの本当に最後に披露されたのは、「時ヲ止メテ」。終わりに近づく時間を惜しむように、気持ちを込めて、体を震わせて力の限りで熱唱した東方神起。そんな姿を最後に、涙のツアーファイナルは幕を閉じた。

なお、東方神起は4月3日、約2年半ぶりにテレビ朝日系『ミュージックステーション』に出演。番組では「サクラミチ」を歌唱する予定だ。

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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