【インタビュー】Brown Rice Family、ブルックリンから世界に向け発信するオーガニックで力強くハッピーなサウンド

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■遠くから“頑張れー!”と気を送っていた所で
■地元の人たちと出逢えるなんて夢のようです


──ところで米国とキューバが国交回復したことについてどのような感想をお持ちですか?また、今回のアルバムを作る上で、2014年以降に両国が歩み寄り出していたことは影響していますか?

Yuichi,Tama:いや、それとこれとは偶然です。まさかこのリリースのタイミングで国交回復するとは!って思っていました。オバマ大統領も合わせてくるなー、って。国交を回復してキューバの良さが消えていってしまうのでは、という心配もありますけど、良いことも悪いこともあるんじゃないでしょうか。

kaz:残念ながら、国と国の間の変化にはいつも大義名分がいつもあるので、手放しに喜んで良いのだろうかっていう部分はどうしてもありますね。結果的に交わらない方が良かったんじゃないかなという部分も、歴史をみればいくらでもあると思いますし。両国にとってプラスなら良いと思うんですが、片方だけが得するようではいけないと思うので。

──多国籍なメンバーでバンドが構成されていること自体にメッセージを感じさせます。バンドという共同体が世界と同じだとするならば、メンバー間で争い事が起きた時にみなさんはどのように解決していますか?

Yuichi,kaz:そうですね。これだけタイプが違うメンバーがステージ上で音楽で一つになっているのを見せるっていうのは、メッセージの一つです。逆にそれぞれがこれだけ違わないと、BRFのような面白い音楽はできないと思います。お互いが違いをリスペクトしています。特に争いとかはないです。遅刻してきたメンバーにイラっとするくらいで。

Tama:メンバー間の争いは殆ほとんど無いです。2人だと通じ難いことも、他の視点からの意見が入ったりするとスムーズに分かり合えたりするし。これだけ他の視点が多いと、逆に勉強になることの方が多いですよ。


──2015年春からカーネーギーホールが主催するプログラムの一つ「Carnegie Hall Professional Development Series」とコラボレーションして、音楽を通して少年院の若者達に更生を促す活動に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動なのでしょうか?

Yuichi,kaz,Tama:少年院に行って、子供たちと3週間で6曲くらい作曲、レコーディング、パフォーマンスします。子供たちが好きな音楽を聴いて、そのスタイルに合わせて曲を作るのでBRFにとっても毎回チャレンジなのですが、子供たちにはテーマを与えて、それに沿って歌詞とメロディーを考えてもらいます。自分の未来に対する思いの曲だったり、家族に対する思いの曲だったり、基本的にはポジティブなテーマを与えて、ジャムしながら一緒に曲を作っていきます。結構最後のコンサートは感動的だったりするんです。最近やったアルバム・リリース・パーティーには少年院に入ってた男の子が出所してお客さんとして見に来てくれてました。彼の姿を見たときは嬉しかったですね。もうアルバム・リリースとか、どうでもよくなるくらい嬉しかったです。

──日本でもAppleMusicを始めとするストリーミング・サービスが浸透しつつあります。私もみなさんの1stアルバム『Brown Rice Radio Station』をAppleMusicで聴くことができました。こうしたリスナー側の環境の変化に対してミュージシャンとしてどのように感じていらっしゃいますか?

Yuichi:時代の流れだから、良いところも悪いところもあると思いますが、良いところを探りながら合わせてやっていきます。2ndアルバムはまだストリーミングには出していないんですが。今はダウンロードかCDのみでしか買えません。そのうちストリーミングにも出す予定です。

kaz:レコード世代の人は、CDが出てきた時にジャケットが約1/4サイズになって、レコードの大きなジャケットアートが無くなって寂しいという部分があったようですね。僕が生まれた頃は、まだ両親はレコードとカセットテープを聴いてたけど、僕が物心ついた頃はCDとカセットテープ、その後にMDでしたね。それでもやっぱり“お店に行って物色して買うもの”だったわけで、しかもアルバムは3000円とかでしたから、それに比べたらだいぶ便利にはなったなと思うんですが、音楽に限らず思い入れ、ありがたみは減ったんでしょうね。廃盤になっていて中古を探してやっと見つけたレコードやCDへの思い入れはやっぱり強かったですよ。寂しい部分もあればCDやレコードを買わなくなっている自分も同時にいるのが現実ですね。

Tama:もうレコードが名刺代わりになっているみたいですね~。僕等はただ自分達が生ライブでしか出せない味を磨いて、愛とメッセージと発信して行くだけです。

★来日公演について

──1年振りの2度目のジャパン・ツアーとなりますが、前回の来日公演にはどのような感想をお持ちですか? 日本のオーディエンスは大人しいと言われがちですがそのように感じましたか?

Yuichi:意外と英語でもいけるんだ!って思いました。ボーカルが英語で問いかけても、ちゃんと反応してくれる。やっぱバイブスを感じてくれたんでしょうか。反応もよかったし、楽しかったですよ。

kaz:ライブのことは覚えていないことがほとんどどなんですが、個人的には2014年は久々の帰国ということもあって、特別感銘深いものでしたね。小さな子供から還暦を過ぎている人達もいるなかで演奏させてもらって楽しかったです。

Tama:いえいえとんでも御座いません。前回は初の日本公演だったという興奮感もありましたが、今思い出しても鳥肌が立つくらいの感動がよみがえります。アンティキテラさんにも物凄く良くしていただいて感謝感激です。今回は前回来ていただいた皆様に恩返しのつもりで、気合いが入っています。

──今回はニュー・アルバム『Habana to Kingston』からの曲を中心に演奏することになりますか?

Yuichi,Kaz, Tama:はい。できれば全曲やりたいです。

──「Latin Goes Ska」のミュージック・ビデオでは周囲の人も巻き込んで楽しそうに演奏しています。ライヴではフロアに降りてお客さんが一緒に踊ったりもしますか?

Yuichi,kaz, Tama:フロアに降りても、ステージにお客さんが乗ってくれてもどっちでもアリじゃないですか。

──オフィシャル・ウェブサイトに掲載されているグッズに、石鹸があるのが実にオーガニックなバンドのイメージにピッタリだと思いました。この石鹸は来日公演の会場でも買えるのでしょうか。

Yuichi,kaz, Tama:それがですね、レコーディングとアルバムリリースやリリースツアーで忙しくて、石鹸を作っている時間が最近なかったんです。そしたら、アメリカでリリースツアー中に在庫がほとんど売り切れてしまいました。オーガニックコットンを使っているTシャツやタンクトップは買えますよ。Havana to Kingstonの新しいのも持っていきます。

──今回の来日公演は「Brown Rice Family 2nd JAPAN LIVE with Plan-B」として日本のバンド「Plan-B」との共演も話題ですが、どのようなコラボレーションをお考えでしょうか?

Yuichi,kaz, Tama:それは日本に着いて、リハーサルスタジオに入ってからのお楽しみです。何がどうなるかまだわかりません。またジャンルが全然違うグループとのコラボなので、何が起こるか楽しみです。

──初日の8月2日(日)では東日本大震災で被害の大きかった仙台でのライヴがおこなわれます。特に日本人のメンバーのみなさんにとっては特別な想いがあるのではないですか?

Yuichi:被害は大きかったと思いますし、辛かったと思うので、とにかく楽しんでほしいですね。で、ライブの後ポジティブな感じで帰ってもらえたら。

kaz:地震があった後には、NYでも日本人に限らず色んな人々が色んなかたちでチャリテリーイベント的なものに参加したり企画したりしてくれてました。BRFとしてもいくつか演奏させてもらいましたが、所詮遠く離れた国からでしたし、現地に行くことができない歯痒さを感じてましたので、今回行けることに感謝してます。何か少しでも役に立てるなら幸いです。

Tama:もちろん。3/11のチャリティーイベントは色々な形で毎年ニューヨークで行われていて、僕らも毎年参加させていただいています。とは言っても仙台の情報がほとんど入ってきません。遠くから“頑張れー!”と気を送っていた所に実際行けて、地元の人たちとこういう形で出逢えるなんて夢のようです。とにかく楽しんでいただくのみです。

──今回は仙台、東京、大阪と3ヵ所で4公演をおこないますが、ライヴ以外で日本滞在中にしてみたいことがあれば教えてください。

Yuichi:日本の田舎を日本人以外のメンバーに見せたいですね。地元の静岡とか連れて行きたい!東京と大阪は2014年に見たと思うので。

kaz:行ってみたい場所はいくらでもありますが、まだまだ親孝行できてない身だと思っているので、家族と一緒に過ごすことを考えてます。

Tama:いろんな所を歩いて今の日本を体感したいです。

──ライヴを楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

Yuichi:日本じゃない、ニューヨークだからこそ実現した、いろんなジャンルの混ざってる良いバンドなので、ぜひライブを見に来てください。ブルックリンからOrganic Loveを届けます。

kaz:2014年も含め、時間を割いてお金を払って観に来てくれる人達には感謝の気持ちを伝えきれないです。一人でも多くの人にお会いできることを楽しみに待ってます。

Tama:BrooklynからOrganic Loveを持っていきま~す

取材●岡本貴之


ライブ・イベント情報

<Brown Rice Family 公演>
コラボレーションアーティスト/ Plan-B (http://www.planplan-b.com/)
仙台公演
日時:2015 年8 月2 日(日)
会場:retro BackPage (仙台市青葉区国分町3-3-1 定禅寺ヒルズ8F)
問い合わせ:GIP (http://www.gip-web.co.jp)

東京公演
日時:2015 年8 月4 日(火)、5 日(水)
会場:Shinjuku BLAZE (新宿区歌舞伎町1-21-7 新宿アネックスB2F)
問い合わせ:ANTIKYTHERA (http://antikythera.jp)

大阪公演
日時:2015 年8 月7 日(金)
会場:ROCKTOWN (大阪市阿倍野区阿倍野筋1-6-1 あべのキューズモール1F)
問い合わせ先:サウンドクリエーター(http://www.sound-c.co.jp)

*7月4日10 時~チケット発売開始
前売り券6,000 円
当日券6,500 円
(3 歳以上要チケット)
チケットぴあ 0570-02-9999
http://t.pia.jp/ (P コード: 仙台269-335 / 大阪269-464)
ローソンチケット http://l-tike.com/ (L コード:仙台 23886 / 東京75803 / 大阪57464)
イープラス(仙台・大阪)http://eplus.jp *パソコン・携帯から利用可

リリース情報

『Havana to Kingston』
2nd ablum released in 2015
1. Intro - At The Bar In Havana
2. Latin Goes Ska
3. Gun Town
4. Say What You Wanna Say
5. Repatriation (Mama Africa)
6. Zimbabwe (Illegal Economic Sanctions)
7. Moving Forward
8. She's Gone
9. Surfin'


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