B'zが7月26日(日)、ナゴヤドームにて全国ツアー<B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT->のファイナル公演を開催した。先ごろ公開した速報レポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。

◆B’z 画像



ナゴヤドームは中日ドラゴンズの本拠地であり、プロ野球ほか展示会やスポーツ大会をはじめとする大型イベントでも使用される施設だ。密閉型の屋根は三角形の骨組みが格子状に組み合わさって、それだけで幾何学的なフォルムが美しい。B'zとしては1997年のナゴヤドームこけら落とし以降、ファンにも馴染み深い会場だろう。また、同ツアーはアルバム『EPIC DAY』リリースに伴って行われるものであり、ホール・アリーナツアーとスタジアムツアーのあいだには、広島東洋カープ・黒田博樹投手の登場曲「RED」が発表されるなど、野球場というシチュエーションによく似合うナンバーもファンを待ち受けている。


定刻の17時、『EPIC DAY』のジャケット写真に描かれた赤い風船が大海原へ旅立つストーリーが展開されたオープニング映像に続いて、松本孝弘が舞台下からせり上がってステージに登場。しかし、そこに稲葉浩志の姿はない。演奏がスタートすると、ステージ両サイドに設置された天井まで伸びる真っ赤な階段へスポットライトが当たった。稲葉の登場は下手階段上方、颯爽とステージへ向かって階段を駈け降りるという驚きの幕開けだ。オープニングナンバーは「RED」。ステージ最上段からは赤い垂れ幕が吊り下げられ、真っ赤な階段には何本もの赤いフラッグがはためく。加えてステージ背後に掲げられたLEDに深紅のB'zフラッグが映し出され、それらを真っ赤な照明が浮かび上げた。楽曲タイトル通り“RED”に染め上げられた場内がシンガロングで一丸となる様は圧巻だ。続けて、ワウの掛かった松本のギターリフが印象的な、アルバム収録曲「NO EXCUSE」へ。バリー・スパークスとシェーン・ガラスのリズム隊によるモータウンビートが無条件にドームを踊らせた。



ステージ最上段から吊り下げられた巨大オブジェを指差して「EPICブラ」と語ったのは稲葉。ピンクの女性下着を象ったこのオブジェが裏返されると、そこには“B’zのLIVE-GYMにようこそ!”の文字が。「B’zの」「Yeah!」というコール&レスポンスを数度挟んだ後、「B’zのLIVE-GYMにようこそ!」という恒例の挨拶に場内の興奮が高まるばかりだ。ドームの広い空間はB'zが放射する上質のサウンドと極上のエンターテイメントに熱帯と化していく。

この夜のセットリストは、当然最新アルバム『EPIC DAY』を中心としたものだが、「YOU&I」「TIME」「HEAT」といったシングル曲以外の過去のナンバーが序盤に据えられて、さまざまな時代のレア曲や代表曲がライヴを一層熱いものにした。とりわけ「YOU&I」がステージで披露されるのは10数年ぶりだけに、場内の反応が凄まじい。「HEAT」では松本とサポートギタリスト大賀好修によるハモリソロが完璧にシンクロ、稲葉はハンドマイクを松本のギターに向けてアピールするなど、その圧倒的なサウンド&パフォーマンスに会場が暴発寸前だ。また、ある意味では過去の楽曲と最新チューンが並列に披露されたわけだが、そこにノスタルジックな空気感はない。むしろキレ味がより研ぎ澄まされて以前の曲が新鮮に響いていたことこそ興味深い。


「<EPIC NIGHTツアー>、ついに最終日になっちゃいました。最終の地、それがここ名古屋です。“EPIC NIGHT”=最高の夜。そのさらに上を目指して、最高を超えるという気持ちで、自分の中にあるものすべてを音に乗せてみなさんにお届けします。みなさんもゆっくりたっぷり楽しみながら、我々とともに幸福と快楽の頂点に上り詰めようじゃありませんか」──稲葉浩志


ここからは「アマリニモ」「Exit To The Sun」「Black Coffee」とアルバム『EPIC DAY』収録曲が立て続けに披露されるセクションへ。松本は自身オリジナルのギブソン製ファイヤーバードをプレイ。ハードなディストーションサウンドから、「Black Coffee」のクリーンサウンドまで、ピッキングニュアンスが如実に伝わるエモーショナルで自由な表現はとにかく力強い。そして、一音一音をじっくりと歌うような稲葉のボーカルがその中核を突き抜ける。言うまでもないがB'zがB'zであるための存在証明は松本のギターと稲葉のボーカルにある。タイプの異なるミディエムテンポの3曲が披露されたこのセクションは、その存在感の頼もしさが大きくフィーチャーされるシーンとなった。


「思えば去年の8月、アルバムのレコーディングを始めて。わりと早い段階からアルバムタイトルを『EPIC DAY』に、ツアーは<EPIC NIGHT>にしようというアイデアが浮かんで。ツアーは下関のショウケースからスタートしたんですけど、そこから1本1本完全燃焼するつもりでライヴをやってきて、今日、名古屋に辿り着きました。始まりから考えると、最終日を無事に迎えられているというのは、幸せで、ありがたいことだなと、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。だからぶっ倒れるまで、倒れるつもりでやります。次の曲も『EPIC DAY』の中から。これは燃え上がるような熱い恋の歌ではないですけど、人と人がしっかりとどこかで結びつきを持っていれば、いさかいやすれ違いがあったとしても、それすらエネルギーにして前に進んで行けるんじゃないかなと思いながら歌詞をつくった曲です」──稲葉浩志

そして演奏されたナンバーは「君を気にしない日など」だった。B'zの楽曲の数々が実に多彩であることは周知の通り。ミディアムテンポの踊れるナンバーもあれば、ハードに躍動するナンバーもある。同曲のようにしっとり心を濡らしてくれるナンバーはまた格別の趣だ。さらに、続いて演奏された「Man Of The Match」はジャズあり、サイケあり、“コレデイイノダ”の大合唱ありと、1曲の中に新しいB'zサウンドを随所で聴くことができた。加えていえば、そのサウンドの渦を視覚的にも訴えかけてくるような照明は筆舌に尽くしがたいものがあった。グリーンとレッドの無数の光が場内にうごめき交錯する場面、狂気を描くようなサウンドとの絶妙な一体感に思わず鳥肌が立ったほど。


松本が客席に投げキッスを連発するなどゴキゲンなメンバー紹介を挟んで、荘厳なオルガンサウンドが広がった。その音色が一瞬止まると、オレンジのライトに包まれた稲葉がオルガンをバックに熱唱、それに続いて松本のスライドギターが加わるという新アレンジで「熱き鼓動の果て」が展開される。速報レポートでも触れたとおり、同曲ではランウェイの上手と下手で各々パフォーマンスを繰り広げた松本と稲葉だが、そのランウェイ突端部分がやがて切り離され、移動ステージとなってアリーナ外周を移動するというサプライズがあった。そして、2つの移動ステージがアリーナ最後方で合体してサブステージを形成。“モウスグデ アナタニアエル”という歌詞をリフレインしながら移動した稲葉はサブステージで開口一番、「会えましたね!」という言葉を届けた。

「こんな素敵な場所に辿り着きました。松本さん、どうですかこの景色は?」という稲葉の問いに、松本が「美しいね。今日で見納めかと思うと名残惜しいな」と答えるなど、リラックスムードで展開されたサブステージは、わずか1~2m程度の距離に2人が向かい合うように座るシチュエーションも見どころ。「せっかくこっちに来たので、2人でやります。みなさん、自由な感じでお楽しみください」と稲葉がまずハーモニカを奏で始めた。それに合わせるように松本がスライドギターを響かせるブルージーな掛け合いセッションがスタート。それがやがてギターリフに変わり、ハイハットを足で開閉してリズムを取る稲葉が歌い始めたのは、「ZERO」だ。スピーディーな展開が魅力の原曲が、まるで別の曲に生まれ変わったかのようなインパクト。その演奏に導かれるように2人を中心点としてドーム全体に手拍子の輪が幾重にも広がる光景は壮観だ。続いて、ギブソンのJ-45を手にした稲葉が「ヘイ! シェーン!」と叫ぶと、アリーナ席を挟むカタチで、サブステージの2人がメインステージのサポートメンバーと「Blue Sunshine」を演奏。ドーム全体をステージにしてしまう壮大なワンシーンとなった。


サブステージからメインステージへ、アリーナ外周を移動する途中で、「今、何時? そろそろ有頂天になる時間じゃないですか? なってもいいんじゃないですか!? なろうぜ名古屋!」と稲葉。もちろん演奏されたナンバーは「有頂天」だ。後半へ行くに従ってますますアグレッシヴと化していく稲葉の声量とパフォーマンスは驚異的だが、「Yeah!」のコール&レスポンスでのそれに負けない客席のパワーにも驚くばかり。そんな場内一体の熱演が繰り広げられてライヴは加熱する。そして再び稲葉のMCへ。

「誰かの“EPIC”の瞬間を後押ししたり、誰かの“EPIC”に一役買えるバンドであり続けたいと、強く強くこのツアーで感じました。必要なときは連絡ください。冗談抜きでそれがバンドとして一番の幸せだと思います」──稲葉浩志


“EPIC”な時を共有し続けるナゴヤドームは、いよいよ怒濤の終盤へ。稲葉が下手ランウェイから上手ランウェイへ一気に駆け抜けて客席を煽った「ultra soul」、クロールで泳ぐような振り付けがドームに波を描いた「スイマーよ!!」、ステージの上手下手に吊り上げられたレーシングカーが落下&爆発するというド派手な「BURN」、ダイス、スロット、ルーレットなどカジノを連想させるバルーンがアリーナ上空に旋回した「Las Vegas」など、数々の演出やパフォーマンスはすべてがハイライトシーンの連続。もちろん「スイマーよ!!」のインターでのドラム、ベース、オルガン、ギターのソロ回しや、「Las Vegas」で初登場した松本のギブソンフライングVなど、サウンド面でのアレンジにB'zならではのマジックが散りばめられていて心憎い。本編ラストは「EPIC DAY」で一気に駆け抜けた。



アンコールは、松本がフレーズを奏で、稲葉がそれに乗せてサビを歌うなど、音源とは異なるアレンジで始まった「イチブトゼンブ」から。そしてツアーファイナルのラストを飾る楽曲は「愛のバクダン」だった。アンコールを含め、全21曲全2時間30分のステージは終始熱狂のまま終了した。同時に足掛け5ヶ月間全国25ヶ所40公演のツアーは、52万人に大きな感動を与えてくれた。この公演の最後に稲葉はこう語った。

「素敵な素敵な<EPIC NIGHT>をいただきました! どうもありがとう!」


巨大なステージも驚きの演出の数々も素晴らしいエンターテイメントだった。しかし驚くべきは、それらをも巻き込んでしまった2人の生身の人間が発散する圧倒的な存在感にある。ステージ中央で熱い抱擁を交わした松本と稲葉。「本当に気持ちよかった。また会いましょう!」という言葉でツアーを締めくくったB'zの2人は、大きく手を上げてステージを去った。彼らが生み出した“EPIC”を讃えるように、客電が点いた後もしばらくナゴヤドームに拍手が鳴り止むことがなかった。

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)

■<B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT->
2015.07.26@ナゴヤドームSET LIST
01.RED
02.NO EXCUSE
03.YOU&I
04.TIME
05.HEAT
06.アマリニモ
07.Exit To The Sun
08.Black Coffee
09.君を気にしない日など
10.Man Of The Match
11.熱き鼓動の果て
12.ZERO
13.Blue Sunshine
14.有頂天
15.ultra soul
16.スイマーよ!!
17.BURN
18.Las Vegas
19.EPIC DAY
<ENCORE>
20.イチブトゼンブ
21.愛のバクダン

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