【インタビュー】Thinking Dogs、それぞれの個性やこだわりをたっぷり詰め込んだ2ndシングル「3 times」

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■いまは楽曲をいかに自分達のテクニック良い形に仕上げられるかということを一番重視している
■でも曲作りのスキルも上げていってOKをいただけるようになることを目指していきます


――先ほど話があった通り、「3 times」にはそれぞれの個性やこだわりが反映されていることが分かります。カップリングは、エモーショナルなミディアム・テンポの「もしも あなたが…」と、軽やかさが心地好い「ごめんね、キャサリン」という2曲。

大輝:「もしも、あなたが…」は、ストリングスとピアノで始まります。ストリングスやピアノがフィーチャーされた曲は今までのThinking Dogsにはなかったので、デモを聴いた時にすごく新鮮さを感じました。あと、この曲は『劇場霊』というホラー映画の主題歌なんですよ。イントロはちょっと不安感を煽るような雰囲気だから良いけど、サビでパッと開ける感じになっていて、果たしてこれがホラー映画に合うんだろうかというのがあって。そういうとまどいもありつつ『劇場霊』の試写会にメンバー全員で行かせていただいて、映画のエンドロールのところでこの曲が流れたら、すごく良かった(笑)。それでホッとしたし、すごく良い曲だなと改めて思いました。

一同:うん、それは感じた(笑)。

大輝:そうだよね?(笑) 「もしも あなたが…」のドラムは、こういうミディアム・バラードみたいな曲は、すごく気を遣うというか。ちょっとしたテンポのヨレとかも目立ってしまうし、かといって淡々とビートを刻むのは違うというのがあって。曲の表情に合わせたダイナミクスとかも含めて気を配らないといけないことが多くて、今回の3曲の中では一番大変でした。

わちゅ~:この曲はデモの段階とアレンジ後で、印象が大きく変わったんです。元々のデモは全体的にサビの雰囲気に近くて、明るい感じだったんですよ。それが、タイアップの話をいただいてアレンジされてあがってきたら、こういうマイナー調の独特な感じになって、さらにピアノとストリングスがフィーチュアされていた。なので、ベースのアプローチも考え直すことにして、上物の邪魔をしないけど、ちょっと動くという方向でまとめました。あとは、僕は作曲もするので、そういう視点で見ると、この曲はJ-POPのヒット曲で多用されるコード進行が盛り沢山なんですよ。Aメロは小室(哲哉)さんが得意とする“TKコード”になっていたり、サビはカノン・コードをちょっといじったパターンになっていたり…という感じで。日本のトップ10によく入ってくる曲達に使われているコードが、Aメロ、Bメロ、サビそれぞれで使われている。それに、サビで1音下がる転調が使われているけど、違和感がないんですよね。そういう意味で、この曲をコピーすると、コードや転調の勉強になるんじゃないかなと思います。


▲2ndシングル「3 times」初回生産限定盤


▲2ndシングル「3 times」通常盤

――コピーにオススメですね。それに、この曲のベースはハネ具合が絶妙です。

わちゅ~:ハネは本当に奥が深くて気を遣うので、そう言ってもらえると嬉しいです。1stシングルでもハネをすごく多用する曲が、カップリングの3曲目に入っていて(「悲しみ以上」)。それを経て、「もしも あなたが…」もAメロでハネが出てくるので、このバンドにはハネるということは外せないのかなと思って。ハネが楽曲を彩るうえで重要になる気がしていて、これからもっと極めていこうと思っています。

Jun:この曲はテンポ的に粗が目立つというのがあって、より丁寧に弾きました。リズムに対してジャストで弾くと、バチバチした感じになってしまうんですよ。なので、ちょっと後ろにいて重たくするようにしました。あとは、ギター・ソロの話になりますけど、「3 times」とはまた違って、角の取れた丸いサウンドで弾いています。「3 times」のソロは攻撃的だけど、この曲は聴きやすい感じに纏めたほうが良いなと思ったので。

――リズミカルかつ滑らかなフレージングとマッチした音ですね。それに、Aメロで符点8分のディレイを使っているのも良いフックになっています。

一同:そう! あのフレーズは、すごく良い。

Jun:本当に? ああいうディレイを使ったフレーズはすごくシビアで、本当にキッチリしたリズムで弾かなければならないので難しかった。今回のレコーディングでは、あのフレーズを録るのに一番苦労したかもしれない。


▲写真左より:Jun、わちゅ~

――でも、頭の中で鳴ってしまったから……。

Jun:入れずにいられなかった(笑)。元々ディレイを駆使するようなプレイはあまり得意なほうではなかったので、今回は勉強になりました。

TSUBASA:僕も、この曲は勉強になりましたね。僕はレコーディングする時に、必ずその曲の波を決めるんです。ここは強い、ここは弱いと決めるんですけど、この曲は見事にAメロ→Bメロ→サビとクレッシェンドしていく流れになっていて。そういう中で、一番上がっているところをマックスに持ってくるとしたら、他のパートはどれくらいの強さにすれば良いかという抑揚のつけ方がすごく難しかった。特に、繊細に歌うパートですね。弱く歌うんだけど、囁き声にならないというのが難しいんですよ。ちゃんとマイクに乗る音量で、かつ繊細な感情を表現するという。だから、この曲は一番最後のサビが声を張って歌っていて気持ち良いパートではあるけど、実はAメロやBメロのほうがすごく気を遣って歌っているんです。

――この曲も歌の温度感が絶妙です。それに、傍にいて空気のような存在になっている相手を、かけがえのない人だと歌っている歌詞も注目です。

TSUBASA:僕は、主人公が“お前に傍にいて欲しいんだ”ということを、その言葉を使わずに伝えようとしているんだと解釈して歌いました。口には出さなくても、こういう風に思っている人は多いと思うんですよ。なので、想いを伝えたい人は、その人と一緒にカラオケとかに行って、「もしも あなたが…」を歌うことを勧めます(笑)。

わちゅ~:それ良いな(笑)。告白も兼ねて…みたいな?

大輝:“あなた”のところを、その子の名前に替えて歌ったりとか(笑)。

Jun:それで、ドン引きされるという(笑)。

一同:アハハ!(爆笑) いや、でも、それも良い思い出になると思う。

――同感です(笑)。続いて、3曲目の「ごめんね、キャサリン」にいきましょう。

大輝:この曲は、何よりもメロディーが良いなというのがあって。メロディーの良さやTSUBASAの歌を際立たせるために、ドラムは余計なことはせずにシンプルにして、気持ち良いリズムを出すことに徹しました。「3 times」はロックっぽいというか“うぉりゃあー!”みたいな感じだけど、これは歌物っぽいというか、良い感じに肩の力が抜けた雰囲気になっていて。シングル一作の中で、そういう振り幅の広さを出せたのも良かったと思います。

わちゅ~:たしかに、「3 times」と「ごめんね、キャサリン」は、同じドラマーとは思えない(笑)。僕の中では、デモを聴いた時に、この曲は今回の3曲の中で一番棘がないサウンドだなというのがあって。爽やかに流れていくような仕上がりということを意識しました。あと、この曲もかなり転調を多用しているんですよ。サビ終わりで転調して、Bメロからサビにいく時に転調して、実はギター・ソロに入るところでも転調しているんです。そういう風に、すごく練り込まれている曲だったりするので、調が変わるところのフレーズを慎重に選びました。転調していることがあからさまに分かると、この曲の良さが消えてしまうから。メロディーを自然に聴かせるための転調ということを一番大事にしたベース・アプローチになっています。

Jun:この曲のギターは、クリーン・トーンの音がなかなか決まらなくて苦労しました。この曲の録りを通して良いストラトを1本買おうという決心がついたという意味で、僕の中では大きな1曲です。結果的に、スティーブ・ヴァイ・モデルのセンター・ピックアップで録ったんですよ。それが一番イメージに近い音だったから良いんですけど、こんなに軽やかな曲をフロイドローズ(ロック式トレモロ・ユニット)が付いたギターで録るんだ…みたいな(笑)。そこに違和感があったので、良いストラトを買います。キャサリンが、僕にそう決心させました(笑)。

一同:おおっ! キャサリン、すげぇな(笑)。


――たしかに(笑)。それに、この曲のギター・ソロを聴くと、Junさんがブルージーなプレイが好きなことがよく分かります。

Jun:玄人だったらどう弾くんだろうということを想像して小奇麗にまとめようかなとも思ったけど、やっぱり暑苦しいチョーキングとかを入れてしまった。でも、それが自分らしさだから良いかなと思います。

TSUBASA:うん、やっぱりJunは熱くないと…と思う。この曲は、僕の中のキャサリンを創るのが一番大変でした(笑)。僕がイメージしたキャサリンは主人公よりちょっと年上の女性で、大人っぽく軽くあしらっているように見えて、本当は主人公のことが好き…みたいな。

一同:作り込むねぇ(笑)。キャサリンは、日本人?

TSUBASA:俺の中では日本人(笑)。逆に、主人公の男の子はあしらわれているけど、それに気づいてない。すごく純粋で、キャサリンのことが好きだけど、他の2曲と同じように草食系で、想いを伝えることを躊躇ってしまったという。最初に、そういう風に人物像を創り上げてから、歌のことを考えました。この曲の歌詞に、“優しさの意味 勘違いして どうしたい?と聞いてしまった”という一節があるじゃないですか。そこが、僕がこの曲で一番感情を込めた場所です。なぜなら、主人公の男の子の一番強い想いが込められているフレーズだから。そこに、主人公の後悔がこもっているんです。ここからすべてが始まっている“ごめんね、キャサリン”という歌詞だと思ったので、そこに一番感情を込めました。

――さすがです。皆さんの話を聞いて、それぞれが自分なりに楽曲を昇華して、提供された楽曲や歌詞を自分達の曲にしていることを感じました。

わちゅ~:そう言っていただけると、本当に嬉しいです。ただ、今は楽曲を提供していただいていますけど、いずれ自分達の曲が今の楽曲を超えられたら発信できるようになりたいと思っています。いただいている曲は本当に良い曲で、間違いないから、今はいただいた楽曲をいかに自分達のテクニック良い形に仕上げられるかということを一番重視している。でも、僕が曲を作って、TSUBASAに歌詞を乗せてもらって…という制作は、ずっとしているんです。曲作りのスキルも上げていって、OKをいただけるようになることを目指していきます。

――Thinking Dogsの中から出てきたものを聴ける時が来ることも楽しみにしています。それに、「3 times」リリース後は、ライブも何本か行いますね。

わちゅ~:ライブに関しては、Thinking Dogsは曲が良いので、そこを推したいというのが自分達の中にあって、ライブでも楽曲を良い形で聴かせることに重点を置いています。あとは、それぞれがライブではちょっとフレーズを変えて遊んだりしているので、よりそれぞれのプレイヤーとしての色を感じてもらえるかなと。僕らはアイドルと勘違いされがちだけど、ライブを観てもらえばちゃんと演奏できるメンバーが揃っていることが分かってもらえると思う。そういう面もあってライブを本当に大事にしているので、Thinking Dogsに興味を持った方には、ぜひライブを観て欲しいです。

TSUBASA:楽しんでもらえるライブをしている自信があるので、僕もライブを観て欲しいですね。それに、僕らはThinking DogsのYOU TUBEチャンネルを持っているし、個人個人がTwiiterもやっていて。そういったものを活用して、ちゃんと演奏できるバンドだと分かってもらえたり、それぞれのパーソナルな部分にも触れてもらえるようにしているんです。そうすると、ライブ一つする時もライブを観てもらうことにプラスして、メンバーそれぞれがそこでどんなことを感じたかというようなことも伝えられるじゃないですか。そういう風に、“一粒で二度おいしい”じゃないけど、ライブを観てもらうだけでは終わらないようにしたいと思っています。

Jun:僕らの曲はすごく聴きやすいので、普段ライブハウスに足を運ばない人達にも楽しんでもらえると思うんですよ。お父さんやお母さんだったり、小さい子供さんだったりとか。なので、ライブに来られる方は、ぜひ家族も誘って欲しいですね。世代を超えて聴いてもらえるバンドになるということが一つの目標としてあるし、Thinking Dogsのライブに来てもらえばきっと楽しい時間を過ごしてもらえると思う。なので、ライブ会場に足を運んで欲しいです。

大輝:僕も本当にライブを観て欲しい。楽曲を聴いたり、ヴィジュアルを見ただけだと、アイドルバンドに思われがちだし、実際そう思っている人もいるみたいなんですよ。でも、ライブを観てもらえば、しっかりした演奏ができる、ちゃんとしたバンドだということが分かってもらえるだろうから。誤解を解いていくために毎回良いライブをしようと思っているし、Thinking Dogsならではのライブのあり方も突き詰めていきたいと思っています。

取材・文●村上孝之

2ndシングル「3 times」

2015.11.18リリース
初回生産限定盤(CD+DVD)
SRCL-8907~8908/¥1,500+tax
通常盤(CD)
SRCL-8909/¥1,000+tax
【CD】
1.3times
2.もしも あなたが・・・
3.ごめんね、キャサリン
4.3times -instrumental-
5.もしも あなたが・・・ -instrumental-
6.ごめんね、キャサリン -instrumental-
【DVD】
1.「あと100マイル」MUSIC VIDEO

ライブ・イベント情報

<『3 times』発売記念フリーライブ&特典会>
日程:11月17日(火)
場所:アリオ川口 1F センターコート
開演時間: 18:30~

日程:11月19日(木)
場所:ららぽーと富士見 1F 屋外広場
開演時間: 18:30~

日程:11月20日(金)
場所:イオンモール浦和美園 1F セントラルコート
開演時間: 18:30~

日程:11月21日(土)
場所:ららぽーと豊洲 シーサイドデッキ メインステージ
開演時間: 1回目13:00~ / 2回目15:00~

日程:11月22日(日)
場所:タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
開演時間: 14:00~

<DOG'S PARTY vol.1~わんわん冬の大感謝祭2015>
12月22日(火)六本木 morph-tokyo
■購入ページURL(パソコン/スマートフォン/携帯共通)
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002174019P0030001


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