【ライヴレポート】VAMPS、MONORALとの<JOINT 666>で「好きにしていいとは言ったけど」

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VAMPSが11月13日、籠城型にして対バン形式となるツアー<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>の2日目をZEPP TOKYOにて開催した。“666”というツアータイトルに加え、13日の金曜日。ツアー2日目は前夜の余熱を引き継ぎつつ、何が起こっても不思議でない予感に満ちていた。

◆VAMPS 画像

開場時間の18時、ZEPP TOKYOの周囲にはVAMPSとMONORALのファンが集結。どちらも毎年<HALLOWEEN PARTY>を主宰しているバンドだけあって、映画『13日の金曜日』のジェイソンでお馴染み“ホッケーマスク”を被るファンの姿が見受けられるなど、さすが気合いの入り方が違う。

<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>第二の対バン相手となるMONORALは、ヴォーカルのAnisとベースのAliによるロックバンドであり、VAMPSとはレーベルメイトにあたる。HYDEとの初共演は2003年5月、ken(L’Arc~en~Ciel)のソロプロジェクトSONS OF ALL PUSSYSのツアー<BUBBLE FESTiVAL>に遡るほど両者の付き合いは長い。BLOODSUCKERSには<HALLOWEEN PARTY>の1コーナー“アフリカの子供たちのゲーム”での、Anisの見事な仕切りぶりが印象深いだろう。


開演前のAnisとAliは至ってリラックスムードだ。そこにいわゆる対バンにありがちな“vs”的張り詰めた空気はない。ライヴを一緒に作り上げる仲間として、VAMPSのステージへ熱量を高める役割としての責任を捉えながら、キモが座った状態にあるようだ。そして定刻の6:66(7時06分)、舞台を覆う幕が左右に開くとAli、サポートのアキラ(G)、松本淳(Dr)による3人のセッションからスタートするオープニングに、彼らならではの大胆さを感じさせた。

Anisが登場して加わるとセッションはますます熱を帯び、Aliのベースワウがウネリを上げたところで、1曲目の「Kiri」へ。淡々とした8ビートがサビへ向かうにつれて高揚していくミディアムチューンに一際輝くAnisのヴォーカルワーク。どこまでも太く伸びやかな歌声が、スモークに乱反射するグリーンライトと交錯して幻想的で壮大な景色を描いた。SFアニメ『Ergo Proxy』オープニングテーマとして知られる1曲目に続く「Safira」は、世界同時配信リリースされたナンバーだ。代表曲の連発に加え、「Safira」のクールでソリッドなサウンドがフロアを踊らせる。


Aliの硬質なドライヴサウンドが響き渡ると「Perfect Gold」へ。サビでの客席との掛け合いには「Louder!」とAnisがオーディエンスを煽り、場内の熱気を高めていく。その後も「Origin」「Sparta」と隙のない連打でMCもないまま一気に直滑降するような豪快さが、この日のMONORALのステージにはあった。その佇まいとサウンドは、洋楽アーティストのように大きく濃厚な空気をまといながら、それだけに止まらないキャッチーさと良質のメロディを伴うものだ。

しかし、ひたすら演奏に没頭するストイックなステージであったかといえば、そうではない。「Tangled」の冒頭では客席と音程豊かな“yeah yeah yeah yeah”のコール&レスポンス。「oh my god! みんな凄いね。片乳首が立ちそうです(笑)」とAnisが場内の爆笑を誘う。さらには同曲のサビでは客席の“yeah yeah yeah yeah”のみをバックにAnisがメロディを乗せて、文字通りステージとフロアを一体化。これには客席から自然発生的にタオル回しが行われるなど、至近距離のやり取りが可能なライヴハウスで直接音楽でつながり合うという感動的な光景を作り出した。


勢いを得たライヴ後半は、Anisが赤い拡声器越しにシャウトする「You」へ。オルタナティヴテイスト全開のロックチューンに熱狂するフロアのエネルギーはどこまでも上昇気流を描いて際限がない。ラストナンバーはそんな熱をクールダウンさせるようなミディアムチューン「So Long」だった。これは開演前の楽屋でAnisとAliに聞いた話だが、同曲はHYDEと初共演した際にも演奏したナンバーだったという。想いを込めた楽曲を最後にMONORALはステージを降りた。

ヴァラエティに富んだセットリストで、多様な音楽性とジャンルや国籍を超越するMONORAL流のサウンドを印象づけたステージ。そしてVAMPSとの絆。ゲストバンドとして会場を温めること以上の役割を果たした彼らに惜しみない拍手を送りたい。



MONORALのステージから、わずか数十分後。VAMPSの登場は、映画『13日の金曜日』をSEに幕を開けた。姿を見せたHYDEは前日とまったく異なる様相だ。ヴァンパイアともサタニックとも形容できる妖艶なシルエットは生と死の狭間に存在するかのような、一挙手一投足がまるで神がかったもののように感じられた。

驚きはこれだけではない。オープニングの2曲は前日披露されなかったナンバーであり、セットリストの約半数が前日とのかぶりなし。初日とはまったく印象の異なるメニューが2日目に用意されていたのだ。それはすなわち、籠城型ライヴをBLOODSUCKERSにとって飽きさせないものにするため。加えて、13日の金曜日となった本日は前述の演出が施されているなど、VAMPSのライヴは常に更新されて同じものがない。BLOODSUCKERSはその代替できない 一瞬一瞬がVAMPSのライヴにあることを知っている。


この夜のVAMPSもツアー序盤ながらコンディションが最高であることを無言のうちに伝えてくれるような躍動感あふれるパフォーマンスを繰り広げた。「LIPS」では感情の起伏をなぞるかのようなK.A.Zのワウを用いたギターソロが、その躍動感に拍車をかける。

また、今回のツアーには様々な時代の様々な楽曲がセットリストに散りばめられている。たとえばHYDEソロ時代の「DOLLY」とVAMPSの最新アルバム『BLOODSUCKERS』収録曲「GHOST」が続けざまに披露されたのだが、そこに時代的な違和感など皆無だった。今をひた走るバンドならではのソリッドなキレ味や現在形のアレンジはノスタルジーのつけいる隙などない。もちろんBLOODSUCKERSの反応も同様だ。

中盤のMCでこの日のライヴについてHYDEはこう語った。

「13日の金曜日っていうことで、こうなっちゃいました。また、<HALLOWEEN PARTY>に戻っちゃった感じで、どうしたものかなとも思ったんですけど、幕が開いて普通だったら、みんなガッカリするでしょ。でも格好だけじゃないよ。食い散らかしてやるから! 理性はいらないからね。本能のままに行こうぜ!」──HYDE




この日も後半の爆発力には鮮やかで凄まじいものがあった。「TROUBLE」のイントロでは「好きにやっちゃっていいから!」とHYDEが煽り、K.A.Zのギターはスクラッチ音を発生させて客席を踊らせる。その後もアッパーチューンを連発して本編を駆け抜けた。

迎えたアンコールでは「好きにしていいとは言ったけど……(笑)。気持ちが良い!」とHYDEがBLOODSUCKERSを称賛する場面も。続けて、MONORALのステージについて語った。

「今日は2日目で。僕らの前にもバンドさんがやってはったんで。STEREOだっけ? MONORALにイカされたんじゃないだろうね。僕も観てたよ。独特なまったりとした始まり方で(笑)。ああいうのはなかなかできないよ」──HYDE


そしてライヴはラストナンバーへ。「ここで友だちを呼ぼうかな」というHYDEのひと言に招き入れられたのは、もちろんAnisだ。「MIDNIGHT CELEBRATION」のHYDEとAnisによるシャウトは圧倒的なド迫力。2人が肩を寄せて歌う姿はあまりにも美しい光景となった。その最後の最後には「Thank you! 愛しています!」と叫んだ2人が、お互いにキスの飛ばし合いをするといった微笑ましい場面も。

「また明後日会おうぜ! それまで首洗って待ってろよ!」とHYDE。メンバーたちはこの夜も多幸感に溢れた笑みを浮かべながらステージを去った。

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎田中和子

■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>
11月13日@ZEPP TOKYO MONORALセットリスト

SE~SESSION01.Kiri
02.Safira
03.Perfect Gold
04.Origin
05.Sparta
06.Tangled
07.You
08.So Long


■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>

【東京 ZEPP TOKYO】
2015年11月12日(木) MY FIRST STORY
2015年11月13日(金) MONORAL
2015年11月15日(日) ASH DA HERO
2015年11月16日(月) HIM
2015年11月18日(水) HIM
2015年11月19日(木) HIM
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
【大阪 なんばHATCH】
2015年12月05日(土) TBD(未定)
2015年12月06日(日) TBD(未定)
2015年12月09日(水) TBD(未定)
2015年12月10日(木) TBD(未定)
2015年12月12日(土) Nothing More
2015年12月13日(日) Nothing More
(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
【名古屋 ZEPP NAGOYA】
2016年01月09日(土) TBD(未定)
2016年01月10日(日) TBD(未定)
2016年01月13日(水) Apocalyptica
2016年01月14日(木) Apocalyptica
2016年01月16日(土) Apocalyptica
2016年01月17日(日) Apocalyptica
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

OPEN 18:00 / START(JOINT ACT) 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START(JOINT ACT) 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)
■一般発売日:2015年10月18日(日) AM 10:00

追加公演【福岡 ZEPP FUKUOKA】
2016年01月21日(木)
2016年01月23日(土)
2016年01月24日(日)
(問)キョードー西日本 092-714-0159
追加公演【札幌 ZEPP SAPPORO】
2016年01月28日(木)
2016年01月30日(土)
2016年01月31日(日)
(問)マウントアライブ 011-623-5555

OPEN 18:00 / START(JOINT ACT) 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START(JOINT ACT) 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)
■一般発売日:2015年12月05日(日) AM 10:00

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