【インタビュー】nano.RIPE、尊くて幸せなのに切ない永遠の愛を歌ったシングル「ライムツリー」

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■何かを捨てないと新しいものは得られないと思っているんです
■「希望的観測」ってすごく希望のあるような前向きになる言葉


――ストイック!! ただ、自分に対してはそうだけど、「愛」っていうとまた別ものだから、こういう歌詞が生まれるんですね。ここまで思い合えることって素晴らしいことですから。

きみコ:まさにその通りです。夫婦になったことがないのでまだわかりませんけど、夫婦になるというのは、相手に自分の人生を委ねるわけですよね。自分も相手の人生を背負う。親子関係もそうだと思いますけど、誰かに対して「責任」を負うわけです。仕事関係や友達との間にも責任はあるとは思いますが、法律とか血のつながりが関わってくると、自分以外の何かというものに対してこんなにも責任感が必要になるわけで。


▲「ライムツリー」【初回限定盤(CD+DVD)】


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――うん。

きみコ:あたし、4年前から猫を飼ってるんですが、飼いたくて飼ったくせに、最初、すごく戸惑ったんです。夜中に起こされたり、明け方起こされたり。ツアーに行く時に誰かにお願いしたり、ペットホテルに預けたり。そういうことをしていると、「あたしにはこの子を飼う資格があるのだろうか?」って思っちゃって。今はそこは超えたんですけど。でも、それが「対、人」ということになると、さらにすごいことだなと。「ライムツリー」の神話に出てくる夫婦は、連れ添っている間にいろんなことがあったと思うし、裕福ではない貧しい生活をしていたのに、それでもお互いの死を見たくないって言えるほど、思い合っているというのは綺麗事を超えてすごいことだなと思って。「ライムツリー」には、曲を作っていた時期に考えていたことが一曲に全部集約されています。

――2曲目の「希望的観測」はとてもnano.RIPEらしいエモなロックですね。歌詞はエッセイのようでもあり、哲学的で。

きみコ:あたし、断捨離が好きなんです。何かを捨てないと、新しいものは得られないと思っているんですよ。それが一行目の「なにかヒトツを望むのに必ずフタツは捨ててしまう」というフレーズにも出ていると思います。あたしの中で「希望的観測」という言葉があたしの中で引っかかっていたんですよ。「希望的観測」ってあまり良いニュアンスで使わないじゃないですか。でも字面にするとすごく希望のあるような前向きになる言葉で。

――確かに!

きみコ:その矛盾した感じがいいなと、いつかこの言葉を使って曲を書きたいなと思っていたんです。もし、きみコが辞書を作るなら、「希望的観測」の欄にはこういうことを書くんじゃないかなって。あたしが思っている「希望的観測」のイメージがこの歌詞に描かれていることなのかなって自分で書いたものを読んで思いました。

――ここで歌っている「希望」って、欲張りすぎない小さな希望というのがいいね。

きみコ:そうなんです。壮大な希望ではなく、日々のちょっとしたことなんですよね。サウンド的にも、この曲はライヴで盛り上がりそうだなと思っているので、今から楽しみです。

――「ティーポットのかけら」はすごくかわいらしい曲で。

きみコ:これは絵本みたいな世界観で書いています。

――「きみ」の涙の理由は結局なんなのか気になる。

きみコ:涙の理由は明かされないまま終わっていますからね。人って些細なことでも泣きたくなったり、泣いたりする生き物だと思うんですけど、泣くことは悪いことだと思っている人もたくさんいるだろうし、人前では泣かないようにしている人ももちろんたくさんいると思うんです。だけど、泣く理由に大きいも小さいもないのかなって。例えば道で子供が泣いていたら、「迷子かな?」くらいで通り過ぎちゃうと思うんですけど、そこで泣いているのが大人の男性や女性だったら「え??なんかあったの?」ってなりますよね。でも、泣いているという事実は一緒で。子供が泣いていたとしても、その子にとっては泣くほど悲しいことがあって、それが大人になったところで同じように泣くほど悲しいことがあっただけなんですよね。

――涙が流れているという事実は同じですものね。例えば、デパートでお母さんとはぐれて泣いている子にとっては、もう二度と家に帰れないんじゃないかっていう一大事だったりしますから。

きみコ:そうそう。それを他人が、子供だから大したことじゃないだろうって決めてしまうのは違うと思ったんですよ。あたしはすごく泣き虫なので、その気持ちをわかってほしいっていう思いも込めて書いています。

――お気に入りのティーポットが欠けたら泣いてしまう気持ち、すごくわかりますよ。

きみコ:実話なんです。何年か前に喉の手術をした時に、退院祝いにメンバーからティーポットをもらったんです。しかも、あたしが「可愛いティーポットを見つけちゃった」って、メンバーにも話していたものをくれたんです。そのティーポットが、もらった三日後くらいに欠けちゃったんですよ。自分が買ったティーポットだったらそこまで悲しく思わなかったかもしれないけど、喉の手術が終わったことや、メンバーが買ってくれたこと、ほんの小さな欠けだけど完璧でなくなってしまったこと、メンバーに申し訳ない気持ち……いろんな思いが重なって一人で泣いてしまって。その時に本当はこれって泣くほどのことではないのかな?と思ったので、そのまま曲にしました。

――しかも色々想像ができる曲で。絵本っぽい世界観だけど、メッセージ性がありますよね。

きみコ:はい。その辺まで読み取ってもらえると嬉しいですね。

――2015年はアニバーサリーの一年でしたが、今年は?

きみコ:この後、2マンツアーを企画しているんです。2015年はワンマン51本っていう、ワンマンをたくさんやった一年で。その分、イベントとか対バンへの出演が極端に少なかったんです。時々出演すると、「あれ?こんな感じだったっけ?」ってなってたんですよ(笑)。

――ワンマンって、ホームですから雰囲気からして違いますもんね。

きみコ:そこに甘えてたっていうことに気がついたんです。フェスにも出たいし、対バンとか30分の短いステージでnano.RIPEを知らなかったお客さんを引き込みたい。それで、47都道府県を回って、自分たちが得たものをギュッと濃縮して、武器として吐き出す感じにするために2マンツアーをやりたいと思ったんです。その後、5月にワンマンをやって、どのくらい成長したのかを確かめて、夏以降進んでいきたいと思っています。

取材・文●大橋美貴子



New Single「ライムツリー」

2016年2月24日(水)リリース
TVアニメ「最弱無敗の神装機竜」ED主題歌

【初回限定盤(CD+DVD)】
LACA- 34457 / 2,400円(税抜)
【CD】
01. ライムツリー
02. 希望的観測
03. ティーポットのかけら
【DVD】
■「ライムツリー」music video
■5th anniversary program Vol.3「しあわせのくつ」
 2015.09.26 Live at AKASAKA BLITZ
空飛ぶクツ
もしもの話
パラレルワールド
こだまことだま
なないろびより
透明な世界
月花
細胞キオク
ゆきのせい
パトリシア
影踏み
15秒
色彩
ユートピア
神様
フラッシュキーパー
流星群
プラリネ
アポロ
ノクチルカ
面影ワープ
ツマビクヒトリ
タキオン
リアルワールド
地球に針
世界点

【通常盤(CDのみ)】
LACA-14457 / 1,200円(税抜)
01. ライムツリー
02. 希望的観測

ライブ・イベント情報

nano.RIPE「ライムツリー」リリースツアー
<秘密のツーマンSHOW>
3月03日(木)【神奈川】横浜CLUB Lizard YOKOHAMA
3月08日(火)【大阪】福島2nd LINE
3月09日(水)【兵庫】神戸STAR CLUB
3月11日(金)【愛知】名古屋APOLLO BASE
3月19日(土)【埼玉】西川口LIVE HOUSE Hearts
4月24日(日)【富山】富山SoulPower
4月25日(月)【金沢】金沢AZ

<nano.RIPE TOUR 2016「百式」>
5月14日(土)【大阪】梅田CLUB QUATTRO
5月15日(日)【愛知】名古屋CLUB QUATTRO
5月22日(日)【東京】渋谷CLUB QUATTRO


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