【インタビュー】MOSHIMO、大成長の裏で「最近ずっと戦闘モード。闘志に燃えてる」

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MOSHIMOの最新作『触らぬキミに祟りなし』がいい。ハッキリ言って素晴らしい。ずっとこのバンドを追ってきた人には「いよいよ本性を現したか」と、最近聴き始めた人には「こんな面もあったのか」と、新鮮な驚きを届ける全8曲。動画再生120万回を突破した「命短し恋せよ乙女」に続くヒット・チューンになったタイトル曲を筆頭に、キュートなロック・ガール岩淵紗貴のふんわりボイスとリアルな歌詞、ラウドなギターと精密なアレンジ、ポップの裏に隠した熱いハート。あらゆるギャップを鋭い武器に変え、MOSHIMOはここから飛躍する。

◆MOSHIMO 画像

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■ 触ってほしいアルバム(笑)

▲ミニアルバム『触らぬキミに祟りなし』

── リード曲は、完全に一つの形ができたんじゃないですか。ギターロックで、四つ打ちのダンスで、語呂合わせがキャッチーで、岩淵さんの魅力を前面に押し出して。

一瀬貴之(Gt&Cho):そうですね。シングルの「猫かぶる」「命短し恋せよ乙女」、今回の「触らぬキミに祟りなし」と、MOSHIMOっぽい感じは確立しつつあるのかなと思います。それは完全に考えて作りました。

── 今回、アルバム全体のイメージは何かあった?

一瀬:今回はやっぱり「触らぬキミに祟りなし」を軸として考えて、そこから…いろんなバンドさんを聴いているなかで、自分が一番好きなのが、いろんなタイプの曲を持ってるバンドさんなんですよ。今回8曲も入れられるということだったので、幅を持たせたアルバムにしたくて、「途切れないように」「花束」とか、岩淵のより深さのある歌詞も入れつつ、「この恋の結末」みたいな恋愛の曲も入れて、全体のバランスをとっていきました。曲を選ぶ時は、曲調ももちろん考えるんですけど、恋愛曲ばかりにならないようにとか、精神性を歌ってる曲もほしいとか、そういうバランスは考えますね。


宮原颯(Ba&Cho):本当に幅の広いアルバムで、全曲シングル切ってもいいぐらい、すごくいいものができたと思ってます。自分たちが見せたいものも、もっと深い部分も、今回のアルバムで出せたんじゃないかなと。タイトルは「触らぬキミに祟りなし」なんですけど、“触ってください”って感じです。

── うまい。それいただきます。

岩淵紗貴(Vo&Gt):触ってほしいアルバム(笑)。

── 演奏にも自信あり。

宮原:前回はひたすら一生懸命弾こうと思っていて、正直余裕がなかったんですけど。特に「花束」とか、曲自体が疾走感を持っていたので、僕が変に感情を入れることはないなと。あえて淡々と弾いたら、いいグルーヴが生まれたので、曲自体が持ってるものがすごいなってその時に思いましたね。全曲、前回よりも成長したものができたと思います。

本多響平(Dr):前回がアップテンポでイケイケのアルバムだったとしたら、今回は全部の曲が支えあってるイメージがありますね。「触らぬキミに祟りなし」とかアップテンポな曲があって、その下に「ポテトサラダ」「めくりめく夏の思い出」とか、ちょっとせつないようなほわっとした曲があって、さらに深くに「途切れないように」みたいな、人生の根底を考えさせられるような曲がある。演奏で気をつけたのはグルーヴの出し方で、たとえばエイトビートの曲でも、普通に八分で乗るのか、四分で乗るのか、16分でパルスを細かくして乗ったほうがいいのか、それによって曲の表情が全然変わってくるので。「途切れないように」は、最初は普通のエイトビートなんですけど、サビだけ四つのノリで壮大な感じにしたりしてます。

── たとえば「赤いリンゴ」のドラムって音色は打ち込みっぽいけど、あれはどうやってるの?

本多:トリガーをスネアにくっつけて、実際に僕のタイム感で叩いています。だからタイミングは僕のタイミングで、音色は打ち込みで。

一瀬:ほかのバンドがやらないことをやりたくて、いろいろやってますね。昔からそういうことをやっていて、バスドラの皮を外して録ったり、バスドラを2個並べて、片方にマイクを立てて、わざとズレた音を混ぜて、“バウッ”という音にさせたりとか。

岩淵:ベースも、やってたよね。

宮原:スポンジをはさんで、サステインをなくしたりとか。

一瀬:ベースを2本重ねて、今流行ってるサイドチェインみたいな音を作って、クラブ感を出したりとか。けっこう遊んでます。

── 確かに音の面白さは、このアルバムの大きな聴きどころ。

岩淵:今回、時間かかったもんね。プリプロをけっこうやったつもりだったのに、RECも時間がかかった。やっぱり嫌だ、みたいなものがけっこう出たんで。ほんと好みの話なんですけど、私の好きな音色と、イッチー(一瀬)の好きな音色が割れた時とか、最悪ですね(笑)。バトルみたいな。

一瀬:そこはまだ僕が未熟な部分があって、筋道立てをあんまりできてなかったんですよ。普通にシンプルなバンドなんですけど、やってることはけっこう複雑なので、的確にエンジニアさんに伝えないと何がしたいのかがわからない。打ち込みがあって、生音があって、「それを混ぜてこういうふうにしたいんです」って、そこを最初から伝えておけばもうちょっとスムーズに行けたのかなと。

岩淵:まぁでも、一番曲に合ったアレンジをみんなでしっかりアプローチできたので、曲にとっては一番いい選択ができたんじゃないかなと思います。

── MOSHIMOの場合、鍵盤で音色をカラフルにしていくタイプのバンドではないでしょう。あくまでギターロックの中でカラフルにしていくという。

岩淵:鍵盤っぽい音は、イッチーが考えてギターで入れてくれるんですよ。だからギターロック・サウンドは消えずに、打ち込みっぽい音もちゃんと出るんじゃないかと思いますね。

── あー、そこ大事なポイントかもしれない。ギターロックは譲れないという。

一瀬:意地張ってた時期があったんですよ。18、9歳の時に、「鍵盤を入れたほうがもっとポップになる」「ストリングスを入れたほうが派手になる」とか言われて、いろんな大人たちに。とか……それが悔しくて、「なんでギターじゃダメなんだ?」って。ギターだって、音色を飛ばしたり、ディレイとか空間系のエフェクターを使えば派手にできるんだぞということをやりたくて、それから6〜7年ずっとそればっかりです。

岩淵:ようやく今になって、わかってくれる人が増えたなという感じです。やってることは昔から変わってないんですけど。

── そこは謝らなきゃいけないかも。僕も最初はそう思ってたんで。てっきりシンプルでポップなギターロックバンドだとばかり。

岩淵:それもたぶん、8曲入りのアルバムという形で、いろんな面を出せたからかなと思いますね。

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