【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第7回ゲスト:JUON

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■歌を聴かせたいって気持ちが
■ここ5年ぐらいで一気に強くなった──JUON

──というと?

ASH:日本語の歌詞が並んでいるのに、日本語のリズムで歌ってないというか。“あいうえお”の母音に日本人は知らない間に支配されているから、それで英詞を歌っても、和製英語っぽくなっちゃう。でもJUONくんは身体の中に日本語も英語も入っているから、とてもナチュラルに日本語詞を綺麗な日本語としても歌うんだけど、リズムはものすごく英語。そこにビックリした。こんな人がいるんだ!?って。

JUON:昔から洋楽をずっと聴いてきたから、基本的に洋楽ノリで考えちゃっているところが強くて。

ASH:メロディの置き方も?

JUON:そうだね。僕は英語で歌うのもいいんだけど、やっぱり日本語で伝えたいって気持ちもあって、それをASHは感じ取ってくれたんだと思う。

ASH:それに歌詞がいいんだよね。十字架が背中に見える詞が多いから、これほど才能に溢れているのに、それでも辛酸をなめることもあるんだろうなって。泥水すすってやってるんだなって、汗や土の匂いが、すごく歌詞にこびりついている。そこにグッと来ちゃう。
JUON:日本語を伝えるってメチャクチャ難しい。気持ちを込めて歌えば届くと思っていたけど、届かないときだってあったりして。言葉の母音とか、滑舌とか、どこかがガシッとハマると、力を入れずに歌っても伝わるときが訪れるという。それが不思議なところで。FUZZY CONTROLはサウンド重視でいきたいバンドだったんだけど、日本語を伝えるってことも常に同居していた感じ。答えまで導けたか分からないけど、その手前で苦しみながら作ってきた感じだった。

──JUONは、ギターも歌も作曲も、全て同時期に始めたんでしたっけ?

JUON:そうでしたね。厳密に言えば、ギターを10歳から始めて、その後に歌わざるを得ない状況となって。最初、歌には自信がなくて、ボーカリストを入れてやりたいと思っていたぐらい。でも試行錯誤しながら歌い続けたら、ちょっと自分がうまくなった気がして、歌って楽しいなって気持ちが芽生えて。最初のころは歌ってはいるけど、ギタープレイでどうにかフォローするような見せ方。だけど、今はギターより前に歌があるときもあります。やっぱり伝えるって方向とか、歌を聴かせたいって気持ちが、ここ5年ぐらいで一気に強くなった感があるから。

ASH:だからこそのソロなのかな? その気持ちの変化が起こったのはソロになったタイミングぐらい?

JUON:FUZZY CONTROLの後半ぐらいかな。歌への執着が変わったのは。それ以前は、歌はいい意味で適当っていうか、カッコ良けりゃいいじゃん、みたいな雰囲気でね(笑)。

ASH:これはセッションして作ったんだねって曲もあったからね(笑)。FUZZY CONTROLはセッションで充分に成り立つバンドでもあったから。歌に対する考えの変化って、ポピュラリティみたいなものが出てきたからなのかもしれないね。

JUON:そうかもしれないね。FUZZY CONTROLの後半ぐらいから歌への意識も変わって、今のソロはほんとに“歌”に重きを置いている感じだね。

ASH:特に3月にリリースされるシングル「“あいしてる”って言えなくて」は、インスタとかで小出しにしてくれているじゃない? それを観て、さらに歌への意識が濃縮されているなって、肌で感じた。


JUON:NIVEAのCM曲が表題曲のシングルなんだけど、「“あいしてる”って言えなくて」を歌わせていただけるようになってから、改めて歌を伝えたいって気持ちがいきなりアクセルをボーンと踏んでる感じになって。

ASH:ああ、次の段階へ入ったんだ?

JUON:うん。昔からセクシーな歌を歌いたいって憧れもあって。NIVEAの曲がきっかけで、さらに歌というものに執着して、自分の声の質の豊かな部分を意図的に入れてみようとか、甘くてセクシーな歌に怖がらずに踏み込んでみるとか、自分の歌を届けることに色々チャンレジもした。

ASH:外に向けて、新しいファン層が生まれる可能性もメチャクチャあるね。

JUON:そうだね。シングルの4曲目に「フレー 〜三線ver.〜」があって。自分の母がお星様になっちゃって2年経つんだけど、今でも愛しているし、ありがとうって気持ちが伝わるような曲を書きたいなと。母に感謝を伝えるなら、ありがとうって言葉をただ言うだけじゃなくて、自分が歌い続けることなのかなと思って。音楽を教えてくれたし、歌は素晴らしいものだよって、教えてくれたのは、やっぱり母だったから。だから今日も俺は歌っているよって曲をどうしても作りたくて…。それを自分で聴いても、“ちょっと頑張ろう”とか思えたりするし。自分への応援歌みたいな存在の曲にもなっている。


ASH:その三線バージョンの「フレー 〜三線ver.〜」を聴いて、ほんとに素敵な曲だと思っていて。歌詞の内容についても今、話を聞いて、改めて聴き込みたいなと思った。

JUON:自分が生まれたのは沖縄で……。

ASH:だから三線バージョンなんだ。

JUON:そう(笑)。お父さんが沖縄の人で、母が福岡とギリシャのハーフで。今まで一度も三線を弾いたことなかったんだけど。

ASH:えっ、曲に入ってる三線はJUONくんが弾いてたんだ? ヤバイね(笑)。すごくちゃんとした三線のフレーズだったよ。

JUON:三線はピッチがシビアだから、最初はお手上げだと思ったもん(笑)。一番レコーディングに時間掛かりました、三線が。でも他の人に頼んじゃいけないと思ったから。

ASH:そうだよね。愛と優しさと、いろんなものが詰まったシングルだ。

JUON:そう、力強さとね。だからみんなにも聴いてほしいなって。

──3月15日の<CONNECT X>でも、当然やるんでしょ?

JUON:ライブでもやりたいなと思っているけど、今回はASHのロックの世界と、俺のダンスミュージックとロックの融合した世界観でやりたいから、<CONNECT X>はロックンロール・パーティじゃないけど、そういうノリもある、いい意味でのバトルでいいんじゃないかなと思ってて。ASHとやるからには前のめりになっちゃうというか、陽を想像しちゃうみたいな、不思議と(笑)。この前、酔いながらブルース・バーでセッションしたときに感じたところでもあって。

ASH:実は僕も迷ってた。JUONくんの新しいシングル「“あいしてる”って言えなくて」が、ちょうど<CONNECT X>の一週間後に発売になるから、そっちのモードで来るのかな?と予想しててね。僕もそういうモードで混ざってみようかなとか、ちょっと考えてて。

JUON:ああ、良かった(笑)。もし今日、こうやって話していなかったら、ASHは、歌モノで聴かせて、俺はロックで攻めて、完全にすれ違いになるとこだった(笑)。あぶねーあぶねー(笑)。

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