【ライブレポート】MOSHIMO「大丈夫。私がふがいない歌、歌い倒してやる」

ポスト


WWWからクアトロ、そしてO-EASTへ。およそ5か月ぶりの東京ワンマン、MOSHIMO史上最大キャパのO-EASTは多くの人で埋まった。アルバム『圧倒的少女漫画ストーリー』で一気に広がった音楽性の幅と、ダレにナニを言われようがアタシはこれが好き!という確信のメッセージを原動力に、どんなステージを見せてくれるのか。午後5時35分、期待満々の幕が開く。

「盛り上がる準備はできてるかー!」

オープニングは「命短し恋せよ乙女」のショートバージョンを使った、メンバーとオーディエンスとの元気いっぱいのコール&レスポンス合戦からスタート。命短し恋せよ渋谷。限られた時間を思い切り楽しもう。オーバーサイズの赤いTシャツに黒パンツのポチことボーカル岩淵が飛び跳ねる。ベースの颯くんは金髪になって気合満点。一気にテンションを上げて「圧倒的少女漫画ストーリー」、さらに「猫かぶる」へ。曲紹介代わりに、ポチとギターの一瀬が“ひとくちちょーだい!”とか、可愛らしいセリフを言っててうけた。メンバーもこのステージを思い切り楽しんでいる。











初めて観る人!と一瀬が話しかけると、けっこうな数の手が上がった。いいね。みんな楽しみにしてきただろうけど、私のほうが楽しみにしてた!とポチが笑う。「支配するのは君と恋の味」から、ハンドマイクでステップを踏む「可愛い子には旅をさせるな」へ。痛快なエイトビートと軽快なダンスロックを織り交ぜて、一人残らず大きな船に乗せてMOSHIMOワールドへ連れてゆく。パフォーマンスのスケール感は、見るたびに上がっている。





ポチがアコースティックギターに持ち換え、「ポテトサラダ」をゆったりと。なごやかムードのMCタイムではツアーの思い出話に花が咲き、“ツアーが楽しくてしょうがない。一生ライブしたい”というポチの言葉に拍手喝采。最近のポチのMCは本音丸出しで実に面白いのだが、過去のふがいない恋愛話をきっかけに、“そんなMOSHIMOの詞に共感してきたんだよね? ここにいる全員ふがいないってことだ!”にはうけた。“でも大丈夫。私がふがいない歌、歌い倒してやる。ついてこい!”というセリフにジンときた。覚悟を決めた女は強い。ポチの圧倒的開き直りパワーが、MOSHIMOをぐいぐい前に引っ張っていってる。



中盤2曲、せつなく甘いラブソング「15分」と、かつて自分を認めなかった人たちへの恨みつらみを容赦なくぶちまけた「悲縛り」は、コインの表裏のように感情がくっついている。まっすぐに生きることの中では、せつなさもうれしさも、ふがいなさも怒りも全部がリアルだ。ディープな感情を繊細なマレットさばきで見事に表現したドラムの響平、そして強烈にエモいソロを弾いた一瀬、全員の心が一つになっている。











雨上がりの青空のようにがらりとムードが変わり、「チュウチュウ」はとことん明るくハッピーに。一瀬は間奏までまったくギターを弾かず、ステージを走り回ってはしゃいでる。子供か。チュウチュウ!に引っ掛けたコール&レスポンス合戦では、颯くんのシモネタがすべてをさらったが、彼の名誉のために再現は控えよう。本当に、メンバー4人の個性がぐんぐん立ってきていることが頼もしい。







長いMCでは、オーディエンスを巻き込んだ心理テストで大はしゃぎ。MOSHIMOが最近行っているシリーズ<もしも僕らが学園祭をやったなら〜学生&U-23限定ライブ〜>でトライしてきたネタをツアーに持ち込み、MOSHIMOのライブの可能性は大きく広がった。ステージ=聴かせる、客席=聴く、ではない。10代リスナーの多いMOSHIMOにとって、まさに学園祭のように全員が同じテンションで盛り上がるスタイルが理想だ。「カプチーノ」「大嫌いなラブソング」はアコースティックセットで、颯くんがシェイカーを、響平がタンバリンやブラシを、一瀬がトライアングルなど、そしてオーディエンス全員がクラップで参加。ほっこりと心なごむシーンを経て、ライブはいよいよ後半へ。





「ラストスパート! 盛り上がっていくぞ! スペシャルボーカリスト、宮川颯!」

なんとびっくり、「FUWA- FUWA」のメインボーカルをとるのはベースの颯くんだ。MOSHIMOではコーラスで活躍し、以前のバンドで歌っていたことは知っていたが、ローの効いた甘く優しくいい声で、ポチとの掛け合いもばっちりはまる。まさかの大型新人ボーカリスト、今後の展開に注目しよう。そのままノンストップで「吾輩は虎である」「触らぬキミに祟りなし」、そして「命短し恋せよ乙女」のフルバージョンへ。アップチューンを連ねて駆け抜けるスピード感が凄い。「命短し恋せよ乙女」での毎度恒例、オーディエンスの一人一人に呼びかけるパフォーマンスも、ツアーファイナルということでいつもより人数を増やしてたっぷりと。誰一人置いて行かない、みんな一緒にわいわいと楽しい景色を見て回る。MOSHIMOのライブは修学旅行のバスツアーみたいだ。











「CHHESE CAKEとMOSHIMOの違いをよく聞かれるけど、曲を作る気持ちは変わらないです。でも今こうしてやれてるのは、このメンバーのおかげだと思います」

アンコール、ポチのしみじみとした一言をあたたかい拍手が包み込む。曲は前身バンド・CHEESE CAKE時代から大事にしてきたスローチューン「寝グセ」。あれからいろんなことが変わったが、曲の良さは変わらない。若いながらも歴史あり。そしてMOSHIMOの歴史はまだまだ始まったばかりだ。



12月26日、恵比寿リキッドルームでのワンマンを発表するメンバーに、拍手と歓声が降り注ぐ。笑顔満面のポチが、なぜかリンゴの話を始める。毎朝必ず一個食べるリンゴ好き。自分へのご褒美として田中農園から15キロのリンゴを箱買いしたこと。アダムとイブのリンゴの話。禁断の果実は、禁じられてもどうしてもほしいもの。私にとってそれは音楽。ダレにナニを言われても、やりたいことやっていこうぜ!──思い付きのような話にちゃんとメッセージがあり、ラストチューン「赤いリンゴ」へとつなげる展開は見事の一言。やるじゃんポチ。ダンサブルなビートに合わせて全員ジャンプ、フロアが揺れる。MOSHIMOのライブには喜怒哀楽が詰まっているが、いつだって最後はとことんハッピーだ。



従来の得意技に、新しい試みをふんだんに取り込んでライブは進化する。12月26日のリキッドルームで4人はどんな姿を見せてくれるのか。年末の予定はもう決まった。

取材・文=宮本英夫
撮影=後藤壮太郎

  ◆  ◆  ◆

【セットリスト】

M0. 命短し恋せよ乙女 short.ver
M1. 圧倒的少女漫画ストーリー
M2. 猫かぶる
M3. 支配するのは君と恋の味
M4. 可愛い子には旅をさせるな
M5. ポテトサラダ
M6. 15分
M7. 悲縛り
M8. チュウチュウ
M9. カプチーノ
M10. 大嫌いなラブソング
M11. FUWA-FUWA
M12. 吾輩は虎である
M13. 触らぬキミに祟りなし
M14. 命短し恋せよ乙女
〜アンコール〜
En1. 寝グセ
En2. 赤いリンゴ

【ライブ情報】

<MOSHIMO「BARI BARI ROCK」〜大忘年会 嫌なこと全部ぶっ飛ばす!! 編〜>
日時:2018年12月26日(水)開場18:00 / 開演19:00
会場:恵比寿LIQUIDROOM(東京都渋谷区東3-16-6)
チケット料金 前売:¥3,500 ※2枚以上のご購入で1枚あたり¥500割引
e+最速先行抽選受付URL
http://eplus.jp/moshimo1226-hp/
受付期間:5/20(日)0:00〜6/3(日)23:59まで


この記事をポスト

この記事の関連情報