【舞台裏トーク】<SATANIC CARNIVAL>TGMX [SCAFULL KING]、「PIZZA OF DEATHがなかったら日本のラウドミュージックはなかった」
2018年、<SATANIC CARNIVAL>初出演を果たしたSCAFULL KING。久しぶりのフェス登場となった今回のステージについて、ボーカル&トランペットのTGMXに聞いた。なんとなく声をかけて始まったインタビューだったが、予想外の発言も飛び出し、非常に興味深い内容となった。
◆TGMX [SCAFULL KING] 画像
■デパートみたいなフェスよりも
■ひとつのジャンルに特化したものがいい
──<SATANIC CARNIVAL>での初ライブはどうでしたか?
TGMX:ひと言でいうなら、みんな、俺たちのステージをよく見に来てくれたなと。EVIL STAGEは俺らの前にlocofrank、後ろにSHADOWSがいてさ、SATAN STAGEではマンウィズとフォーリミの間に挟まれちゃって。そうなると俺らの時間は普通にご飯食うだろうし、人は全然入らないだろうと思ってたから、みんな来てくれてうれしかったね。
──SATAN STAGE、大きなステージでしたね。
TGMX:そうだよ! 俺らは過去、<AIR JAM>に何度も誘ってもらってたけど、元々スキャフルはパンクロックのバンドではなくて、SKAとか違うラインにあるバンドじゃん? そんななか、パンクスに「スキャフルは全然アリだよ」みたいな感じで受け入れられるのが好きでさ。例えば、ハイスタが大好きな人でも「スキャフルはセーフ」って言ってくれるような位置にいたくて。
──うんうん。
TGMX:だから今日も、「スキャフルはおじさんだけど全然セーフ」ってなってたらいいなって。
──スキャフルはど真ん中には行きたいバンドではないんですか?
TGMX:だって多分、俺たちはど真ん中を求められてるバンドではないから。当時だってまさか<AIR JAM>に出られるとも思ってなかったし。実は今回のサタニックも、誘われたときは「俺たちでいいの?」ってすごく悩んだんだよ。スキャフルは全然活動してないし、しかもパンクは若い人たちがやるべきだと俺は思ってるからさ。だけど、せっかく誘ってくれたし、スキャフルを聴きたいって言ってくれる人がいたから、ありがたく受けようと思ったんだよね。
▲TGMX [SCAFULL KING] × 阿刀“DA”大志氏 |
TGMX:すごいよねえ。元々さ、Hi-STANDARDがDIYを掲げて唯一無二なことをやってきて、PIZZA OF DEATHのスタッフもその思いを感じてこれまで動いてきたわけじゃん? それによってお客さんが引きつけられて、バンド側も引っ張られてさ。あと、これはディスってわけじゃないんだけど、今はいろんなフェスがあって、アイドルが出たり、J-POPのバンドが出てたりしてて、それもいいとは思うんだけど、俺はデパートみたいなフェスよりもひとつのジャンルに特化したものがいいと思ってるんだよね。
──わかります。
TGMX:それで、PIZZA OF DEATHがラウドミュージックをやり続けてくれたおかげで、俺たちもこうやって若い人にも見てもらえてさ。俺たちなんて、他のバンドをやってたり、毎日働いてるヤツもいるし、マイペースな動きしかしてないから、ピザに乗っからせてもらったとしか言えないよね。誘ってもらえただけでも光栄だと思う。ましてや小さいステージでもうれしいのに、大きいステージに出させてもらえて。だから、お客さんが入る、入らないなんてことより、サタニックに出させてもらったこと自体がデカいよね。
──さっきから話を聞いてると、実はけっこう気後れしてる部分があったんですね。
TGMX:だって、繰り返しになるけど、俺らはおじさんだし、出るべきじゃないと思ってたからさ。俺は昔、「おじさんたち、終わったじゃん」って年上のバンドに対して思ってたから、若い子も俺たちに対してそう思ってるだろうなって。それは順番だからしょうがないよね。だから、「絶対に見ろよ!」っていうんじゃなくて、「おじさんたちのライブも見てね」って気持ちだった(笑)。だけど、出させてもらってよかったよ。
──じゃあ、もし今後も声がかかるようであれば……。
TGMX:俺らが動いてたらもちろん出たいね。今回もよく俺らを引っ張り出してくれたなって思うよ。今はスキャフルを動かす上でメンバーを説得する理由があまりないんだよね。ライブに誘ってもらったとしても、みんなが「おっ!」って思わなかったら、やらないんだよ。だって、スキャフルは別にやらなくてもいいバンドなんだもん。極論を言えば、このまま解散してもいい。だから、今日はみんなすごくやる気になってた(笑)。
──今日は畳み掛けるようなライブでしたね。
TGMX:ああ、そうだね。「他のステージ行かないで!」「ご飯食べに行かないで!」って思って(笑)。
──ああ、必死さの現れだったんですね(笑)。
TGMX:そうそう、おじさんが必死でみんなを引き止めてたの(笑)。「こんな曲もあるよ!案外いいでしょ!?」って。
──MCの時間も惜しいぐらい。
TGMX:そうそう。その結果、いろんなバンドのTシャツを着てる子たちが見て、「あのおじさんたち面白いね」って思ってくれたらいいなって。……でも、これはスキャフルにとって大きな一歩かもしれない。フェスは横浜でやった<AIR JAM>とBRAHMANの<尽未来祭>以来出てないからさ。本当にデカい。とにかく、ハイスタとPIZZA OF DEATHがなかったら日本のラウドミュージックはなかったと俺は断言できるし、証言もできるからさ、出させてもらって本当にありがたかった。PIZZA OF DEATHのおかげ! それしかない!
取材・文◎阿刀“DA”大志
撮影◎梶原靖夫
■<SATANIC CARNIVAL'18>
6月17日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
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