【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、崩壊危機を乗り越えて「新しいミクスチャーを自分たちがつくる」

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KNOCK OUT MONKEYが9月19日、ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』をリリースする。前アルバム『HELIX』から1年2ヶ月ぶりの新作にしてメジャー2枚目のミニアルバムは、これまで音楽ジャンルを明言せずにあらゆるサウンドをアウトプットしてきた彼らが、今一度自分たちの姿勢や作ってきた音楽と向き合ったもの。結果、そのタイトルを『BACK TO THE MIXTURE』とした。

◆「Black or White」ミュージックビデオ

しかし、これは原点回帰ではない。同作制作中にバンドの崩壊危機を乗り越えたからこそ辿り着いた現在進行形が封じ込められた作品だ。“ロックは、音楽は、自由でいい”という境地に至るまでの葛藤、ミクスチャーの本当の意味、そして新たな展開をみせたサウンド&アレンジについて、フロントマンのw-shunとギタリストのdEnkAに語り尽くしてもらった。まずは個々の変わらぬ本質と広がり続ける変化についての分析から。

   ◆   ◆   ◆

■もう“解散するぞ”くらいの勢いで
■行方不明状態になってしまった

──今回のインタビューは、より深くKNOCK OUT MONKEYのバンド像や個々のキャラクターに迫りたいと思っていますので、よろしくお願い致します。

w-shun:えっ、そうなんですか?

dEnkA:なんか照れるな(笑)。

▲w-shun (Vo&G)

──気楽に話していただければ(笑)。まずは、お互いにどんなプレイヤーだと感じていますか?

dEnkA:シンガーとしてのw-shunは……その前にね。ミニアルバム『BACK TO THE MIXTURE』に向けて曲作りを始めた今年2月、バンドでメチャクチャ大喧嘩をしたんですよ。もう“解散するぞ”くらいの勢いで、ほんまにヤバかった。w-shunはその後、連絡も取れない行方不明状態になってしまったし。“決まってるライブスケジュールどうすんねん……”という状況にまで発展してしまった。

──それは大ごとですね。

dEnkA:その後、4人の話し合いの場で、それぞれの意見を言い合ったんです。みんなが“わかり合えている”と思っていても、やっぱり話さないと伝わっていないこともあって。モヤッとしたものが積もっている状態だったから、大喧嘩になったと思うんですね。結果、話し合ったことで、バンドの状態がすごく良くなった。より自由でいながら、より全員を意識し合いながらライブができるようになった。特にw-shunが変わったと思うんです。前までは、彼のワガママな感じがうまくハマればいい感じに見えていたけど、一方で独りでライブをしているように見えてしまうときもあったから。今のw-shunは自由に動きつつ、ちゃんと周りを見ていることがわかる。だからバンドとして最近は、より楽しくライブができています。

w-shun:実際変わりましたね。目に見える形で変わったのが、いつもライブ前にステージ袖でメンバー全員で円陣を組むときのことなんですけど。これまでの10数年間、僕がライブにかける意気込みを言って、全員で声を出してステージに向かったんです。でも最近は、どんな舞台であれ、僕以外の3人の誰かに一言を振るようになった。というのも、今までは“自分がフロントマンとしてなんとかしないといけない”っていう気持ちが強くあったんですよ。4人のバンドという感覚を忘れてはいなかったけど、とにかく自分がしっかりせなあかんと思っていたから。

──フロントマンとしての責任感ですね。

w-shun:でも、4人で大喧嘩をして、みんなでいろいろ話し合って、“メンバー間の信頼関係をそのままライブで出していこう”ということになって。そうなったときに、“自分がこう思うから、今日はこういうライブをします”ではなくて、他のメンバーがどう思っているかを知りたいと思ったんです。自分の後ろで演奏してくれているメンバーは、どんなことを考えてライブに臨んでいるのかを訊きたい。それで、3人に一言を振るようにしたらすごく気持ちが楽になったというか、“こいつがいてくれる”と思えるようになったんです。円陣のときに他のメンバーに振ったらうまくハマらなくて、グズグズになるときもあるんですけど(笑)。

dEnkA:なにも考えてへんときもあるからな(笑)。

w-shun:そうそう(笑)。でも、それで逆に気持ちがアガるときもある。“こいつら、やっぱりおもしろいな”と(笑)。そういうメンバーが演奏してくれていることに、すごく安心感がある。フロントマンはオーディエンスと一番距離が近いと思うけど、自分1人だけでライブをしているわけじゃなくて、メンバーがいてくれることを肌で感じられるようになったんです。“今日もバンドでやれている。ありがたい”と思うようになったのは一番大きな変化といえますね。

▲dEnkA (G)

──その変化はすごくいい方向に作用しているでしょうし、お客さんも感じていると思います。では、w-shunさんから見た、dEnkAさんの印象は?

w-shun:dEnkAは、僕の思う理想のギタリストです。僕はギタリストに関して“変なヤツでいてほしい”んですよ。会話ができないようなタイプであってほしい(笑)。

dEnkA:ええっ!? 俺、会話できない(笑)?

w-shun:いやいや、そんなことない(笑)。なんていうんやろう……。

──マイワールドみたいなものを持っているということでしょうか?

w-shun:そうそう! しっかりとした自分の世界を持っていてほしい。dEnkAは、まさにそういう人間なんですよ。常に我が道をいく。見た目はゴツいし、ステージ上でジャックダニエルを飲んでいるし(笑)。そのうえですごいのは、音楽知識がしっかりしているんですよ。「こういうふうにしたいんやけど、どうしたらいい?」みたいな音楽的な質問すると、ちゃんと答えてくれる。ただの破天荒なヤツではないという。ただ、そういう人なので“変わった人やなぁ”といつも思っています(笑)。

dEnkA:たしかに変わってるよな(笑)。

w-shun:自分で言うなや(笑)。

dEnkA:ははは! でも、僕自身はこのバンドで一番マジメで標準的な人間やと思っているんです。

w-shun:いや、それはない。本当にそう思っているとしたら、“標準”の幅が広すぎる(笑)。だって、ステージでは破天荒だけど、実は超細かい。料理とかも丁寧に作るし。そのギャップが(笑)。

dEnkA:僕は、本当は超文系なんですよ。酒を飲んでいるときは荒々しくなるけど、元々は全くそういう性格じゃない。子供の頃は、学校の先生に「ノミの心臓や」と言われていたくらいですから、とにかく気が小さかった。それがロックと出会って、ギターを始めて、バンドをやるようになって爆発する術を得たんです。そういう意味では、“バンドをやるようになって良かった”と思いますね。

w-shun:そうやね。うちのバンドはdEnkAと僕が細かくて、リズム隊の2人はわりと大雑把なんですよ。僕とdEnkAがベードラとかの細かいところを決め込んで、それをナオミチ(dr)に伝えたとしても彼はスルーしたり(笑)。「いや、そこはちゃうねん。言ったやん」みたいな(笑)。

dEnkA:レコーディングとかでも、「ナオミチ、これ3連か?16分か?どっちやねん?」とかいうことが多くて(笑)。すると「どっちでもええやん」みたいな感じだったりするんですよ(笑)。

w-shun:ライブの後、みんなでナオミチに「あの曲、ミスったよね」と言ったら「えっ!?」とか言うし(笑)。でも、彼のそういう性格に救われているところはあって。バンドとしてメンバーのバランスがいいなと思いますね。

◆インタビュー(2)へ
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