【速レポ】<中津川ソーラー>NakamuraEmi、「1曲目から熱くなっちゃうけど」

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暑かった。本当に暑かった! REALIZE STAGEがあんなに暑かったのは、頭の真上にある雲を引き裂くように射す太陽のせいばかりではなく、NakamuraEmiによる渾身のパフォーマンスが巻き起こした熱気によるところも大きかったに違いない。あまりの暑さにぶっ倒れるかと思ったほどだ。

◆NakamuraEmi画像

彼女のプロデューサーも務めるカワムラヒロシ(G,Cho)と片山タカズミ(Dr)がサウンドチェックしているステージに音合わせに出てきたNakamuraEmiは、「アムロちゃん、おつかれさま」と言いながら、安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES」や、「今夜はブギー・バック」などをサウンドチェックとは思えない本気の歌唱で歌い上げ、本番前にもかかわらず、照り付ける日差しの下、話題のシンガー・ソングライターを一目見ようと集まった観客を早速、狂喜させたのだった。

そして、本番が始まると、「1曲目から熱くなっちゃうけど」と彼女の存在が知られるきっかけになった「YAMABIKO」をいきなりぶつけたんだから、盛り上がらないわけがない。

自らを鼓舞する言葉が聴く者も勇気づけるラップナンバー。《己の山びこで》とNakamuraがサビでマイクを客席に向けると、観客が“オーオーオー”というシンガロングで応えた。演奏が始まってからもREALIZE STAGEにやって来る人の流れは全然止まらない。


昨年、<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>に初出演したNakamuraは「(太陽光のクリーンなエネルギーによる)音の透き通りを大実感した」そうだ。そして、2年連続出演となる今回は、「今日が夏フェスの締め。なので、すごい気合入っています!」と意気込みを語ると、すでに書いた通り1曲目、いや、その前から熱いライヴを繰り広げた。

カワムラと片山によるファンキーな演奏に乗せ、聴く者の胸に突き刺さる力を持った言葉を繰り出すラップやソウルフルな熱唱が彼女の真骨頂。しかし、それだけにとどまらず、中盤では、女性から見た男性だからこその決意を歌ったという「スケボーマン」、人間にしか表せないものを大事にしたいという思いを込め、生活の中に人生の心理を見出した「新聞」といったバラード/スローナンバーもじっくり歌い上げ、さっきまで声を上げ、体を動かしていた観客の気持ちをぎゅっと鷲掴みにした。便宜上、バラードとは言ってみたが、バラードとは言っても決してやさしいだけの歌にならないところがやはりNakamuraEmiなのだろう。

30を過ぎてからデビューする勇気がなかった自分の人生が変わるきっかけになった事務所の先輩、竹原ピストルに感謝の気持ちを込めたという「痛ぇ」から3人の演奏は再びテンポアップ。そして、コミカルかつシニカルな歌詞に思わずニヤリとなったファンキーなラップナンバー「モチベーション」では、片山とカワムラによるソロの応酬(と、それをスマホで撮影するNakamura)も交え、最後の最後にダメ押しでこの日最大の熱狂を作り出した。

気合が入りすぎたのか、若干巻きで終わってしまったらしく、「中津川 THE SOLAR BUDOKANありがとう!」と満面の笑顔で締めくくったあと、「時間が少しあるので、みんなで写真を撮ってもいいですか?」と渾身のパフォーマンスの直後に見せたそんな素の姿もチャーミング。2度目の出演となった今回は18年の<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>のベストアクトの1つとして、少なくない人の記憶に残るはずだ。


取材・文◎山口智男
撮影◎古川喜隆

【NakamuraEmi@REALIZE STAGEセットリスト】

01. YAMABIKO
02. 大人の言うことを聞け
03. かかってこいよ
04. スケボーマン
05. 新聞
06. 痛ぇ
07. モチベーション

■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018>

2018年9月22日(土) 岐阜県中津川公園内特設ステージ
2018年9月23日(日) 岐阜県中津川公園内特設ステージ

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