【インタビュー】RUKI(the GazettE)、『NINTH』完結。そして「進化」へ

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2019年9月23日に横浜アリーナを舞台に行なったワンマン公演の模様を収録したLIVE Blu-ray&DVD『LIVE TOUR18-19 THE NINTH / FINAL「第九」LIVE AT 09.23 YOKOHAMA ARENA』と、海外ツアーの模様を追いかけたドキュメント映像Blu-ray&DVD『LIVE IN NEW YORK&WORLD TOUR19 DOCUMENTARY THE NINTH [99.999] 』を同時発売するthe GazettE。ここではRUKIを迎え、改めて<LIVE TOUR18-19 THE NINTH>の模様を振り返りつつ、これからに向けての想いを語ってもらった。

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■「そのときのベスト」にこだわった

──海外ツアーの模様を追いかけ続けたドキュメント映像と、ライブBlu-ray&DVDの初回盤へ収録されたドキュメント映像。2本合わせて4時間ほどの映像を観て感じたのが、「メンバーそれぞれが細部にまでこだわりを持ち表現に魂を注いでいるからこそ、世界中の人たちの心を動かすライブを17年間も続けてこれたんだ」ということでした。あの映像を観ることで、the GazettEへの尊敬の念がより深くなりました。

RUKI:ありがとうございます。the GazettEの場合、ライブ以外の姿はなかなか発信する機会がないので、長いツアーを終えたときのライブ映像にはなるべくドキュメンタリーもつけるようにしているんです。

──ドキュメント映像の中で語られるメンバーの言葉や行動を通し、「あの曲のあの場面にはこんな想いが詰め込まれていたんだ」など、改めて発見することが多かったです。それを知ったうえで、改めてファイナル公演を映し出した<「第九」>のライブ映像を観ると、当時体験していたのとは異なる面も見えて、新たな解釈で楽しむこともできました。

RUKI:「裏ではこうだったんだよ」というのが見えてくると、確かに見え方も変わりますよね。僕ら自身、ツアーの最後となった横浜アリーナ公演までずっと試行錯誤を続けてきて。もちろん、軸となるものを作りあげたうえで長いツアーの幕を開けるんですけど、その日のライブごとに感じた手応えや反省を次に反映、そこでさらに感じた想いをまた次へと繋げていく。ブラッシュアップを繰り返していくのがうちらのやり方なので、そのあたりのこだわりが伝わると嬉しいです。

──とはいえ、ライブハウス規模ならまだしもホールクラスの会場になるとしっかり作り込む必要があるから、改善を続けるのは大変じゃないですか?

RUKI:いや、いつも開演時間ギリギリまでその作業はやり続けていますね。そこを突き詰めないと、見に来てくれた人に中途半端なものを見せてしまうことになる。ホール公演はある程度作り込みますけど、「この曲では動きまわるよりはじっとしていたほうが照明の面でも映えるね」など、やって初めてわかることもあるから、改善し続けていくのが自分らのスタイル。時には選曲や演出をガラッと変えることもあるし、毎回「そのときのベスト」にこだわって、今回のツアーを続けてきましたね。

──ツアーの序盤で完成形に持っていくバンドも多いですが、the GazettEは最後の最後までベストを追求し続けていくんですね。

RUKI:自分たちも、ツアーの序盤で「これで完成したな」と思えるときもあるんですよ。だけどしばらくそれを続けていくと、バンドの成長に合わせ物足りなさを覚えてしまう。だったら、毎回のライブ映像を見直しながら音や演出も改善し続けたほうが、進化していけますからね。それに、ライブをやっていると「楽しい」が先に来てしまい、ときに細かいことは「まぁいいや」となってしまうこともある。それを許してしまうのが嫌だからこそ、毎回しっかり突き詰めたいと思っています。

──ドキュメント映像の中でも「テンションが上がり過ぎると、届けたい想いをしっかり届けきれない。だから、常に冷静でいる必要がある」と語っていましたよね。

RUKI:もちろんライブなので、テンションは上がるんですけど。良い意味で気持ちの出し引きというか、ある程度冷静でいる面も必要だとは思います。

──ドキュメント映像ではステージ以外の姿を見せるとはいえ、あくまでもミュージシャンとしてのこだわりを軸に映し出しています。あまり私生活的な面は見せないんですね。

RUKI:そこはぜんぜん大丈夫なメンバーもいればNGなメンバーもいる……という感じかなぁ。自分はライブに直接関係ない映像は省く傾向が強いなと思います。もちろん、ファンの人たちがプライベートな姿を観たがっているのもわかるんですよ。だけどそこは他のメンバーに任せて自分はそこではない面を観せたい、という感じかな。

▲Blu-ray&DVD『LIVE IN NEW YORK&WORLD TOUR19 DOCUMENTARY THE NINTH [99.999] 』ジャケット

──バックショットの姿を何処まで映し出すかは、各メンバーの判断に任せているわけだ。

RUKI:そうですね。the GazettEとしてのキャラ設定があるわけではないし、ディレクターの方が作った映像を観て、みんなが納得していればそれで良いという判断。だからドキュメント映像は、最初にもっと長い尺で作った完成版をもらって、そこから各自がチェックしながら削りたい部分を削除していく形でまとめていただいています。

──国内・海外ツアーとも、毎回しっかり映像チームがカメラをまわしているんですね。

RUKI:カメラクルーがいるのも慣れましたね。海外ツアーの映像を観てもらえればわかるように、会場のすべてが日本のように整っているわけではない。楽屋も含め、やたらデカい会場もあれば、ほとんど倉庫みたいな会場もある。中には、「ここ、本当にライブハウスなの?」という場所までありましたからね。まぁ、そういうのも含めて楽しんでゆくのが海外ツアーですが。

──海外のファンの方たちの言葉をも収録されていましたが、本気でthe GazettEを愛している気持ちが伝わってきます。

RUKI :「the GazettEを知った時はまだライブに行ける歳ではなかったけど、ようやくライブに足を運べる年齢になった」という、長年応援し続けてくれる子たちは国内のみならず海外にもたくさんいます。そういう子たちの姿や声を、各国へ行くたびに感じてて。アルバム『DOGMA』以降はアルバムを出したらツアーをやるという流れができていますが、国内と海外はセットとして考えています。海外の場合、毎年のように行くのではなく3年くらい間隔を空けてのほうが喜ばれるという話も聞くけど。the GazettEの場合、アルバムを手にしてのツアーとなると自然にそのくらいの間隔が空いてしまうから、ちょうど良いのかも知れませんよね。

──ということは、次のアルバムが何時になるのかはわかりませんが、リリースしたら国内と海外はパッケージでまわろうと。

RUKI:現状はそうですね。


──今は、次なるアルバムへ向けて動き出しているのでしょうか。

RUKI :ライブ映像の制作が手を離れ、ようやく『NINTH』を踏まえた活動へ終止符を打てた時期。今は、次のアルバム制作へ向けて気持ちを切り換え始めたところです。そのための楽曲制作も各自やっています。

──何かしら発表をしてくれるのでは?と期待を抱いているファンの方々も多いと思います。ぶっちゃけ、そこはどうなんですか?

RUKI:今はなんとも言えないですが(笑)。

──新しい作品作りはこれからとのことですが、『DOGMA』『NINTH』の世界観を踏まえた形での進化形になりそうなのか、それともガラッと変わるのか……。RUKIさん自身、その辺はどう考えているのでしょうか。

RUKI:まだ試行錯誤している中なので無責任な事は言えないですが、ガラッと変えようとはしています。あくまでも自分としては、ですけどね。

──アルバムの軸となるテーマを見いだすことから、なわけですよね。

RUKI:そこが何よりも大変なこと。実際に今もそれを探ろうとデモ曲をいろいろと作っては、なかなか確信を得るまでには至らずで。作った素材を消してはまた作って、を繰り返しています。the GazettEのアルバムは、「その作品を象徴する1曲」が、そのままアルバム全体を象徴することになる。『DOGMA』で言う「DOGMA」、『NINTH』で言う「Falling」みたいに。だからこそ、そこを定めるまでは時間を要してしまう。そういう楽曲を見いださないことには、具体的なアルバムのリリース日も、次のツアーの予定も立てられないんですよ。もちろん、ファンの人たちに向け何かしら発信しなきゃいけない気持ちはありますけど。自分たちが本当に納得のいく格好いい作品を提示するのがファンたちへの責任だからこそ、「待っていて欲しい」としか言いようがないですね。その代り、今回のライブ映像はとにかく細部にまでこだわって作ったので、長く楽しんで欲しいなと思います。

▲『LIVE TOUR18-19 THE NINTH / FINAL「第九」LIVE AT 09.23 YOKOHAMA ARENA』初回生産限定盤ジャケット

──最後にひとつ。the GazettEは18周年を迎えますが、ヴィジュアル系バンドとして大事にしてきたものについても教えてください。

RUKI:自分たちが最初に描いた世界観や自分たちでつかんだスタイルを崩すことなく、常に進化し続けていくこと。自分にとってヴィジュアル系は好きな音楽でありつつ、バンドが持つ世界観やCDなどのヴィジュアルを通し自由に想像を膨らませてくれたのもの。よく言われるように、ヴィジュアル系は「音楽のジャンルではなく、見た目を指す言葉」と解釈されるじゃないですか。意味的には確かにそうだと思うんです。ただ「ヴィジュアル系」と言うべき音楽のスタイルやメロディーや世界観というものは確実に今現在、この音楽シーンには存在しているわけで、言葉はどうであれ。自分たちは自分達が思う音楽を守りつつ、進化し続けたいと思っています。

──そういったスタイルが、今の若手ヴィジュアル系バンドにも影響を与えているのでしょうね。

RUKI: 影響を与えているかどうかはわからないです。今のヴィジュアル系シーンのことを詳しく知っているわけではないので。ただ「ヴィジュアル系ってこうだよね」というのを自分たちで演じ始めたらそこからは何も産まれないなとは思っています。

──なるほど。

RUKI:昔から変わらないままでいるのがいいのではなく、2020年だからこそのthe GazettEでいるべきことが大事だと思ってる。着飾って教会でミュージックビデオを撮ればヴィジュアル系なのではなく、そういうステレオタイプではない格好良さを提案していく義務は感じています。


取材・文◎長澤智典

Blu-ray&DVD『LIVE TOUR18-19 THE NINTH / FINAL 「第九」LIVE AT 09.23 YOKOHAMA ARENA』

2020年3月4日(水)発売
【初回生産限定盤A】(Blu-ray Disc+Photo Book)
SRXL-229/¥13,250(税込)

【初回生産限定盤B】(2DVD+Photo Book)
SRBL-1886~7/¥12,250(税込)

【通常盤A】(Blu-ray)
SRXL-230/¥7,400(税込)

【通常盤B】(DVD)
SRBL-1888~9/¥6,400(税込)

[収録内容]
SE. 99.999
1. Falling
2. NINTH ODD SMELL
3. GUSH
4. CLEVER MONKEY
5. GABRIEL ON THE GALLOWS
6. 裏切る舌
7. THE MORTAL
8. 虚 蜩
9. その声は脆く
10. BABYLON'S TABOO
11. DOGMA
12. INCUBUS
13. TWO OF A KIND
14. UGLY
15. ABHOR GOD
16. 関東土下座組合
EN1. GO TO HELL
EN2. INSIDE BEAST
EN3. 貴女ノ為ノ此ノ命。
EN4. HEADACHE MAN
EN5. ATTITUDE
EN6. TOMORROW NEVER DIES
WEN. UNFINISHED

Blu-ray&DVD『LIVE IN NEW YORK&WORLD TOUR19 DOCUMENTARY THE NINTH [99.999] 』

2020年3月4日(水)発売
【通常盤ONLY】
■BD(1枚組)
¥7,550(TAX IN)/品番:SRXL-228

■DVD(1枚組)
¥6,550(TAX IN)/品番:SRBL-1885

[収録内容]
・ DOCUMENTARY/LOS ANGELES
・ SE. 99.999
・ M1. Falling
・ M2. NINTH ODD SMELL
・ DOCUMENTARY/DALLAS
・ M3. GUSH
・ DOCUMENTARY/NEW YORK・TORONTO
・ M4. VORTEX
・ DOCUMENTARY/MEXICO CITY
・ M5. VENOMOUS SPIDER'S WEB
・ DOCUMENTARY/BUENOS AIRES
・ M6. THE MORTAL
・ M7. その声は脆く
・ DOCUMENTARY/SANTIAGO・SAO PAULO
・ M8. DOGMA
・ DOCUMENTARY/LONDON・PARIS
・ M9. THE SUICIDE CIRCUS
・ DOCUMENTARY/COLOGNE・MUNICH
・ M10. INCUBUS
・ M11. UGLY
・ DOCUMENTARY/MOSCOW
・ M12. ABHOR GOD
・ M13. Filth in the beauty
・ DOCUMENTARY/SHANGHAI
・ EN1. INSIDE BEAST
・ EN2. COCKROACH
・ DOCUMENTARY/TAIPEI
・ EN3. TOMORROW NEVER DIES
・ DOCUMENTARY/TAIPEI

◆the GazettE オフィシャルサイト
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