【鼎談】DAISHI [Psycho le Cému] × michi.[ALICE IN MENSWEAR] × TAKA [defspiral] 、地元姫路を語る「世界遺産の地から開拓の20年」

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Psycho le Cémuのseekがプロデュースを手掛けたコンピレーションアルバム『VERSUS FATE』は、ライブハウス姫路Beta支援をテーマに掲げて制作されたものだ。1990年代の姫路でヴィジュアルシーンを活性化させたMASCHERA、ILLUMINA、TRANSTIC NERVE、DEVELOP FRAME、Psycho le Cémuといった5バンドの音源を収録した同作のコンセプトは、“運命に抗ってでも守らなければならない大切な場所が僕達にはある”。ある意味では、コロナ禍だから実現した貴重なコンピ盤であり、姫路V系シーンの足跡が刻み込まれた作品だと言い換えることもできるだろう。

◆Psycho le Cému ×ALICE IN MENSWEAR × defspiral 画像

鼎談には、姫路シーンを切り拓いてきたMASCHERAのメンバーであり現在はALICE IN MENSWEARとして活動中のmichi.、TRANSTIC NERVEを経てdefspiralとして2020年に結成10周年を迎えたTAKA、Psycho le CémuのDAISHIといった3人のヴォーカリストが集結。1990年代当時の姫路シーンやヴィジュアルシーンの思い出や、ボーカル同士だからこその本音についてたっぷり語ってもらった。

MASCHERAの大ファンだったDAISHIとmichi.の意外な出会い、TAKAがmichi.の通っていた中学の後輩で、Psycho le CémuのYURAサマもまたmichi.の高校の後輩だったというエピソードなど、これまであまり語られることのなかった地元トーク。<Psycho le Cému 理想郷旅行Z ~二十年後の僕たちへ…~> 開催目前に実施された10000字越えのロングなトークセッションに、姫路シーンの絆が浮かび上がった。

   ◆   ◆   ◆

■何のコピーやってるんですか?
■って失礼な質問をmichi.さんに

──姫路を拠点にバンド活動を始めたお三方ですが、当時の出会いから教えていただけますか?

michi.:最初に知り合ったのはTAKAですね。僕が姫路でバリバリ活動させてもらっている時にRYO (B / TRANSTIC NERVE〜defspiral)がMASCHERAのローディをしてくれていたんです。「いいボーカルが見つかって、一緒にやり始めたんですよ」と言ってたんですが、それがTAKAであり、TRANSTIC NERVEでした。DAISHIは音楽活動を始めたのが遅めだったんですけど、それ以前にライヴハウスとは全然別のところで出会っているんですよ。

DAISHI:はははは。そうでした。

michi.:まず、プライベートでよく行っていたバーで出会って、その後、DAISHIから「実は僕、バンドやることになったんです」って話をされ、「じゃあ、応援してる」って言ったのが最初ですね。すでに僕はMASCHERAで上京していたんですが、その後、姫路Betaの三四郎さん(姫路Betaの元店長/RECエンジニア)から「最近、面白いバンドが出てきてん」って話を聞いて。そのボーカルがDAISHIだったんです。最初はパッと、“あのDAISHIか!”とは思考回路が繋がらなくて。そもそも僕、Psycho le Cémuのインディーズ時代ってライヴを観ていないんだよね。

DAISHI:michi.さんは僕のこと、飲み屋の兄ちゃんだと思ってるから(笑)。

michi.: DAISHIは、僕が飲みに行ってたお店のバーテンさんやったからな(笑)。


▲DAISHI [Vo / Psycho le Cému]

DAISHI:僕がMASCHERAさんのことを好きだって知ってた先輩が、michi.さんを店に連れてきてくれて。ちなみに僕は、先にmichi.さんのお兄ちゃんと、そのお店で出会ってるんですけどね。

michi.:そう、実兄。

DAISHI:で、michi.さんからライヴに誘っていただいて、Lida (G / Psycho le Cému)くんと一緒に観に行ったんですけど、当時MASCHERAさんはもうホールでやってました。そこで影響を受けて「俺らもバンドするぞ」ってなったんです。僕、michi.さんがMASCHERAの前にやられていたバンドのデモテープを持っていたぐらい好きで。

michi.:実は、TAKAに関しても僕はバンドマンとして出会う以前に彼のお兄さんと知り合いで。

──兄弟エピソードが多いですね(笑)。

michi.:田舎なのでコミュニティが狭いんです(笑)。TAKAのお兄さんが同じ学校の先輩ですごくお世話になったんですよ。まさか先輩の弟が、ちょっとジェラシー感じるぐらいのカッコいいボーカリストになっていたなんて、驚いたよね。

TAKA:なので、僕が初めてmichi.さんにお目にかかったのは、学校の先輩としてで。

DAISHI:michi.さん自体が姫路の有名人でしたもんね。人気があって髪の毛も長かったし。

TAKA:近寄りがたかったですね。

DAISHI:僕とTAKAくんの出会いはライヴ。岡山でも一緒にライヴやったと思う。その頃、すでにTRANSTIC NERVEはめっちゃ人気あって、Psycho le Cémuの前身バンドでTRANSTIC NERVE主催イベントのオープニングアクトもさせていただいた記憶がある。

TAKA:いやいや、僕らのほうが少し先に活動を始めていただけで。


▲Psycho le Cému

──DAISHIさんは以前のBARKSインタビューでも「TRANSTIC NERVEは悔しさを覚える存在」って公言していますよね。

DAISHI:MASCHERAさんは憧れの先輩なんですが、TRANSTIC NERVEのTAKAくんとは年齢的に学年が一緒で、背が高くてシュッとしてるっていうのが、当時すっごく嫌だったんです。TRANSTIC NERVEはいちばん嫌いなバンドでした(笑)。

TAKA:はははは!

michi.:目の上のたんこぶやったんやな(笑)。

DAISHI:ホントに。ところが、Psycho le Cémuの年下メンバーは「TRANSTIC NERVEさん、カッコいい」って言ってたんですよ。ライヴに向かう機材車の中とかでも褒めるから、僕ひとりイライラしてたという(笑)。でも、MASCHERAさんに始まり、姫路のバンドはみんな演奏が上手かったですからね。

michi.:みんなすごかったね。俺も “カッコいいな。後輩に負けてられへんな”っていうライバル心があったから。たしかにTRANSTIC NERVEはカッコよかった。

DAISHI:当時、「hideさんに見出された」っていうキャッチコピーでシーンに出てきて、その時にはもうTRANSTIC NERVEは東京進出していたと思う。地元で燻っていた僕らはそういう雑誌の見出しを見て、心の中で「なにhideさんに見出されてんねん!」って(笑)。

TAKA:そういうキャッチは僕らも目にしてたけど(笑)。そういうふうに「嫌われてる」っていう話は後々聞いたんですよ(笑)。複雑でしたけど、ライバル視してもらえるのは嬉しかったんです。

──実際に初めて話したときの第一印象は?

michi.:TAKAはホントに好青年でした。背が高いし目鼻立ちもクッキリしてて日本人離れしていたから、取っつきにくく見られがちだったと思うんです。だけど、ものすごく礼儀正しい。DAISHIは頭のいい、面白いお兄さん(笑)。

DAISHI:初対面から、むちゃくちゃ飲んでましたからね。

michi.:そう。全然気を遣わずに。

DAISHI:さっきの話に戻ると、MASCHERAのmichi.さんだってことを先輩が僕に言わず、ドッキリでお店に連れてきてくれたんですね。僕は当時、アルバムや雑誌とかでメイクをガッツリしてるmichi.さんの写真しか見たことがなかったので、最初はまったくmichi.さんだってことに気づかず。“髪の毛が長いからバンドやってはるんやろうな”と思って、「僕も高校時代、バンドやってたんですよ。何のコピーやってるんですか?」って、失礼な質問を(笑)。まさか東京でバリバリ活動しているMASCHERAのmichi.さんだとは思わなくて。

michi.:そうやったな(笑)。

DAISHI:でも、michi.さんがカラオケでワンフレーズ歌われた瞬間に、「うわあ! MASCHERAや!」って崩れ落ちた記憶があります。

TAKA:ははは。バラエティ番組みたい。

michi.:カメラ回しておけばよかったね。

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