【ライブレポート】MSTK × LINDBERG、アニバーサリー公演で「諦めないでほしい。夢を見続けてください」

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1994年6月8日にシングル「愛してるなんて言葉より…」でメジャーデビューを果たし、以降ミュージシャン/俳優の両面で活動を行っているアーティストが藤重政孝だ。ソロデビュー25周年を期に、以前から憧れていたバンド結成を決意、2020年6月にMASATAKA名義で5ピースバンドMSTKを始動させた。その動きは夢を見続けることや情熱を注げるものがあることの素晴らしさを示している。

◆MSTK × LINDBERG 動画 / 画像

そんなMSTKが6月17日、結成2周年と藤重政孝デビュー28周年を祝うライブを渋谷WOMBで開催した。MSTKに対する期待の高まりを表すように、ウィークデーながら多数のリスナーが来場し、渋谷WOMBの場内は開演前から賑やかな空気に包まれていた。


暗転した場内に穏やかなピアノの音が流れ、ステージ後方のスクリーンに藤重政孝〜MASATAKAの活動を振り返る映像が映し出される。客席から熱い拍手が起こり、「みんな用意はいいかい? 楽しみましょう」というMASATAKAの声と共にパワフルなオープニングSEに切り替わり、メンバーがステージに登場。ライブは爽やかな「ENDLESS DREAMER」から始まった。

大人の色気を発しながら抑揚を効かせた歌声を聴かせるMASATAKA。感情を露わにしたステージングとソリッドなギターワークの取り合わせが印象的なAZ。ステージに力強く立って流麗なリードプレイを奏でるJIN。ミステリアスなマスク姿とファットにグルーブするベースサウンドが強いインパクトを放つO.N.Z.B。引き締まった表情でしなやかなドラミングを展開するTETSUYA。メンバーそれぞれが個性を発することで生まれるMSTKのケミストリーは魅力的で、ライブが始まると同時に彼らのバンド感がより強固になったことが伝わってきた。



その後はサイバーなギターリフを配したアップテンポの「LIGHTS」やグルーヴィーな歌中とアッパーなサビをフィーチュアした「KING」、翳りを帯びた「Sorry..」などを続けてプレイ。スタイリッシュさを保ったうえで1曲ごとにテイストを変える流れは観応えがあるし、それぞれの楽曲をカッチリ聴かせる演奏力の高さも見事。幅広さを見せながら散漫になることはなく、ライブが進むに連れてMSTKの世界はどんどん深みを増していった。

「皆さん、こんばんは、MSTKです! 今日は私、藤重政孝がソロデビューして28周年。そして、我らがMSTKの結成2周年アニバーサリーライブです。週末の忙しい中、お越しくださいまして、本当にありがとうございます。最後まで燃えたぎってください」──MASATAKA



というMASATAKAの挨拶後はO.N.Z.BのスラップとTETSUYAのサンバノリのドラムが生み出すグルーヴが心地好い「TOKYO MISTAKE」や、AZとJINが息の合ったツインリードを披露するメジャーチューンの「my Home」などが演奏された。キャッチーなメロディーやわかりやすさを重視したアレンジを打ち出したMSTKの楽曲は本当に魅力的だし、ライブ映えのよさは抜群といえる。また、'90sの匂いがありつつも古びた印象はなく、2020年代にフィットする音楽に仕立て上げられていることも見逃せない。ただ単に'90年代を懐かしむのではなく、時代性などを採り入れて新たな息吹を吹き込む彼らの手腕はさすがの一言に尽きる。

その後は、セルフカバーや'90年代ヒット曲のカバーが渋谷WOMBを最高潮へ。ラグジュアリーな藤重政孝のデビュー曲「愛してるなんて言葉より…」、O.N.Z.Bのテクニカルなベースソロを織り込んだZIGGYのカバー「グロリア」にオーディエンスが熱狂。さらには、MASATAKAがステージ前のフロアに降りて歌うという熱いパフォーマンスを見せたファストチューン「Under the Gate」が演奏されるなど、躍動感に溢れたサウンドとメンバー全員が織りなすフィジカルなステージングの応酬にオーディエンスのボルテージはさらに高まった。



「いま夢見ている人、夢を見続けてください。絶対に絶対に叶うから。もし叶わなかったとしたら、それはどこかで諦めたのかもしれない。諦めないでほしい。絶対に絶対に叶うから、夢を見続けてください」──MASATAKA

というMASATAKAの言葉と共に抒情的なスローチューンの「Seven Reazons,why」をプレイ。激しくイキ上げた後にウォームなナンバーを持ってくる流れが見事に決まって、オーディエンスはMSTKが描き出すエモーショナルな世界に深く惹き込まれていた。そして本編ラストは「DISCOVERY」。煌びやかで気持ちを引き上げる力に満ちたナンバーに、渋谷WOMBの場内は笑顔で溢れた空間と化す。演奏を終えたMSTKのメンバーは全員晴れやかな表情を見せ、心地好い余韻を残して本編の幕を降ろした。



オーディエンスの熱い要望に応えて行われたアンコールはMASATAKAが弾き語りで聴かせた「空」からスタート。バンド形態とはまた一味違った深みのある歌声で魅了した後、スペシャルゲストとしてLINDBERGの渡瀬マキ(Vo)と平川達也(G)が客席からの盛大な拍手に迎えられてステージに姿を表した。

「LINDBERGの中でも、すっとこどっこいの二人が来てしまって、すみません(笑)」──渡瀬マキ



というのも、平川が大事なギター機材を持ってくるのを忘れて当日リハに到着。その後、機材を家へ取りに帰ったという話や、渡瀬マキはマンスリーソロライブを開催しているが、7月のスケジュールがわからない……といったやり取りに客席からは何度となく笑いが起きていた。アットホームな雰囲気に会場が包まれ、MSTKのメンバーに渡瀬と平川を加えた編成でLINDBERGの「Believe in Love」と「今すぐKiss me!」をプレイ。ワイワイ感に溢れた明るいステージとアッパーでキャッチーなサウンドにオーディエンスも熱いリアクションを見せ、アニバーサリーにふさわしい華やかな空気のままアンコールを含む全16曲のスペシャルなライブが終了した。

今回のライブではニューアルバムの今秋リリースと全国ツアーを予定していることもアナウンスされた。より魅力を増した姿を披露してみせたMSTK。コロナ禍の影響で思うような活動ができない中でも進化し続けてきたのはさすがと言えるし、今後が楽しみな一夜となった。




取材・文◎村上孝之
撮影◎OKA☆DAI

■<藤重政孝 デビュー28周年&MSTK 結成2周年記念ワンマンライブ>2022年6月17日(金)@東京・渋谷WOMBセットリスト

〜スペシャルゲスト:渡瀬マキ(Vo)/平川達也(G) from LINDBERG〜
01. ENDLESS DREAMER
02. LIGHTS
03. KING
04. Sorry..
05. Black Shadow
06. TOKYO MISTAKE
07. my Home
08. Prize
09. 愛してるなんて言葉より
10. GLORIA
11. Under the Gate
12. Seven Reazons, why
13. DISCOVERY
encore
en1. 空 ※弾き語り
en2. Believe in Love
en3. 今すぐkiss me!


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