【ライヴレポート】ALICE IN MENSWEAR、<KOJI追悼>ワンマンで「活動休止しますという宣言もしません」

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ALICE IN MENSWEARのワンマンライヴ<KOJI追悼 ALICE IN MENSWEAR ワンマンライヴ「THIS IS WONDERLAND」>が、KOJIの命日である4月15日、新宿ReNYで開催された。

◆ALICE IN MENSWEAR 画像

KOJI(G)が食道がんのため逝去してから1年。共に活動してきたmichi.(Vo)は、KOJIの生前“自分がいなくなっても自分のサウンドを届けられるように” “ALICE IN MENSWEARのライヴができなくなってmichi.が路頭に迷わないように”と、ライヴ用にKOJI自身がギターを新録した音源とプログラミング(ツインギター自動演奏システム)を用いてステージに立ってきた。それが、昨年4月17日の赤羽ReNY alpha配信ライヴ<ALICE IN MENSWEAR 3rd Anniversary+KOJI生誕祭>であり、昨年8月7日の赤羽ReNY alpha有観客+配信ライヴ<IN MEMORY OF KOJI project「GEARS OF DESTINY code 1812」>だ。michi.は「2022年もお互いの誕生日を祝うライヴをしよう」というKOJIとの約束を果たし、2023年4月15日というKOJIの一周忌に、ALICE IN MENSWEAR所縁の地である新宿ReNYでワンマンライヴを開催した。



この日は追悼公演であり、ALICE IN MENSWEARの今後を発表したライヴとなった。テーマは原点回帰であり、集大成。“スチームパンク”と“不思議の国のアリス”をコンセプトに掲げて2019年から本格活動をスタートさせたALICE IN MENSWEARだが、今回、michi.は<THIS IS WONDERLAND>のタイトルにふさわしい世界観を提示すると同時に、2019年の4月12日に同会場で開催された1stライヴ<Wonderland For The Lost Children>を彷彿とさせる演出を意識して構成を組み立てていったという。

アンコールを入れて全20曲。1stアルバム『Wonderland For The Lost Children』(2019年発表)、2nd アルバム『GRAPPLE THE WORLD』(2021年発表)に収録されている楽曲全てが惜しみなく披露された。会場はソールドアウト。昨年8月の<IN MEMORY OF KOJI project「GEARS OF DESTINY code 1812」>は新型コロナウイルス感染予防のため、万全の対策のもと開催されたが、今回はマスク着用の上、声出しが解禁に。ライヴが進むに連れてmichi.とKOJIの名前を叫ぶ声が大きくなっていったのも感慨深く、想像できないぐらいの想いを背負ってステージに立ってきただろうmichi.も歓声とともに解き放たれていったように見えた。


SEが鳴り響く中、サポートメンバーの古谷圭介(B)と竹村忠臣(Dr)、そしてmichi.が登場し、オープニングは“銀河も流星も三日月も太陽も全て連れていこう”と歌うファンタジックで切ないワルツ「ハジマリノウタ」。御伽噺の中から飛び出してきたような衣装を纏い歌うmichi.は、その手の動きも含めて美しい。ウィスパーボイスが妖しげな世界に引き込むナンバーから徐々に“動”へと移行していくステージングだ。アッパーチューン「capture -捕食者-」ではmichi.が前に出てフロアを煽り、ギターソロでは上手にセッティングされているKOJIの立ち位置でギターに手をかける。自分がいなくなってもALICE IN MENSWEARのサウンドを届けられるようにとライヴ用にKOJIが録音していたというギタートラックには、姿は見えなくても、まるでKOJIがすぐそこで奏でているような生々しさがある。大きな拍手と歓声が上がり、「TRANSITION」では熱量をさらに上げ、燃え盛るようなKOJIのギターソロとmichi.のシャウトが響いた。

「<THIS IS WONDERLAND>へようこそ! 昨年8月のワンマンでようやく有観客が解禁になり、そして、KOJIの誕生月でもある今年4月にやっとみんなの声で一緒にコミニュケーションがとれるライヴを行うことができて、本当に最高の気分です。ありがとう! “うるさいよ”ってKOJIが耳を塞ぎたくなるぐらい、KOJIに届くような大きな声を君達から今日は思いきり引っ張り出していきたいなと思ってます。いいんだよ。恥ずかしがらなくて」──michi.

「今、遠慮したり、恥ずかしがったりしたら、帰ってから後悔する」とmichi.がユーモアを混じえてファンの背中を押し、KOJIのギターリフがフックになる官能的なロックンロール「ワルプルギスの夜」へ。ファルセットから太い声まで使い分けて魅せて聴かせるmichi.の存在感にグイグイ引き込まれる。そしてライヴは、幻想的なセクションへと。スチームパンクの美意識をデザインとして具現化したマイクスタンドを両手で握りしめ、michi.が熱唱したミドルバラード「天声」ではKOJIのギターアルペジオと伸びやかなフレーズが情景を彩り、ミラーボールの反射する光がフロアに降り注いだ。スローなナンバーが続いてもいい意味で緊張の糸が途切れず、聴き手を楽曲の世界にいざなっていくステージはALICE IN MENSWEARのライヴに触れたことがない人をも魅了する不思議な力を持っている。歌い手としてもパフォーマーとしても卓越した集中力でファンタジーと現実が交錯する歌の物語へと連れていくmichi.、エモーショナルなギターとスチームパンクのレトロフューチャーな世界を細やかなアレンジで具現化していくKOJI。パワフルなドラミングで幕を開けた「オートマタ -鋼鉄少女A-」ではダークで尖ったサウンドに空気が一変。michi.がポエトリーリーディングをする中、マイクスタンドのオブジェを手に取り、受話器のように耳に当てるパフォーマンスからも目が離せなくなる。



中盤はスクリーンに在りし日のKOJIが映し出されたギターソロのセクション。男性からも「KOJI!」と叫ぶ声があちこちから上がり、「GEARS OF DESTINY」で開放のベクトルへ。サビで開けるメロディがカタルシスを感じさせる「Lost Child」、フロアが手を振って身体を揺らす光景が広がったエロティックなダンスナンバー「PiLL≠GRiMM」ではmichi.がKOJIと背中合わせで歌うような立ち位置でパフォーマンス。大歓声が沸き起こった。

その流れからのセクションでは「さあ、温まってきたね。今日はせっかくの声出し解禁ということでみんながどんな声を聞かせてくれるか気になって気になって、昨日は眠れませんでした」──michi.

とmichi.が笑わせ、客席上手と下手に分かれて、ALICE IN MENSWEARのライヴではおなじみの“ア、ア、アアンアン”のセクシーなコール&レスポンス。以前、michi.が猫で、KOJIがウサギ、という設定でコール&レスポンスをしたことがあり、その時のKOJIの苦々しい顔に触れながら「あの王子様がやってくれた」と笑わせ、今度は“KO、KO、KO、KO 、KOJI”のコール&レスポンスが会場全体を笑顔にした。場内を盛り上げて、ベースのフレーズがうねるグラマラスなロックナンバー「GRAPPLER」へとなだれ込む構成も心地よく、後半は攻めのモード。本編ラストをタオル回しが圧巻の「Pre-TEA PARTY」で締めくくり、KOJIのギターのフィードバック音が会場に響きわたった。


アンコールはスケール感たっぷり、michi.のハイトーンが活きる「遥カナ航跡」が会場をすっぽり包みこんだ。ALICE IN MENSWEARの浪漫を感じさせるナンバーに思い出を重ねるようにじっと聴きいる場内。いかにもKOJIらしいギターの旋律が印象的な「ラプラスの針」は、サビでエレクトロなダンスビートへと開ける展開が気持ちいい。2人を呼ぶ声は鳴り止まなかった。

「みんな、コールありがとう。いろいろなKOJIとの約束を果たしてこられたつもりでしたが、やっと、みんなが居る場所、そして、みんなの声が聴こえる場所に連れてくることができました。神聖なる4月という時に、ここにこうして集まって“WONDERLAND”を楽しんでいることに、この上ない喜びを感じています。今回のワンマンライヴをキッカケにALICE IN MENSWEAR名義としてのライヴをお休みさせていただく形にはなりますが、KOJIが俺をすごく育ててくれた……KOJIが鍛えてくれたミュージックスタイルを俺なりに受け継いでいきたいと思っております」──michi.

このスタイルでのライヴはもう見ることができないという事実に感情を抑えられなくなる人もいる中、michi.はメッセージを届けた。その全てに誠意が溢れ、言葉たちが刺さってきた。KOJIを失ったことの悲しみは癒えることがないかもしれない。その喪失感を痛いほど味わったmichi.だからこそ説得力がある。


「塞ぎこむ必要はなく、ただニュートラルに受け入れて、悲しい時は涙を流すのもよし、楽しい時は素直に笑う。俺もしばらく、楽しい時に楽しそうな顔をするのさえ、後ろ指を指されているんじゃないかと罪の意識に苛まれた時もありました。ただ、俺がこんなじゃ、みんなが悲しむし、何よりKOJIに叱られるから、やめました。いい傷も痛い傷も治るか治らないかはわからないし、治らなくても、これだけ待っている仲間がいるんだもん。分けあっちゃえばいいんですよ。俺はみんなと楽しいことも痛いことも全力で分かち合おうと思います」──michi.

感謝の想いを伝え、「来てくれて本当にどうもありがとう。何回言っても足りません」と感無量のmichi.にフロアからも「ありがとう!」という言葉が放たれた。2人が大切にしていた“君をこの手で守り抜くから”と歌う「ALFHEIM」が奏でられ、ラストは「アビエイターズ -飛行少年A to Z-」で笑顔で締めくくられた。歌い終わったmichi.から、最後に届けられたのは未来へと続く希望の言葉だった。


「ALICE IN MENSWEAR、対外的には活動休止のような見え方をするかもしれません。でも、活動休止しますという宣言も致しません。“夢物語じゃん” “理想じゃん”と言われるかもしれませんが、我々芸術家が夢を語らなくてどうする?っていう。約束は果たせないかもしれません。みんなにはチクチク苦しい想いをさせてしまうかもしれませんが、またいつかALICE IN MENSWEARとしてお会いできることを楽しみにしております。本当に今日はどうもありがとうございました。KOJI、どうもありがとう!」──michi.

深い余韻と感動を残し、ライヴは幕を閉じた。なお、本ライヴの配信チケットは現在も販売中。5月15日まで視聴可能だ。

取材・文◎山本弘子



▲<KOJI追悼>ワンマン当日、新宿ReNYロビーに飾られた思い出の品々や歴代衣装。写真下段はこの日のために用意されたmichi.とKOJIの新衣装。

■<KOJI追悼 ALICE IN MENSWEAR ワンマンライヴ「THIS IS WONDERLAND」>2023年4月15日(土)@東京・新宿ReNY セットリスト

-Opening SE-
01. ハジマリノウタ
02. GARDEN
03. capture -捕食者-
04. TRANSITION
-MC-
05. ワルプルギスの夜
06. 天声
07. 女神
08. THE WORLD IS YOURS
09. アンドレス
10. オートマタ -鋼鉄少女A-
-Guitar solo-
11. GEARS OF DESTINY
12. Lost Child
13. PiLL≠GRiMM
14. GRAPPLER
15. EXCORE
16. Pre-TEA PARTY
-encole
17. 遥カナ航跡
18. ラプラスの針
-MC-
19. ALFHEIM
20. アビエイターズ -飛行少年A to Z-

■<KOJI追悼 ALICE IN MENSWEAR ワンマンライヴ「THIS IS WONDERLAND」>

配信日時:2023年4月15日(土)
アーカイブ視聴期間:チケットによって異なります。
【配信チケット料金】
B-②ライブ配信チケット+30日間 (5/15(月)23:59まで)のアーカイブ視聴 ¥6,500(税込)+ZAIKO手数料
B-③ライブ配信チケット+DVD盤 ¥9,000(税込)+ZAIKO手数料B-④ライブ配信チケット+DVD盤+CD ¥12,000(税込)+ZAIKO手数料B-⑤ライブ配信チケット+Blu-ray盤 ¥10,500(税込)+ZAIKO手数料B-⑥ライブ配信チケット+Blu-ray盤+CD ¥13,500(税込)+ZAIKO手数料B-⑦ライブ配信チケット+アーカイブデータ+DVD盤+CD ¥16,000(税込)+ZAIKO手数料B-⑧ライブ配信チケット+アーカイブデータ+Blu-ray盤+CD ¥17,500(税込)+ZAIKO手数料

※ディスク付きプランをお求めの方はチケットご購入時、お名前やご住所の入力漏れやミスにご注意ください。漏れやミスがあった場合は発送が遅延したりお届けできない場合がございます。
※コース③~⑧には「30日(5/15(月)23:59まで)のアーカイブ視聴」も付属します。
※コース③~⑧のDVD盤、Blu-ray盤、アーカイブデータには全てオフショットの特典映像を収録します。
※コース⑦~⑧アーカイブデータはデータ準備完了次第、ダウンロード先URLをお知らせいたします。
※CDはライブ音声を収録したものとなります。
※ディスク盤の映像、CDの音声は、若干の編集や音質調整などが加わる場合がございます。
※DVD盤、Blu-ray盤、CDの発送は30日間アーカイブ終了後から約1ヶ月ほどお時間をいただきます(簡易パッケージ/レターパックライト/海外への発送は対応しておりません。返金等も出来ませんので、あらかじめご了承ください)。
※レターパックライトはポスト投函となります。ポストの大きさなどで投函できない場合は不在通知が投函されます。その場合は不在通知から再配達のご依頼をお願いします。保管期限超過で事務局返送となった場合はヤマト運輸着払いでの再送となりますのでご注意ください。
※配信チケットに関しましては、5/15(月)22:00までチケット購入可能です。
【配信ライブチケット】https://unitedproducts.zaiko.io/item/354228

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