【インタビュー #2】DEZERT、千秋 × Sacchanが暴走と浄化の軌跡を語る「この13年間、ずっと焦っていた」

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■最初は面白いと思ってたんですよ
■ただ途中、めんどくさい時期があった


──コンポーザーでありフロントマンである千秋さんが、DEZERTというバンドを走らせる動力だったりエンジンみたいな役割だと思いますが、対してSacchanはリーダーで。ご自分ではバンドの中でどんな役割を果たしていると思いますか?

Sacchan:揉めずにそれをやる、くらいの感覚だと思いますね(笑)。

──それはこのバンドが始まったころからですか?

Sacchan:なんとなくそんな気はしてます。バンドとしてのやりたいことがバンと出てきて、みんなで進んでみたはいいものの、特に昔はやり方がわからなかったりもするわけですよね。まあ、それがバンドとしての不器用さにつながっていたわけで。人によっては“えっ?”って思うような進み方だったかもしれないし、DEZERTをよく思ってない人たちとか謎の勢力が止めにかかってきたり(笑)。それをどうやったらいちばん揉めない形でできるかなっていう感覚で、進めていたんですよね、僕は。千秋くんが突き進んでいくのに対して、基本的には並走してるというか。で、“ちょっとやりすぎじゃない?”っていうときは服を引っ張ってみたりするような(笑)。


千秋:いろんなインタビューでも言ってますけど、だから一緒にバンドを組んだっていうのはありましたね。当時、ミクスチャーみたいなバンドが流行っていて、僕もそういう世界で1〜2年くらいやってたんですけど。それぞれやりたいことがあるし、価値観もいろいろだから、そんな続かないんですよ。だから価値観をまとめてくれる人がいいなと思ってはいたので。

──そこで白羽の矢が立ったのが、Sacchanで。

千秋:俺はそもそもバンドをやるつもりがなかったから、“まあ、やるか”くらいのテンションだったんですよ、当初は。「結果が出なかったらすぐやめるから」って約束したし、このバンドに先がないと思ったとき、延命処置はやめようと。そこはいまだにお互いが思ってるんじゃないかな。だから、僕はこの13年間、ずっと焦っていたんです。ヴィジュアルシーンは狭い村だから、他と比べやすいんですよ。“このバンドは何年でどこまでいった”とか“どのくらい集客があった”とか、そういう情報がすぐに入ってくる。それを突っぱねようとしても影響されちゃう中でやっていて。

──成功事例のようなものが、突き付けられるような。

千秋:そう。でも、たとえば地方で満員にできなかったハコがあったとき、それまでは“求められてないやん”って思ってたんですけど、今は、“ここに来てくれたこの人たちの口コミで、ひとりでもお客さんが増えたらええやんな”って。かなりラクな気持ちでライヴをやっているんですよね。


──こういう千秋さんのモードの変化って、メンバーがいちばん感じていますよね。

Sacchan:まだ蓋を開けて見てない部分もあるっちゃあるから、我慢してる可能性もあるのかもしれないですけど。でも、一緒にいるぶんには変わったなって思いますね。いちばんは、メンバーに任せるところは任せてくれるようになった、というのがあるんじゃないかなと思っていて。僕に限らず、他のメンバーに対しても、みんなもいろいろと考えてるんだなって思ってくれたんだろうなとか。これまでは、千秋くんが得意なところと不得意なところも全部背負ってやっていたと思うんです。だけど、不得意な部分を見極めて、人に振ってくれるようになった感覚はちょっとあるかもしれないですね。

──それによってバンドの道筋も立てやすくなりますよね。Sacchanの場合は、新たに任されたものはあるんですか?

Sacchan:僕に関しては最初から一緒にいるので、元々そこの役割分担をしてたところもあって。たとえば、誰かにゲストで出てほしいとか、誰かを説得しなきゃいけないときに、千秋くんのキャラクターと僕のキャラクターを自然と使い分けていたと思うんです。千秋くんがわざと暴走して、俺がわかってるふりをしてそれを止めに行って、「千秋くんがうるさいんですよ〜」って言って認めてもらうとか。そういうキャラクターの使い分けって結構初期からしていたと思いますね。以前はそういうことをふたりでやることがすごく多かったんですけど、最近はみーちゃん(Miyako)やSORAくんにもかなりそれに加わってもらって、武器が増えたじゃないですけど。ちょっと言葉は悪いですけど、そういうメンバーの使い方、キャラクターの使い方が4人でできるようになってきた感覚はありますね。



──そういう役割分担や、ふたりのコンビネーションによる駆け引きって、Sacchan自身が千秋さんの人柄やキャラクターを面白いと思ってないとできないことですよね。

Sacchan:最初は面白いと思ってたんですよ。ただ途中、ひたすらめんどくさい時期があった(笑)。

千秋:ははははは!

Sacchan:面白いと思えなくなる時期って絶対あるんですよ、そんなもんは。ここまで付き合いが長くなってくると、“あれ、ちょっと本当にめんどくさいかもしれない”みたいな(笑)。なんですけど、それも1周とか2周回ってくると、すごくありがたいなって思うようになる。最近は特にそうなってきていて。

──といいますと?

Sacchan:だって、僕じゃできない勢いとか、そういうものを持っているわけで。キャラクターについても逆にいうとある種、嫌なやつになってくれるわけじゃないですか。人って“もっと認められたい”とか思っちゃうものだと思うんですよ。だけど、千秋くんは目的に対して針のように刺していく人だったりする。そういうキャラクラーを持っているので、「いやあ、それは千秋くんが許さないと思いますよ」って言ってしまえば、僕は傷つかずに済むというか(笑)。極論ですけどね。そういうところがあるので、僕は今となってはありがたいという感じですね、とっても。

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