【ライヴレポート】-真天地開闢集団-ジグザグ、全国ホールツアー<最高>ファイナルの東京ガーデンシアターで「広いね。大きくなったものよのう」

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第四完全音源集(4thアルバム)『慈愚挫愚 四 -最高-』を10月4日にリリースし、11月1日から同作を携えた全国ツアー<全国開闢禊 -最高->をスタートさせた-真天地開闢集団-ジグザグが11月21日、東京ガーデンシアターにてツアー最終公演を開催した。

◆-真天地開闢集団-ジグザグ 画像

『慈愚挫愚 四 -最高-』は、彼らならではのマニアックな部分や知的なテイストなどを継承しつつ、楽曲がストレートになると共に、より音楽性の幅を広げた作品だ。そんな完全音源集をフォローする<全国開闢禊>ということで、彼らの禊(ライブ)がこれまでとはまた違った趣になる予感があった。

もうひとつ、<全国開闢禊 -最高->は-真天地開闢集団-ジグザグにとって初のホールツアーということも見逃せない。つまり、今回の<全国開闢禊>は新機軸の楽曲達を、あまり経験したことのない環境で演奏するという、まさしく新たなことに挑戦する場になったというわけだ。<全国開闢禊 -最高->開幕後も各地での好リアクションを耳にしていたこともあり、“早く禊が観たい” “果たして彼らはどんな禊をするんだろう?”という気持ちが高まる中、ファイナルが開催される11月21日、会場となった東京ガーデンシアターへと足を運んだ。


現在の-真天地開闢集団-ジグザグの勢いを表すように<全国開闢禊 -最高->は全公演ソールドアウト、最終公演も最大収容人数約8000人の客席が満員御礼だった。東京ガーデンシアターのスタンド最上段の最後方までビッシリとオーディエンスで埋まった情景は圧巻、-真天地開闢集団-ジグザグの禊にふさわしく幅広い層が来場していることも印象的だ。若い人を中心としつつ、小学生くらいの子供と一緒に参戦された親子連れや、わりと年配の方々もあちこちに見受けられる客席はいわゆるヴィジュアル系の客層とは一線を画すもの。開演前の場内は一種独特な賑やかさを見せていた。

開演時間が近づいて客席の熱気が高まっていく中、場内が暗転。オープニングSEが流れ、ステージに命(Vo, G)、龍矢(B)、影丸(Dr)、サポートギターを加えた4人が姿を現した。客席から大歓声と拍手が起こり、禊はメロディアスなロックチューン「Drip」で幕を開け、爽やかな「Mr.Idot」に移る流れから始まった。

ステージ中央に立って力強さとエモさを併せ持つ歌声を聴かせつつ、速弾きやタッピングを織り交ぜたテクニカルなギターソロを決める命。華やかにステージを行き来しながら、ファットにウネるベースサウンドを鳴り渡らせる龍矢。引き締まった表情で、タイトなビートに手数の多いフィルを絡めたハイレベルなドラミングを展開する影丸。3人が発する存在感は圧倒的で、東京ガーデンシアターの大きさを全く感じさせない。オーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内は瞬く間に-真天地開闢集団-ジグザグの世界へと化した。


チャイナテイストを活かした「ニイハオ・ワンタンメン」を聴かせた後、「愚かなる者どもよ、我々が-真天地開闢集団-ジグザグだっ!」と命のMCへ。

「本日は我々の<全国開闢禊 -最高->にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます! ファイナルですよ! 広いねぇ。いや本当に、大きくなったものよのう。これが最後の思い出かもしれへんから、しっかり目に焼きつけておこう(笑)」──命

といった言葉で客席を沸かせた後、グルーヴィかつアダルトな味わいの「Dazzling Secret」や和が香るファストチューン「生きて」、ドリーミィーな「Sha.La.La」などが届けられた。『慈愚挫愚 四 -最高-』で見せた完全なる新機軸「Dazzling Secret」と「Sha.La.La」が禊で演奏されることを楽しみにしていたが、期待が裏切られることはなかった。「Dazzling Secret」のグルーヴは禊でも心地よさに溢れていたし、音源は打ち込みだった「Sha.La.La」は生のリズム隊を活かすことで、より世界観が深まっていた。こういった楽曲をしっかりと聴かせたことからは、-真天地開闢集団-ジグザグが波に乗っている今の状況にメンバーが浮かれることなく、高い意識でツアーに臨み、『慈愚挫愚 四 -最高-』の楽曲達にさらなる磨きをかけてきたことがうかがえる。


ライブ中盤では、メンバー全員が楽器を持たずに華やかにダンスする「スマイル★かわいいねん」、命がフォークシンガーになり切ってシュールな歌詞を熱唱する「どんぐり」、龍矢が母親に扮し、影丸が犬の着ぐるみを着て、命が母への思いを生で語る「おっかちゃん」など、ステージパーフォーマンス面でも彼ららしさを披露。優れた音楽性や高度な演奏力を備えていることで、こういった笑いの要素が一層映えるのは-真天地開闢集団-ジグザグの大きな強みといえる。客席からは何度となく歓声や笑いが起こり、禊は和やかな雰囲気で進んでいった。

しかしその後は一変。緊迫感を放つ「Requiem」やアグレッシヴな「愛シ貴女狂怪性」、メンバー全員が再びダンスするハイテンションな「拙者忍者、猫忍者。~木天蓼三毛蔵と町娘おりん~」、オーディエンスが灯した無数のスマホのライトが揺れる中で大合唱が湧き起こった「傷と嘘」など、あまりにも多彩な側面が露わとなる。笑える要素を打ち出した中盤にシリアス&ウォームなバラードの「Stay with me」を入れ込んだこともそうだが、-真天地開闢集団-ジグザグの1曲ごとに大きく空気感が変わるライブ構成はやや特殊といえる。

ハードなセクションやバラードを集めたセクションといった成り立ちではなく次から次へとスピーディーにテイストが大きく変わるライブはチグハグな印象になってしまう恐れがあるが、彼らの場合はそうならない。1曲1曲の世界観が深く、なおかつそれを的確に表現できる力量を持っているからこそ成し得る業で、そこも-真天地開闢集団-ジグザグならではの魅力といえる。1曲ごとに空気が変わっても唐突さはなく、先の読めない映画を観ているような感覚を味わせてくれた。


「ここから最後の最後まで突っ走っていくぜぇーっ!」──命

という命の熱い言葉からライブは後半に入り、爽快感を湛えた「燦然世界」やヘヴィ&スタイリッシュな「Promise」、パレード感を湛えたキュートな「きちゅねのよめいり」などが演奏された。フィジカルなステージングを織りなすメンバー達の姿と気持ちを引き上げるアッパーなサウンドにオーディエンスも熱狂的なリアクションで応えて、場内はツアーファイナルにふさわしい盛大な盛り上がりを見せる。

いつものように彼らの禊にはアンコールがない。そしてラストソングの「Nighty night!」を聴かせて-真天地開闢集団-ジグザグがステージから去ったガーデンシアターの場内は、爽やかな余韻に満たされていた。

初のホールツアーで新たな魅力を最高の形で披露して、名実ともに確実なステップアップを果たしたことを示した-真天地開闢集団-ジグザグ。現在の人気は決して一過性のものではなく、ここからさらに飛躍していくことを強く予感させる<全国開闢禊 -最高->だった。同公演は2024年1月28日21:00からWOWOWプラスで放送されることに加え、『スカパー!番組配信』経由でのWOWOWプラスchの視聴にて同時配信および見逃し配信も利用可能だ。

取材・文◎村上孝之

■全国ホールツアー<全国開闢禊-最高- (ぜんこくかいびゃくみそぎ -さいこう-)>11月21日(火)@東京ガーデンシアター SETLIST

01. Drip
02. Mr. Idiot
03. ニイハオ・ワンタンメン
04. Dazzling Secret
05. 生きて
06. Cry Out -victims-
07. Aria
08. Sha. La. La.
09. スマイル★かわいいねん
10. 最高だZ
11. Stay with me
12. どんぐり
13. おっかちゃん
〜影丸 -kagemaru- Drums solo〜
14. 帰りたいけど帰れない
15. Requiem/Guru
16. 愛シ貴女狂怪性
17. 拙者忍者、猫忍者。~木天蓼三毛蔵またたびみけぞうと町娘おりん~
18. ラスデイ ラバー
19. 傷と嘘
20. 燦然世界
21. 復讐は正義
22. Promise
23. きちゅねのよめいり
24. Nighty night!



■放送『-真天地開闢集団-ジグザグ「全国開闢禊 -最高-」』

放送日:2024年1月28日(日)21:00
放送局:WOWOWプラス
※スカパー!番組配信にて放送同時&見逃し配信あり
収録日:2023年11月21日/収録場所:東京ガーデンシアター
番組情報:https://www.wowowplus.jp/info/zigzag/

▼スカパー!番組配信
スマホ・タブレット・PCなどで放送同時配信と見逃し配信をお楽しみいただけます。
https://streaming.skyperfectv.co.jp/channel-770561

■アンコール放送『ヴィジュアル系主義 -真天地開闢集団-ジグザグ』

放送日:2024年1月28日(日)20:00
出演:-真天地開闢集団-ジグザグ
番組ナビゲーター:DAIGO
ナレーション:日野聡
※WOWOWで2022年7月に放送された番組のアンコール放送


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