iモードによるニューアルバム『The End』配信

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h_tachibana

 

●今回iモードでの音楽配信を始められたそうですが?

うん、iモード、ドコモの携帯からアクセスして利用する情報提供サービスで、8月1日から『The End』っていう番組というかサイトを始めていて、僕以外にも横尾忠則さんとか、藤原ヒロシ、山口小夜子さんとか……、いろんなアーティストが自由に出入りできるサイトを作りたかった。だからゲストも呼んだりとか。それと投稿のコーナーがあって、今いわゆる公認でないボランティア・サイトがドコモだけでも2万とかあるけど、この『The End』に投稿してくれれば、もう公認のサイトを持ったようなものだから。もちろん審査はあるけど載れば公認になって、他のアーティストとも肩を並べることができるし、ダウンロードされればそこでギャランティーも出るし。

●なんか聞いてるだけでも面白いです。

面白い?(笑) 僕はその『The End』っていうアーティスト・サイトで、『The End』っていうニュー・アルバムをMIDIの音楽データで配信していて。音源は携帯端末自体が持っているし、楽器としてのシークエンサー機能も端末が持っているから、携帯端末によってそれぞれ音の鳴り方が違うし、みんなが携帯端末にダウンロードして、音を鳴らして初めて曲になるっていう。

●そこでアルバムを発表するわけですよね?

立花ハジメのチャンネルに行くとメインはその『The End』っていうニュー・アルバムで、毎週1曲僕が死ぬまで更新されていくっていう。『The End』っていうアルバムはそういう企画なんだよね。

●そもそも、iモードに着目されたのは何がきっかけなんですか?

2年前位に完全にデジタルに世の中が再編成されて、端末の時代になったのね。その端末っていうのがウェブサイトを含めたパーソナル・コンピュータ、それから携帯、ゲーム機、カーナビ……。これからも例えば紙の印刷物だとかレコードはなくなることはないと思うんだけど、デザインとか音楽の新しい概念ていうのは2年位前に完全に端末に移ったのね。

今僕はtachibanahajimedesign.comっていう自分の公式ホームページがあるけれども、そこが新しい表現の場だと思ってる。その大きな流れの一つにあるのがiモードのサイト。iモードっていうのはインターネットのようで、インターネットとは違って。iモード自体が日本以外では使えないじゃない? 今は日本ならではのローカルなネットワークメディアっていうことになるんだけど、その日本ならではっていう部分も僕にとってはかなり面白いなって思えるのね。外国=カッコイイっていうんじゃなくて、国際性がないからこそ、外国の人が見ると日本の漫画文化だったりテレビだったり、国際性がないものほど外に出したときに面白いから。

それにインターネットっていうのは完全にアメリカのものだったんだけれども、その方式を受け入れることだけでもアメリカの植民地になるっていうか、感覚的なね。僕はそういうのあんま好きじゃないから、インターネットを始めたの遅かったんだけど。だけど今はJAVAのスクリプトとか、僕も自分のホームページで使い倒してる。やっぱりテレビでもない、映画でもない完全に新しい表現になったっていうことと、iモードみたいなローカルなネットワーク・メディアが出てきたことで、そういう植民地化への逆襲みたいなのが面白いかなって。それでiモードはやることにした。


●私はまだ使ってないですけど、今みんな電車の中でも使ってるじゃないですか? 生活の一部になってきていて。だからこれからもっともっと面白くなっていくだろうなって。

そう、わかりやすく言えばそういうことなのね。やっぱりさ、パソコンからアクセスするウェブサイトも面白いんだけど、もう全然コンテンツの性格が違うよね。iモードもたまたま話ができるっていうだけで、同じコンピュータなわけだけど、やっぱり人間との距離とか親密度とか、それからアクセスしようとする意志が違うよね。iモードはいい意味でより刹那的な、<その場その時が楽しけりゃいい>んだと。電車待ってる時に雑誌感覚で読んだり、ステッカー感覚で待ち受け画面作ったりね。本当にウォークマン代わりに音楽を聴いたりとか、身近っていうか。そういうのがやっぱりパソコンなんかと違うっていうかね。でも、iモードを使ってる人でも、自分はそれでインターネットのサイトにアクセスしてて、そういうブラウザを使ってるんだなんて思ってる人はいないじゃない?

●うん、いないですよね。

そこが面白いところなんだよね。専門的な知識がない人でも、そういう新しい表現の場に参加できるっていうところ。そういう意味ではパソコンからアクセスするっていうのはまだ頭でっかちっていうかさ。だから僕のニュー・アルバム『The End』はJAVAが動くようになると、ダウンロードした人が自由に楽器を選んだり音色を選んだりとか、それから今まで専門家がやってたアレンジとかミックスを、一切専門知識なしでできるようになるんだよね。今こういう話してると難しそうに聞こえるけど、年末に機種が503シリーズになってiJAVAっていうのが出るんだけど、そうなると僕が毎週やってる、その曲の作風とか形態はすごい勢いで変わっていく。年末にそれが動き始めるようになったら対応した曲を配信してくことになる。

●本当にこれから急速に変わっていきそうですよね。

僕も半年後ぐらいまでは想像がつくけど、1年後は全然想像つかない。だからこそ今からやっておかないとダメだなって思う

ラジオプログラム radio-direct(bayfm 78.0Mhz)ゲスト出演収録より
インタヴュアー:島田奈央子

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