ライヴに込められた確固たるメッセージ

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I'm opposed to all terrorism,retaliation, and war.
Respectof each other culture.

(すべてのテロリズムと報復行為に反対を……。互いの文化を尊重しよう)

ライヴに込められた確固たるメッセージ


<AIR TOUR 2001>
2001年12月13日 渋谷AX


ゲスト出演:チェンバロ

M1 ME,WE.
M2 Don't Abuse Me
M3 8 modern punks
M4 Put Your Hands Up
M5 24 years old
M6 運命はいくつもある
M7 Honey Cow
M8 Somehow
M9 Yawn
M10 夏の色を探しに
M11 Hair do
M12 6543
M13 Kiss Me Again
M14 LIBERAL
M15 No More Dolly
M16 EVERYTHING, OR EVERYONE AND EVERYTHING, OR PEACE

AN1 リヴ
AN2 ここで確かに
AN3 Rush and Rush
AN4 KIDS ARE ALRIGHT
AN5 TODAY



最新ALBUM

『Flying colors』

2001年3月14日発売
RTCR-1014 ¥3,059(tax in)

1ME, WE.
2Right Riot feat.Kj
38 modern punks
4don't abuse me
5I'm sleepy
6Put your hands up
7夏の色を探しに
8only one
9EVERYTHING,OR EVERYONE AND EVERYTHING,OR PEACE 2001
10声にならない声に



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世の中が目まぐるしく動いた2001年という年を締めくくるAIRのライヴが暮れも押し迫った12月に行なわれた。ツアータイトルは<AIR TOUR 2001>というごくシンプルなものだったけれど、今回のライヴに込められた彼の想いはツアーグッズ等にはっきりと記されていた。

そのメッセージとは、「I'm opposed to all terrorism, retaliation, and war. Respect of each other culture.」(すべてのテロリズムと報復行為に反対を……。互いの文化を尊重しよう) というもの。

「1人の人間として言うべきことは言うし、おかしいことはおかしいと言うべきだ」というAIRのまっすぐな姿勢が表われたメッセージだなと思う。

自分の意見をはっきりと主張し、そこから発生する怒りや祈り、願いなどのさまざまな感情を時に激しく、時に美しい音楽へと昇華させていく……。 そんな魂のこもったステージを見ていると、「こんな時代だからこそ音楽なんだ!」という強い感情を抱かずにはいられなかった。  

今回のツアーの中で私が見た12月13日SHIBUYA-AXでのライヴは他の日と多少趣向が違い、ゲスト出演があった。ビートルズの「COME TOGETHER」に乗ってまず最初にステージに現われたのは、2000年9月にミニ・アルバム『空の色』でメジャー・デビューしたバンド、チェンバロだった。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというシンプルな編成で息の合ったグルーヴを生み出し、力強くソウルフルな歌を7曲聴かせてくれた彼ら。AIRのライヴを期待して集まったオーディエンスの前でのパフォーマンスはやりにくい部分もあったかもしれないけれど、場を盛り上げようと客席に向かって一生懸命語りかけたり、コール&レスポンスを呼びかけたりと、会場内の空気を徐々に暖めてくれた。この2組はもともと共通の知人を通して知り合った仲だそうで、チェンバロのヴォーカル・矢吹孝之は「すべての出会いが大切」と話し、後に登場したAIRも

「今日は僕の尊敬する、泥臭くてソウルフルでピースフルなバンドと一緒にできて光栄です」

と語った。こうしたミュージシャン同士の交流は、アーティストにとっては良い刺激になるだろうし、オーディエンスにとっても新たな音楽と出会える絶好の機会でもあるので今後も続けていってほしいところだ。  

19時に始まったライヴもチェンバロのステージとセットチェンジを経て、AIRが登場したのは20時過ぎ。時間も時間だからいつもよりコンパクトなステージになるのかな……などと思っていたら、それはいらぬ心配だった。たっぷり2時間、ライヴハウスならではのアグレッシヴなステージを見せてくれたのだ。  

のっけから「ME, WE.」「Don't Abuse Me」「8 modern punks」と、最新アルバム『Flying colors』の中でも特に激しいナンバーを立続けにプレイ。オーディエンスも待ってましたとばかりにジャンプ&ダイヴを繰り返し、その振動が場内をますますヒートアップさせる。さらに「24years Old」「Honey Cow」などの人気曲を心地よく鳴らしたところで一言。

「久々のツアーで緊張してました。今日は2001年を締めくくるライヴ……。AIRを始めてからの5年を振り返りつつ、久しぶりのナンバーをやりたいと思います」

そう言って始まったのは、懐かしの1stアルバム『WEAR Off』から「Somehow」。前半戦の荒々しさから一転、美しくしなやかな音色が響き渡る。さらに「Yawn」「夏の色を探しに」とスケールの大きなスローナンバーが続き、皆がじっくり聴き入っている。こうした心が痛くなるほど繊細なAIRのナンバーを聴いていると、“生きるということ”の意味を考えずにはいられなくなる。誰かの笑顔、泣き声、人の手の温もり、風の音、水の音 ……そんなさまざまなシーンを、彼のセンシティヴな歌声が呼び起こすからだ。  

ライヴ後半戦は、「6453」「LIBERAL」を筆頭に再びアグレシッヴな世界へ。誇らし気にギターを抱え、胸を張り、こぶしを突き上げながら歌うスタイルはいつもながらだけれど、その自信に満ちた姿はますます頼もしく見えた。

9月に起きた同時多発テロ事件の影響で、当初予定されていたアメリカでのデビューとライヴが延期になったAIR。そうした出来事の中で感じた感情の昂りを、今回のライヴで見事に表現していたのではないかなと思う。そしてその意志は今後の作品、2001年の活動にも受け継がれていくのだろう。つねに“今、この瞬間”を大切にし、リアルな想いを描いてきた彼だからこそ、これからも自分の感じたままに走り続けるはずだ。

アンコールラストに披露された名曲「TODAY」を聴きながら、そんなAIRの未来とそこにかかる希望の光りを感じずにはいられなかった。                                

文●水越真弓

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