故郷ブライトンでの凱旋ライヴ、そしてセレブリティ・ライフへの違和感

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故郷ブライトンでの凱旋ライヴ、そしてセレブリティ・ライフへの違和感

「“聞けよ、あれはおまえじゃない。Norman Clickのミスプリントだ”って言われそうな気分なんだ」

最新ライヴアルバム

LIVE ON BRIGHTON BEACH
EPICソニー 2002年2月27日発売
EICP-59 ¥2,520(Tax in)

1 Right Here Right Now/Fatboy Slim
2 Austins Groove/Kid Creme
3 Southern Thing/Scanty
4 The Groovy Thang/Minimal Funk
5 Pray/Santos
6 The Talk/The Clumps
7 Where's Your Head At/Basement Jaxx
8 Rocket Bass/Jark Prongo
9 Drop Some Drums(Original Version)/Love Tattoo
10 Put Your Hands Up/Black And White
11 3-2-1 Fire!/Santos
12 Star 69/Fatboy Slim
13 The Real Life(Fatboy Slim Remix)/Raven Maize
14 Phat Planet




イングランドの海辺の街ブライトンが、これほど大きな脚光を浴びたのは『Quadrophenia』(The Whoの『四重人格』あるいは映画『さらば青春の光』)以来のことだろう。無料野外コンサートが開かれ、3万5000人の観客が笑顔で集まり、その倍の数の手が空中に掲げられ、80×40フィートの巨大スクリーンがマッドなヴィジュアルを映しだす。桟橋からは花火が打ち上げられ、海岸通りは通行止めとなったが、何よりも素晴らしかったのは、潮が満ちてきていたことだった。Norman Cook(Fatboy Slimと言ったほうがよく知られている地元出身の成功者)は、'01年7月6日に故郷の街で凱旋ギグを行ない、それ以来このイヴェントは“Normstock”と呼ばれている。今でもCookは、コンサートの映像を見るたびに涙で目をうるませながら、この素晴らしい想い出に感動しているという。

この記念すべきギグを見逃した人々への朗報として、Cookの最新ミックスCD『Live From Brighton Beach』と付属のビデオカセットからなるライヴ記録が届けられた。このCDの米国発売権を巡ってFatboyに途方もない金額がオファーされたと噂されているが、彼自身としては「ギグに来てくれた人たちへのお土産として制作しただけ」という。もちろん実際にライヴに参加した人たちは、CDには収められていない曲をいくつも聴くことができたのだ。

あの夜に演奏したセットの半分くらいだね。(例えばMadonnaやDaft Punkのブートレク音源のように)権利をクリアできなかったトラックがたくさんあるんだよ。それで使えるものだけに編集しなくちゃいけなかったんだ

『Live From Brighton Beach』でトラックを使用できたアーティストとしては、UnderworldBasement JaxxLeftfield、Jark Prongo、Scanty、Raven Maiezeらがいるほか、Fatboy自身の曲からもいくつか選曲されている。明らかにブートっぽいノリのトラックも数多く活用してはいるが、Cookは他のいかなるDJとも違った方法でこのライヴ盤を編集しており、Normstockの強烈なパーティノリのヴァイブがCDから飛び出してくるような仕上がりとなった。

人々の注意を引きつけるCookのミックス手法の特徴は、何よりもまず、最近ロスアンゼルスで行なわれた『Live From Brighton Beach』の試聴パーティにゲストとして招かれていた有名人(Rose McGowan、James Woods、Alyssa Milano、Taryn Manning、Lukas Haas、Cher、さらにWarnerとFoxのネットワークに出演している様々な俳優)の大量動員に認められる。だが、この社交の夕べはCookにとって“拷問”以外の何ものでもなかったという。

時差ボケに悩まされかけてたうえ、2時間のインタヴューを終えたばかりで、僕はパーティを楽しむだけのユーモアのセンスを失い始めていたんだ。単なる仕事になってたのさ。あたりを見回しながら“終わったらすぐに降りていって、みんなに話しかけよう”って考えてたけど、結局は誰にも会うことはできなかったよ。みんなが帰ってしまったときも、僕はまだ階上でフォトセッションをやっていたからね

Cookは経験豊かな英国の有名人、Zoe Ballと結婚しているという事実にもかかわらず、こうした類いの注目に慣れることなど決してなく、それを快適だと思うこともまったくないだろう。こうしたシチュエーションは以前からお馴染みのものではあるのだが。彼は英国を代表する人気グループ、Housemartinsの一員として'80年代を過ごしたのち、大衆の注目から逃れるために'90年代にはFatboy Slimという偽名を選択した。しかし、この戦略が効を奏さなかったのは明白で、現在の彼はかつてよりもずっと有名になってしまった。だが、それでも彼は自分は注目に値しないと真っ先に言い張るのだ。

みんなが僕の正体を見破っていないなんて信じられないよ」と彼は笑って言う。「誰かがやってきて“聞けよ、あれはおまえじゃない。Norman Clickのミスプリントだ。さあ、儲けた金と印税をみんな渡してもらおうか?”って言われそうな気分なんだ。こうしてハリウッドにいるなんて、みんなが夢に見ることだよね。僕はここにいて、酔っぱらって、時差ボケで、すぐに眠りたいと思っている。まったくおかしな話だよ。ダンスのレコードを作ったりDJをやったりするのは得意だけど、僕には有名人やポップスターになるだけの価値はないんだ。そんな星の下には生まれついていない。前から起こっていたことだけど、まだ適正なレベルだったよ。みんなは“Fatboy Slim”はバンドかアルバム・カヴァーに出ている太っちょだと思っていてくれたしね。でもZoeに出会ったその日に僕は考えを改めて、ありのままの自分で過ごすことに決めたんだ。つまり、誰かを愛したら、リスクを負わなくちゃいけないのさ。幸いなことに、それでうまくいっているよ

By Lily Moayeri (C)LAUNCH.com

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