ポール・ギルバート、インタビュー

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――インストのアルバムはこれが初めてとは意外だね。

ポール・ギルバート(以下ポール):僕にとってシンガーの存在ってすごく重要なんだ。リスナーとして音楽を楽しむときも僕は歌を聴きたいから、レーサーXでもMr.Bigでも、ソロになってからも歌モノが中心だった。エディ・ヴァン・ヘイレンやランディ・ローズ、ジミー・ペイジを初め、僕のギターヒーローは、みんなグレートなシンガーのいるバンドのギタリストだしね。歌がないとつまらないものになってしまう不安もあった。だから今までどんなに求められても拒んできたんだ。でも最近、他のギタリストと同じことをしなくていいんだって気付いた。それで、僕みたいなロックファンが気に入るものを作ってみようと思ったんだ。

――インストのアルバムは好きじゃなかった?

ポール:嫌いというわけではないけど。80年代はサトリアーニとかイングウェイ、トニー・マカパインの初期のなんかは面白いと思って聴いてたんだよ。でもそのうち、あまりにギターが前に出すぎたものばかりになってきて、つまらなくなった。ギターは素晴らしくても、ドラムやベース、他の楽器がどこかに忘れ去られているようで音楽として楽しめないんだ。だから自分がやるならギターはもちろんいっぱい弾くけど、すべての楽器が面白いものにしたいと思った。

――実際に作ってみて、以前の不安は解消したみたいだね?

ポール:そうなんだよ! ホントに不思議なんだけど、やってみたら何の問題もなかった。作っていて楽しかったし、作ったあと自分で聴いていてすごく楽しめるから最高。僕が一人のロックファンとしてこれだけ満足できるんだから、世間のロックファンも同じはずさ。今まででいちばんたくさんギターを弾きまくったから、たぶんギターキッズのみんなも満足できるはずだよ。

――今回はどんなメンバーで作ったの?

ポール:基本的には、去年の日本でのライヴのメンバーだったドラマーのジェフ・ボウダーズと僕だけ。ジェフとはデモの段階からずっと一緒にやってきた。「HURRY UP」を10バージョンくらい作ったときも全部付き合ってくれたんだ。ベースはほとんど僕で、一発録りで録った2~3曲だけマイク・ズーター。それと僕のワイフのエミもキーパーソンだね。彼女にはピアノやオルガンを弾いてもらったし、譜面の読めない僕のかわりに、ハイドンのシンフォニーの中身をすべて解析してもらった。プレイヤー以外ではトム・サイズにミックスを頼んだ。前作『SPACE SHIP ONE』は自分でミックスをやったんだけど、実は僕は左耳があまり聴こえないからすごく苦労したんだ。今回はそのかわりに彼が素晴らしい仕事をしてくれた。だから彼の名前もぜひ載せておいてね。

――曲によってゲストを呼んだりとかは考えなかった?

ポール:それがまさに『GET OUT OF MY YARD(オレの庭から出て行け)』なんだ!(笑)。自分の中にアイデアがたくさんありすぎると、ゲストにいちいち説明するのも大変だ。自分のアイデアは自分で表現したほうが早い。それにゲストギタリストを呼んでバトルなんてあまりに安易だし。でも逆に、ゲストだらけのアルバムとも言えるんだよ。僕は今までヴァン・ヘイレンとかゲイリー・ムーアとかアレックス・ライフソンとか、とっても多くのギタリストをコピーしてきた。どの曲でもどこかに必ず誰かの影響が出ているから、言ってみればたくさんのゲストがいるようなものだろう。本人は弾いていないけどね。

――ジェフ・ボウダーズだけはポールの「YARD」にいていい人物だったんだね。

ポール:そうだね(笑)、彼だけは僕のYARDにいても邪魔じゃなかった。ホントにいいドラマーだよ。彼と僕とは似てるんだ。同じMIに通っていてテクニカルなところが身についてるし、エモーショナルな部分も持ってる。だから気が合うんだ。

――『SPACE SHIP ONE』のとき、キーになる言葉が先にあってそれを発展させて曲を作るって言ってたけど、全編インストの今回は?

ポール:今回は色々だね。「TWELVE TWELVE」はベースのフレーズから生まれた曲だし、「MY TEETH ARE A DRUMSET」はドラムパターンから。もちろんギターから浮かぶアイデアは多いけど、僕はギターを弾いていると自然にドラムやベースが頭の中で鳴って、どんどんアレンジされていくんだ。ギターだけで作るんじゃなくて、全体が同時にできていく感じだね。今回は確かに歌詞はないんだけど、そのかわりにタイトルは重要だった。タイトルの言葉から広がるイメージ、ストーリーが曲ごとにあるんだ。だからライナーには歌詞のかわりにそれを書いておいたよ。

   
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