Chee、『Voice of Chee』インタビュー

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──アメリカ・メキシコ・カナダ・イギリス・ジャマイカ・中国・台湾・タイ・マレーシア・ベトナム・インドネシア・インド・フィリピン等々。Cheeさんって、これまでいろんな国を旅してきたんですね。

Chee:旅というよりも、現実逃避として片道だけのエアチケットを握りしめ、海外へ逃亡し続けてたっていうほうが正解かもしれないです(笑)。中でもアジア各国へ行くと、東京で暮らしてたら忘れてしまいそうな、“人と触れ合う温かさ”をすごく感じられるから大好きだったんです。今は日本も大好きですけどね。

──その積極性は小さい頃から?

Chee:そんなことないですよ。こう見えても私、人見知りする性格なんですから。

──でも海外に出れば、人が変わってしまう?

Chee:海外へ行くと、人見知りってなくなるんですよね。きっと海外の人たちって、気持ちをストレートに伝えてくれるからだと思うんです。というのも、私は小さい頃から、なんで皆、本音を隠して表向きな差し障りのない言葉ばかりをしゃべるんだろうと、ずっと疑問を感じた事もあって。そのもやもやが、日本を飛び出すとなくなるんですね。しかも、どの国に行っても、音楽が一つあるだけで容易にコミュニケーションができてしまえる。

──メロディや歌声って言葉も国境も超えますからね。

Chee:ホントそう。ニューオリンズへ行ったときも、ちょうど建国記念の時期で、街中で誰もが楽器を持ってセッションをしてたんですよ。私も参加したかったけど、楽器など全然できなかったから、“参加したいけどでききないわ”と知り合った人に言ったら、“君には声があるじゃないか。歌い手が3人いてハモれば、それはゴスペルになるんだから”と、教えてくれたんです。そうやって歌うのが当たり前の環境へ触れられたというのは、すごく大きな経験や糧になったと思います。。

──もともとはブラックミュージック好きとのことですが、なぜレゲエに辿り着いたんですか?

Chee:レゲエ発祥の地であるジャマイカって、もともと小さな島国ですよね。旅人相手に演奏している人たちは、アメリカでヒットしている楽曲などをジャンルを問わず、レゲエのリズムにアレンジして表現してる。実はレゲエって、いろんな音楽を飲み込みつつ、独自の色へ染めてきた文化や土壌を持っているんですね。その懐の深さへ引き込まれてしまったのが、最初のきっかけでした。そこからレゲエを探っていくにつれ、実はレゲエの中にもダンスホールからラヴァーズ、ダブなど様々なスタイルがあり。表現方法も、バンドや打ち込みからDJなど、いろんな形態を持っている。内容も日常を歌ったものから、宗教的な内容まで多岐に渡ったメッセージを兼ね備えているんです。だけど何よりも、日々の生活の中、レゲエが日常に密着している存在だということを知れたのが大きかったんです。

──それって、ニューオリンズでの経験と重なる面じゃないですか?

Chee:そうなんです。ブラックミュージックも、レゲエも、“日常の大変なことを忘れ、生活に潤いや必要性を与えるために生まれた音楽”。そのルーツを、今でも音楽を楽しむ際に伝えてくれる。それをジャマイカで体験したことが、レゲエに魅了された一番のきっかけになりました。

──そこからCheeさんの、レゲエと歩む日々が始まったわけなんですね。日本でもバンドやソロとしての活動はもちろん、いろんなセッションやレコーディングへの参加など、レゲエをベースに交流の輪を広げてますが。そうやってたくさんの人たちと想いを分かち合えるって素敵ですね。

Chee:それは、廻りの人たちのおかげなんです。ホントに良い人たちと出会い、そこで輪や和を描き続けてきた。その歩みが今に繋がっているだけなんだと思います。

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