川崎CLUB CITTA'オープニング・シリーズ・レポート_2002.012.07

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忘れかけていたヒップホップのおもしろさを再確認

オリジナルを重視し、サウンドを再構築

最新ALBUM

『Quality Control』

Universal Victor MVCT-24078
2000年06月16日発売 2,541(tax in)

1How We Get Along
2The Influence
3Great Expectations
4Quality Intro
5Quality Control
6Contact
7Lausd
8World Of Entertainment
9Monkey Bars
10Jurass Finish First
11Contribution
12Twelve
13The Game
14Improvise
15Swing Set



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USチャートでは常に上位に喰い込み、日本でも盛り上がりを見せてきたヒップホップ・シーン。

その巨大なマーケットは常に新しいサウンドへの開拓というような矛先がむいている気がしてならないのだが、そんなマーケットよりもオリジナルを重視し、むしろシーンに逆行するような音を作り出している米ヒップホップ・グループJurassic 5(以下、J5)。カット・ケミストとニュー・マークによる創意溢れるプレイをするDJ2人に、マーク7、チャーリー・ツナ、ザキール、アキールの4人のMCからなる。

アメリカ、オーストラリアとツアーをこなし、2デイズで行なわれたJ5のジャパン・ツアー、新生CLUB CITTA'で記念すべき初海外アーティストとしての登場だ。

初めに日本の先鋭グループ、トリカブトの登場で会場を温めている中、ロビーにいるメンバーを発見! DJカット・ケミストに「この前の<Product Placement>(2001年暮れにDJシャドウと共に来日。7インチのみを使ったDJプレイを披露)本当に凄かったよ~、あんなの日本では滅多にみられないから、感動した」と伝えると「
今日もそれに負けないくらいいいライヴになると思うよ」と余裕の笑顔。

まずはMC4人がステージ前方に一列に並んでの一斉ラップから始まった。ラッパーの4人はそれぞれの身長はバラバラ(特にツナはでかい!)、個性溢れるそれぞれのキャラが立っている。声のトーンも全く違い、それがコーラス部分では美しいハモリを聴かせてくれた。日本人にとってはハンディな英語でのラップで、そこに込められたメッセージすら瞬時に受け取ることができないのは残念だが、スムースなマイクリレーの絶妙な掛け合いは、本当に素晴らしいグルーヴを産み出し、観客を圧倒。また4人がステージを縦横無尽に動き、観客とのスキンシップも忘れてはいなかった。

そして中盤、カット・ケミストとニュー・マークが見せたDJプレイに、観客はこの日、1番興奮しただろう。

この2人が奏でるブレーク・ビーツはやはりJ5の1番の武器だと思う。2人のターンテーブル捌きに釘付けになり、両者の目を見張るような速さのスクラッチは言うまでもない。まるでギターやドラムでの凄まじいプレイを見ているかのうように、スピーカーから流れてくる音で鳥肌が立つ。また、DJセットの前でごそごそと何かを探していたカット・ケミストが取り出したのは、ポータブル・レコード・プレイヤー(これをもって都内レコード屋で試聴をしていたという証言も…)!

先にも話たがDJシャドウとの7インチツアーの再現のように左手のプレイヤーに7インチを置きスクラッチ! その音は全く普通のターンテーブルのときと変わらない、アグレッシヴなサウンド。それに合わせてニュー・マークはドラム・マシンでメチャメチャ早いドラムン・ベースのビートを叩く。その他の演奏でもニュー・マークはフットワーク軽く、ステージ両端に用意された鉄琴、ドラムキッドなども叩いて観客を魅了した。

J5のサウンドは確かに“オールドスクール”になぞられるのだが、決して昔の音をそのままコピーするのではなく、確実に再構築し、オリジナリティ溢れるものだと確信した。

完璧なまでの個々のスキルはさることながら、何よりも彼らがプレイした音楽に興奮し、最近忘れかけていたヒップホップのおもしろさを再確認させてくれたライヴだった。最後に、J5の新作は夏頃…とも言っていたので、そちらも期待したい。

文●イトウトモコ

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