エレクトロニック・ミュージックで悲しさを表現

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エレクトロニック・ミュージックで悲しさを表現

「Wings」は、遠くにいて逢えない彼女のところに飛んでいけたらいいなぁっていうスピリチュアルなことだよ

最新アルバム

『TIME::SPACE II』

Transmat Records 発売中
CATCD-002~003 

<DISC1>
1 Aril Brikha「Bytes」
2 Microworld 「BC Style」
3 Indio 「Inca」
4 Stephen Brown 「I Am Someone」
5 Louis Haiman 「Actualization」
6 Yellow Planet 「Story of China Men」
7 Sans Solil 「Stretched Blue Oval」
8 Sans Soleil 「Winter Light」
9 Ebb 「Someone So True」
10 Reggie Dokes 「Metu Neter」

<DISC2>
1 Rodenbush 「Tranquility」
2 Lucien Nicolet 「Pasando Una Puerta」
3 Roden Bush 「Awakening」
4 Stephen Brown 「The Year Zero」
5 L.S. 「Thyme Spice」
6 John Arnold 「Respectall」
7 Yellow Planet 「The Fugitive」
8 Louis Haiman 「The Question of You」
9 Microworld 「DB」
10 Sans Soleil 「Sahara VHF」
11 Tony Drake 「Wings」


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――あなたのバックグラウンドは?

Tony Drake:
祖母はゴスペルやクラシックが大好きだったし、叔母はデヴィット・ボウイが好きだったりしたし、デトロイトに住んでいたからモータウンやファンクも周りにあったし、そういう中で育ったから幸運にも僕は常にいろんな音楽に興味を持っていた。10代の頃はロキシー・ミュージックやデヴィット・ボウイのようなグラマラスなファンク・バンドで演奏したりしていたんだ。その頃はアコースティックなミュージシャンだったのだけれど、10年位前にバンドという形態では表現しきれないアイディアがたくさんあったから、Midiを使うようになってそれ以降エレクトロニックっぽい音楽性になっていった。でも、未だに僕は自分をエレクトロニック・ミュージシャンだとは考えていないよ。

――クラブとか行ってたんですか?

Tony Drake:
ミュージック・インスティチュートとか'80年代半ば頃のデトロイトにあったクラブにはよく通っていたよ。ティーンエイジャーだったから、毎晩朝まで遊んでいた(笑)。

――写真からはそんな印象を受けなかったので意外です(笑)。でもハウスやテクノからも影響を受けたのですか?

Tony Drake:
いや、当時はそんなに影響を受けたわけじゃない。その頃はバウハウスとかキューをよく聴いていた。基本的にその頃人気のあったオルタナティヴな音楽が好きだった。ハウスとかが出てきた頃は全然気にしていなかったよ。音楽的に革新的なところがあると思わなかったしね。でもちょうど自分がエレクトロニクスを使い始めたのがその頃で、アンビエントっぽいことをやっていた。そしてデリック・メイが僕の音楽を聴いて気に入ってくれた頃は、エレクトロニック・ミュージック自体がアンビエントな方向へ向かっていた。だから、自然にうまくいったのだろうね。

――デリックとの出会いは、あなたにとってのターニングポイント?

Tony Drake:
そうだね。彼と出会ったのはハウスやテクノが出てくるずっと前の'80年代半ばにクラブで会った。ブレイク・バクスターという素晴らしいDJがいて、彼が僕達の共通の友達だったから。それからデリックと僕は全く違う音楽性を求めていったけれど、'90年代初頭に再び出会い、彼が僕の作った音楽を聴いて気に入ってくれた。彼のようなエレクトロニックなフィールドに居た人間が僕の音楽に興味を持ってくれるということにすごく驚いたよ。それで僕のアルバム『Texture』がリリースされた。だから彼との出会いは僕にとってのまさにターニングポイントだったよ。

――あなたにとってデリックとはどんな人ですか?

Tony Drake:
すごく大きな影響を与えてくれた人。まず、最初にTransmatからレコードをリリースした時が僕にとってエレクトロニック・ミュージックの世界との最初の遭遇だった。僕はミュージシャンだったから、あまりノン・ミュージシャン的なアプローチをしていた彼らに対して猜疑心があったのだけれど、時が経つに連れてデリックがアーティストとして素晴らしいセンスを持っていると気付き、すごく尊敬するようになった。そんな彼が僕を導いてくれた。そしてすごく面白い人だしね。

――レーベルについてどう思いますか?

Tony Drake:
Transmatと仕事できることは幸せだと思うよ。これからも、どんどん大きくなってエレクトロニック・ミュージックの限界を押し広げていくと思う。デリックがいる限りエレクトロニック・ミュージックの中心でいることは間違いないよ。彼には明確なヴィジョンがあるからね。

――あなたはこれまでアンビエント、クラッシックのフュージョンをコンセプトにした作品をリリースしていますが、今回はボサノヴァをモチーフにしていますね。何か変化があったのですか?

Tony Drake:
'90年代初めくらいからブラジル音楽に傾倒していた。最も好きなところは悲しさがあることだ。それにすごく惹かれている。それは僕が最も表現したいことだし。だから以前からブラジル音楽をモチーフにした曲をたくさん作っていたよ。『Texture』を作った頃にもね。でも、正直に言えばエレクトロニック・ミュージックの世界でそのスタイルがウケるとは思っていなかった。俺はずっと自分のために自分の聴きたい音楽を作ってきたけれどからオーディエンスを意識するようになった。それは自分にとってすごく難しかったよ。ブラジル音楽っぽいのは聴きたくないと思ってたんだけれど。でもジャザノヴァを聴いて"僕はこういう音楽をずっとやっていられたじゃないか…"と思った。だからこの経験から学んだことは、自分に素直であるべきだということだ。

――では今作の「Wings」はどういう感情表現なのですか?

Tony Drake:
(照れくさそうに)羽があって、遠くにいて逢えない彼女のところに飛んでいけたらいいなぁっていう、スピリチュアルなことだよ。
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