<SUMMER SONIC 2005>デュラン・デュラン、往年の大ヒット・ナンバーのオンパレードで見ごたえたっぷり

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19時10分。ステージの下手から、ヴォーカルのサイモン・ル・ボン以下、5人のメンバー達がぞろぞろと現れた。普通はそのまま、それぞれの立ち位置に行き、自分の楽器を手に取って、演奏の準備を始めるものなんだけれど、彼らは違った。5人がステージの中央に横一列に並び、じっと観客に向かい合う。その間、およそ30秒ぐらいか? かなり長かったように感じられた。伊達男ぶりをアピール? それとも日本のファンに対する敬意の表れ? いずれにせよ、のっけからの演出に思わずニヤリ。お蔭で、いよいよ始まるライヴに一気に期待が高まった。

まさか、デュラン・デュランのライヴで、こんなに心を踊らせるなんて、自分でも不思議だった。正直、彼らのファンだったことはない。ちゃんと聴いたことがあるアルバムだって、1枚か2枚(今、レコード棚を探してみたら、3枚発見!)。単独公演だったら、きっと見にいこうとは思わないだろう(実際、行ったことはない)。

しかし、僕のように'80年代の洋楽をリアルタイムで“体験”した人間にとって、'80年代に一世を風靡したデュラン・デュランはとりあえず好き嫌いは別として、何と言うか、やはり特別な存在。機会があれば、一度は見てみたかった。きっと、そんなふうに考えていたお客さんも多かったんじゃないか?

1曲目はデビュー時のメンバー5人が19年ぶりに揃い、'04年にリリースした(今のところ)最新アルバム『アストロノート』収録の「(リーチ・アップ・フォー・ザ)サンライズ」。まさにオープニングを飾るにふさわしい、王道のデュラン・デュラン・ナンバーだ。そして、2曲目以降は「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」「ニュー・レリジョン」「リオ」「オーディナリー・ワールド」「ノトーリアス」「ザ・ワイルド・ボーイ」他、往年の大ヒット・ナンバーのオンパレード。20年前、知らず知らずのうちに刷りこまれていた“記憶”がビンビンと反応する。

加えて、25年以上のキャリアを誇るベテランにもかかわらず、メンバー全員それなりに体型をキープしている点も含め、華やかなルックスや、全くと言っていいほど円熟味を感じさせない演奏もいかにも彼ららしかった。その華やかさと軽さこそが“ニューロマの貴公子”=デュラン・デュランの真骨頂。

終盤にはステージ後方にメンバーを主人公にした少女マンガ風のアニメを映し出す演出も。悪者達と戦うデュラン・デュランが最後に破壊した敵の本拠地は、ひょっとして彼らが以前所属していたレコード会社!? うーん、そんなブラック・ユーモアに25年以上に渡って、ある意味非情な音楽業界を生き抜いてきた彼らのタフな一面を窺い知ると同時に、彼らもまた、'70年代後半のパンク・ムーヴメントの中から出てきたバンドだということを思い出したりと、思いの外、見ごたえたっぷりの1時間だったのだ。

取材・文●山口智男
Photo●SUMMER SONIC / SUMIE

DURAN DURAN
2005/8/13 MOUNTAIN STAGE

BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
SUMMER SONIC 2005特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010617
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