オーノキヨフミ、アルバム『Country Map』特集~インタヴュー篇

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――曲作りというのは、ニューヨークから帰ってきてから?

オーノ:ほとんどがそうです。昔、「東京シティーライツ」という曲をつくったことがあって。それは東京に来た瞬間につくったものなんですけど、その第2弾だと思って、特にシングルとかにするつもりもなく「新宿西口摩天楼」をつくったんです。東京に3年間住んで、ニューヨークから帰ってきてというのをふまえて、田舎モンのまんま踏ん張っている感じを出したかったんです。それが、自分で言うのもなんですが思いのほか、いいものができたなという感触があって。それを作っているときに見えたもの、つかめたものと感じが一緒ならば、昔の曲も同じ気持ちでできるなと思えたので、「シュテラ」「デイドリーム」とかは、昔作ったものですけど、入れることにしました。

――オーノさんの曲作りのスタンダードはどんなスタイルですか?

オーノ:メロディが先にきて、その次に詞、アレンジという順番ですけど、その順番にあまり時間差はないんですよ。メロディが先にできてもすぐに詞をつけて完成させないと、気持ち悪く感じるタイプなんです。ほんと、その場で作ったら吐き出さないと、頭の中がキャパオーバーになるので(笑)。

――仕上げるのに手こずった曲はあります?

オーノ:「ジュークBOX」ですね。これはメロディも詞もすぐにできて、自分がデモでアレンジしたものまでは早かったんですが、そこからのパワーアップがね。“とりあえずパワーアップ”みたいなのには絶対したくなかったんで。デモにある刹那さだったり、青春クササだったりするものを音的に残すのが大変だった。それだけ、思い入れもある曲です。

――このアルバムを完成したことで、東京の正体はつかめましたか?

オーノ:いや、暗中模索状態だと思いますよ。多分、正体なんて一生かけても無理だと思う。

――オーノさんをそこまで動かす東京の魅力は?

オーノ:ん~難しいな。なんか凄い高いビル街のそばに、テントで暮らしているような生活をしている人がいたりとか。それをテーマに曲をつくりたいとは思わないんだけれど、曲を作ろうという気持ちは湧き上がってくるんですよ。“ただごとじゃない”って気がするからなんですよね。あと、東京には歴史のある物の隣に近代的な物があったりするじゃないですか。記念碑の横に、高層ビルがあるとか。北海道はそんなになくてね。歴史が遡れるのも、明治までなんですよ。そういう何百年も前からあるものと、近代的なものとのギャップに胸をつかまされる感じがするんです。

――アルバムタイトルの『Country Map』は、迷わず出てきた言葉ですか?


オーノ:なんとなくカントリーという言葉はずっと好きで。ジャンルのカントリーではなくて、精神としてのね。制作段階では、まだ何も決まっていなかったんですけど、ひとつ“ニューカントリー”というテーマをつくりまして。田舎モンみたいなところは忘れたくなかったし、そういうのを残したまま街の歌を歌っているのを現したかったし。街の歌を田舎モンが歌うのはどういう感じかなと思ったときに、この言葉しか浮かばなかったですね。

――アルバムリリース後の予定は?

オーノ:ライヴがいくつか。次の作品というのも、考えていきたいなと思ってます。このアルバムで自分らしさとかはすごく追及できたし、やれたと思っているので、それだけに捕らわれない自由な感じに音楽をやりたいなと。今回はデジタルとアナログでの表現という音的にもこだわっているんですけど、そこさえもちょっとフラットに。もちろん、いいメロディ、いいアレンジが出てきてからのことなんですけどね!

取材・文●山田正樹


 

 
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