ロンドン無料フェス<Rise London United>レポート

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最初に伝えたい。これほど気持ちよいフェスがロンドンにあったとは! しかもフリー!!

7月8日にフィンズベリー・パークで開催された<Rise London United>の模様を、駆け足に全体像をお伝えしよう。

このフェスには10年の歴史がある。1996年に“人種差別反対” と人種の坩堝である“多種多様性を持つロンドンの素晴らしさ”を、ロンドン市民と世界中の人々に訴えることを目的とし、自治体、慈善団体、ボランティア・グループによって前身イベント<Respect>として発起された。3年間の休止期間もあったが、2001年より再開。そして昨年、“反人種主義”をより強く打ち出すため<Rise>と改名し現在に至る。市内最大のフリー・フェスとしてロンドンっ子たちには馴染みが深い。

メイン・ステージのほかに、アフリカン・ビレッジ、クレッセント、アーバン・ミュージック、ビッグ・キューバ・フェスタ、メラ、DJ(ダブルデッカーの上で皿回し!)から成る7ステージではその名の通りの“音・食・人・文化”で溢れ、音楽以外ではブラック・ジョーク連発のコメディ・マーキー、反人種主義に関する慈善団体のブースがひしめき合う展示会場、子どものためのプレイ・ゾーンと充実。足りないのはアジア部門くらいだ。全部がうまいこと溶け合っているので境界線がどこにも存在しないことには驚かされた。

さて、毎年大物アーティストが出演する音楽のメイン・ステージ。今年の目玉は、ピストルズ、ダムド、クラッシュに並ぶパンクの大御所、バズコックスだ。なんとピート・シェリー(Vo&G)はリサイクル規格ロゴ入りのシャツ(カタカナで“プラ”)で登場! これには大爆笑。でも周りの客は誰一人笑ってない。そりゃそうか。結成30周年、だいぶお歳を召された感はあったものの血管切れそうな姿を見て感動。バズコックス同様に観衆を沸かせたのは、グレアム・コクソン。かつてはブラーのコア・メンバーとして活躍、また現在はソロとしても評価の高い彼は淡々と、でも熱い音をバシバシ放つライヴを展開した。

これだけ豪華なメンツと世界の音楽をタダで見せてくれるロンドンという街。どこの国の出身とか、肌が何色だとか、そんなことどーでもいいから人生楽しもう!と会場中の雰囲気が教えてくれる素晴らしいフェスであった。

最後に、残念だった点をふたつ。ズバリ、“交通事情の悪さ”。8万人を受け入れることが分かっていながら、どうしてその日に地下鉄を止め、かつ振り替え輸送バスはいつまで待っても来ないのか。それともうひとつは“ゴミ”。ここ英国で<フジロック>のようなゴミ問題に取り組むフェスに未だ一度も出くわしていない。“英国人よ、地球はゴミ箱じゃないんだぞ”と言いたくなるほどひどいものだった。

文●早乙女doraゆうこ


■オフィシャル・サイト
http://www.risefestival.org/
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